茶農家とは?栽培・製茶・販売から見る、仕事と経営の多様なかたち

私たちが普段飲んでいる日本茶。その一杯の始まりにいるのが、茶畑で茶の木を育てる「茶農家」です。茶農家と聞くと、春の新茶シーズンに茶摘みをする姿を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、実際の仕事は茶摘みだけではありません。1年を通して茶園を管理し、なかには自ら製茶や販売まで行う農家もいます。近年では、カフェやティーテラス、茶摘み体験などを通じて、消費者と直接つながる茶農家も見られます。
日本茶専門WebメディアOCHATIMESでは、静岡県内を中心に、山間地から平坦地までさまざまな茶産地を訪ね、茶農家を現地取材してきました。そこで見えてきたのは、「茶農家」という一つの言葉だけでは括り切れない、多様な仕事と経営の形です。
この記事では、茶農家とはどのような仕事なのかを入り口に、1年を通した茶園管理、茶摘み、製茶の流れを紹介します。さらに、生葉や荒茶を出荷する農家、自ら製茶・販売する農家、茶畑そのものを体験の場として活用する農家まで、実際の現地取材を交えながら紹介します。
茶農家とは|栽培だけではない、さまざまな仕事の形
茶農家とは、茶畑で茶の木(チャノキ/学名:Camellia sinensis)を栽培し、茶葉を生産する農家のことです。

ただし、すべての茶農家が、自分の畑で育てた茶葉をお茶に仕上げ、販売しているわけではありません。
茶園を管理し、摘み取った生葉を製茶工場へ出荷するまでを担う農家もいます。一方で、自ら製茶工場を持ち、生葉から荒茶まで製造する農家もあります。地域によっては、複数の茶農家が共同で製茶工場を運営し、それぞれの茶園で収穫した生葉を加工する形もあります。

また、仕上げや商品開発、袋詰め、小売、オンライン販売まで一貫して手がける農家もあります。さらに、お茶を飲む場所や、茶畑を訪ねる体験まで作る農家もいます。つまり、「茶農家」といっても、その仕事の範囲や経営の形はさまざまです。
そして何より、なぜその茶づくりを選んだのか。実際に茶農家を訪ねてみると、同じ「茶農家」という言葉の中にも、栽培に重きを置く人、製茶まで担う人、販売や体験づくりまで広げる人がいることが見えてきます。

茶農家の一年|茶摘みだけではない、茶園を育て収穫を迎えるまで
茶農家は一年を通して茶の木の状態を確認し、整枝や剪定、施肥、病害虫への対応、茶園周辺の管理などを行います。
新芽が健やかに伸びる環境を整えながら、春の新茶(一番茶)の収穫を迎えます。一番茶は、年間を通じた茶園管理の成果が表れる、最も象徴的な瞬間の一つです。

ただし、すべての茶農家が同じ回数だけ茶葉を収穫するわけではありません。一番茶の後に二番茶を摘むかどうか、また摘採の時期や回数は、地域や品種、経営方針によって異なります。
さらに、どの茶期の茶葉をどのようなお茶に仕上げるのかも、産地や茶農家の考え方によって変わります。

茶摘みの時期はどう決まる?新芽を見極める茶農家の判断
春になると新芽が伸び始め、茶農家は芽の大きさや柔らかさ、天候などを確認しながら、摘採の時期を判断します。茶葉の状態は、摘み取る時期によって変わります。
新芽が若いうちに摘めば、柔らかな生葉を収穫できます。一方で、成長を待てば収量は増えますが、芽が育つほど葉は硬くなっていきます。

また、品種による萌芽時期の違いに加え、標高、気温、日照、その年の天候によっても、新芽の成長は変わります。そのため茶農家は、単に「新茶の季節になったから摘む」のではありません。
実際の茶園や新芽の状態を見ながら、生葉の状態と、どのようなお茶を作りたいのかを考え、摘採時期を判断しています。

茶園の立地や規模で変わる収穫方法|手摘みと機械摘み
静岡県には、川根、本山、両河内などの山間地に広がる茶産地がある一方、牧之原のように広い台地に茶園が広がる産地もあります。同じ茶農家でも、茶園の立地や規模によって、仕事のあり方は大きく異なります。
茶葉の収穫方法も一つではありません。人の手で芽を摘み取る「手摘み」のほか、可搬型や乗用型の摘採機を使う「機械摘み」も行われています。
手摘みでは、摘み取る芽を人の目で確認しながら、必要な茶葉を丁寧に選ぶことができます。一方で、多くの人手と時間が必要です。人件費の負担や、摘み手の高齢化による人材確保の難しさも課題として語られています。

山間地では、一つひとつの茶畑が小さく、傾斜地に点在していることがあります。そのため、人の手による管理や、小型の機械を使った作業が必要になる場合もあります。また、茶園の形状によっては、大型機械を入れにくい場所も少なくありません。

一方、比較的平坦で広い茶園では、乗用型の摘採機をはじめとする農業機械を導入し、広い茶園を効率よく収穫することができます。こうした環境を生かし、大規模な茶園経営が行われている地域もあります。
▲山平園での作業風景。斜面の茶畑では手作業を中心に、平坦な茶園では農業機械を使って作業しています。
ただし、「山間地だから小規模」「平坦地だから大規模」と単純に分けられるわけではありません。茶園面積、品種、製茶設備、人員、販売方法、そして作り手がどのようなお茶を作りたいのかによって、収穫方法は変わります。
摘んだ茶葉はどうなる?生葉から荒茶までの流れと茶農家の加工範囲
茶畑で摘み取ったばかりの茶葉は、「生葉」と呼ばれます。煎茶などの蒸し製緑茶では、まず生葉を蒸して酸化酵素の働きを止めます。その後、茶葉を揉みながら水分を減らし、乾燥させていきます。
この段階で出来上がるのが「荒茶」です。荒茶の段階では、茶葉の大きさや形はまだ揃っておらず、茎なども含まれています。一般的には、荒茶は茶農家から茶問屋へ卸されます。
その後、選別や火入れなどの仕上げ工程を経て、私たちが店頭で目にする商品へと仕上げられていきます。

ここで重要なのが、すべての茶農家が同じ段階まで加工するわけではないということです。茶農家によって、生葉のまま出荷する場合もあれば、荒茶づくりまで行う場合もあります。
生葉売り・自園自製・自園自製自販|茶農家によって異なる経営
茶農家の仕事を理解するには、単に「畑でお茶を育てる人」と捉えるだけでは不十分です。茶畑での栽培から、製茶、販売、消費者への届け方まで、どこまでを自ら担っているのかを見る必要があります。
茶農家のあり方は、主に次のようないくつかの形態に分けられます。

生葉を出荷する農家
茶畑で茶葉を栽培・摘採し、収穫した生葉を製茶工場などへ出荷する形です。この場合、農家の主な仕事は、茶園管理と生葉の生産です。

自ら荒茶まで製造する農家
自分の茶園で育てた茶葉を、自家工場または共同製茶工場などで荒茶まで加工する形です。茶畑の状態をよく知る農家自身が、蒸し、揉み、乾燥といった製茶工程にも関わります。
こうして仕上げた荒茶は、茶市場などを通じて茶問屋へ卸され、茶農家の収入となります。

栽培から商品づくり・販売まで担う「自園自製自販」の茶農家
茶農家が育てるチャノキからは、さまざまな日本茶が作られます。煎茶、玉露、和紅茶、釜炒り茶、ほうじ茶の原料となる茶葉など、その種類は多岐にわたります。
さらに、品種や摘採時期、栽培方法、製法を変えることで、一つの農園から異なる個性を持つお茶が生まれることもあります。

荒茶の製造だけでなく、こうした多様なお茶を商品として仕上げ、袋詰めや商品企画、店舗販売、オンラインショップでの販売まで自ら手がける茶農家もいます。
このように、栽培から製造、販売までを一貫して行う形は、「自園自製自販」と呼ばれることがあります。

品評会茶づくり|品質を追う技術と、茶農家が向き合う経営判断
茶農家のなかには、品評会への出品を目指し、通常販売するお茶とは異なる茶づくりに取り組む生産者もいます。一方で、品評会への挑戦には、限られた人手や時間をどこまで振り向けるかという経営判断も伴います。そのため、簡単に決断できるものではありません。
川根本町の静香農園は、これまで数々の茶品評会で受賞してきた茶農家です。

園主の小西宣幸さんによると、品評会で上位を目指すには、出品用のお茶を育てるための特別な茶園を用意し、手摘みで収穫したうえで、通常以上に丁寧な製茶を行う必要があるそうです。そこには、膨大な手間と時間がかかります。
限られた人手や時間を、品評会に向けた茶づくりへ投入し、品質を極限まで追求するのか。それとも、日々購入してくれる顧客へ安定して商品を届けるために使うのか。茶農家は、そうした判断を迫られることになります。

静香農園では現在、品評会への出品を控え、その労力を顧客へ高品質なお茶を届けるための生産に充てています。
有機栽培という選択。農法から経営までをどう設計するか
茶農家のなかには、有機栽培に取り組む生産者もいます。ただし、その考え方や方法、取り組み方は一様ではありません。環境への負荷を抑える農業は、一見すると理想的に見えます。しかし実際には、生産量、人手、販売価格、販路などを含め、その農法で経営をどう成立させるかまで考える必要があります。
富士市の山平園は、2003年から農薬を使わず、魚粕や大豆粕など自然由来の肥料を使った茶づくりを続けています。一方で、除草剤を使わないため、真夏には過酷な草取り作業が避けられません。

さらに、有機農産物として販売するための認証にも負担があります。山平園は2021年に有機JASを取得していますが、認証にはまとまった費用がかかります。申請に必要な書類も多く、日々の農作業と並行して進めなければなりません。
つまり、有機栽培を選ぶことは、単に「農薬を使わない」という話ではありません。雑草をどう管理するのか。土をどう作るのか。認証に必要な費用や事務作業を誰が担うのか。

そして、その方法でどれだけのお茶を生産できるのか。茶農家によって土地、気候、経営条件は異なります。そのなかで、どの栽培方法を選ぶのか。有機栽培とは、農業そのものをどう設計するかという問いでもあります。
茶農家の収入は何によって変わる?経営規模・製造・販売から考える
茶農家について調べていると、「年収はどのくらいなのか」と気になる方もいるかもしれません。しかし、茶農家の収入を一つの数字で示すことは簡単ではありません。
茶園の面積、生葉で販売するのか、荒茶まで製造するのか、自分で小売まで行うのかによって、売上も経費も大きく変わるためです。さらに、家族経営か法人経営か、専業か兼業かによっても、経営の形は異なります。
そのため、「茶農家なら年収○○万円」と一律に考えるよりも、どれだけの面積を経営し、どこまで製造し、どのような販売方法を取っているのかを見るほうが、実際の茶農家の経営を理解しやすくなります。
【編集部メモ】これまでの取材記事は、茶農家の取材記事一覧からご覧いただけます。
茶農家と茶問屋の違い。それぞれが担う役割とは
茶農家と茶問屋は、どちらも日本茶づくりを支える存在ですが、基本的な役割は異なります。茶農家は、茶畑で茶の木を育て、生葉を生産するところから仕事が始まります。

一方、茶問屋は、荒茶などを仕入れ、茶葉を見極めながら選別、火入れ、合組などの仕上げを行い、商品として流通させる役割を担ってきました。

ただし現在では、茶農家自身が仕上げや販売まで行うこともあれば、茶問屋が小売店やカフェを運営することもあります。そのため、現場では両者の仕事が一部重なることもあります。
わかりやすく言えば、茶農家は「茶を育てるところ」から始まり、茶問屋は「できた茶を見極め、仕上げ、届けるところ」を得意としてきた存在といえます。
近年では、自園・自製・自販に取り組む茶農家も増えています。とはいえ、茶を商品として仕上げ、流通させる役割を茶問屋が担ってきたことは、日本茶の流通を理解するうえで重要なポイントです。

茶農家はなぜ、消費者と直接つながるようになったのか
茶農家の中には、栽培や製茶に集中し、その後の仕上げや販売を茶問屋や販売店に任せる人たちがいます。一方で、自らブランドを立ち上げ、商品パッケージを考え、オンラインショップや直売所で販売する生産者もいます。さらに、イベントや茶会、カフェ運営まで手がけ、消費者に直接お茶の魅力を伝える動きも広がっています。

その理由は一つではありません。取材を続けると、「中間業者を通さずに利益を増やしたい」という単純な話だけではなく、それぞれの産地や茶農家が置かれている状況が見えてきました。
市場で伝わりにくい価値を、自分たちで届ける|全量小売りを選んだつちや農園
川根本町の標高600メートルの山間地に茶園を構えるつちや農園は、中生・晩生品種を中心に栽培しています。その土地でじっくり育った茶葉の個性を生かした茶づくりが特徴です。
そのため、一般に新茶時期とされる4月よりも、収穫時期は少し遅くなります。

一方で、市場では新茶の早さが価値として見られやすく、収穫の遅い山のお茶は、本来の品質や価値が適切に評価されにくいことがあるといいます。
そこで、つちや農園は、市場に合わせるのではなく、自分たちのお茶の価値を理解してくれる飲み手へ直接届ける道として、全量小売りを選びました。
こうした直販は、単に価格を自分たちで決めるためだけの方法ではありません。育てる。作る。伝える。売る。そこまでを一人の生産者、あるいは一つの農園が担うという、大きな決意でもあるのです。

「本当は栽培と製造に集中したい」|相藤園が自ら販売する理由
一方、川根本町の相藤園への取材では、より厳しい現実も語られました。かつては、質の高い荒茶を作れば安定した収入を得ることができました。しかし、荒茶の市場価格が低迷する中、それだけでは十分な収入を確保することが難しくなったといいます。
そうした状況を受け、相藤園でも小売やカフェ運営に取り組むようになりました。

ただ、そこで聞こえてきたのは、「本来はもっと茶の栽培と製造に専念したかった。しかし生活を守るためには、自分たちで販売する必要がある」という率直な声でした。
山平園への取材でも、「良いものを作ることに集中したい」という思いがある一方で、現状では自分たちで売らなければ生活できないという認識が語られています。つまり、自園自製自販やカフェ経営が広がる背景には、複数の理由があります。
品質を自ら伝えたい。
市場だけでは評価されにくい価値を届けたい。
自分で価格を決めたい。
そして、茶農家として経営を続けたい。
これらは、生産者側だけの問題ではありません。日本茶をどのように作り、届け、次の世代につないでいくのかという、茶産地全体の課題でもあります。

作るだけでは終わらない|広がる茶農家の仕事と6次産業化のジレンマ
仮に茶農家が自ら販売を始めても、商品を店頭やオンラインショップに並べるだけで自然に売れるわけではありません。川根本町の松島園では、現在のリーフ茶販売について、大手飲料メーカーのような広告力を持たない小さな茶農家にとって、まず「どこで買えるのか」を消費者に知ってもらうこと自体が難しいと語られています。
つまり、「良いお茶を作れば売れる」という時代ではなくなっています。その先にある、SNSで発信する、イベントに出店する、自らお茶を淹れる、カフェを開くといった取り組みまで、茶農家自身が考え、動く必要があります。こうした取り組みを通じて、自ら販売し、体験や観光まで広げていけば、新しい収益源や消費者との接点を作ることはできます。

一方で、それらすべてを生産者自身が担えば、仕事の範囲は際限なく広がります。その結果、栽培や製茶など、本来の仕事に使える時間が減っていく可能性もあります。
これは、いわゆる6次産業化が抱えるジレンマでもあります。松島園の園主・川﨑さん自身は、できるだけ茶農家が栽培と製茶に専念できる形が理想だと語っています。
▲茶園の管理は茶摘みだけでなく、施肥など様々な作業が一年を通して続きます。
しかし、これからの茶農家にとっては、どの品種を植え、いつ摘み、どの製法を選び、摘み取った茶葉をどのようなお茶に仕上げるのかだけではなくなっていくのでしょう。
誰に、何を、どのような形で届けるのか。そこまで考えることも、重要な経営判断になっていくのだと思います。
茶葉を売るだけではない。ティーテラスや茶畑ツアーで広がる茶園体験
近年、茶農家の仕事は茶葉を生産するだけにとどまりません。お茶を日常的に飲まない人にも、茶畑を入口に日本茶へ関心を持ってもらうために、茶畑を訪れる機会をつくり、栽培や製茶、土地の特徴、景観、そこで過ごす時間も含めて、日本茶の価値を伝える取り組みが広がっています。
その一つが、茶畑の中に設けられたティーテラスです。

大地の茶の間【釜炒り茶柴本】
牧之原市の茶農家・釜炒り茶柴本が管理する茶園には、プライベートティーテラス大地の茶の間があります。お茶を飲んだことがある人は多くても、実際に茶畑を訪れる機会は多くありません。大地の茶の間は、広大な茶園の中でお茶を楽しみながら、お茶にあまりなじみのない人にも茶の魅力を知ってもらうための茶園体験です。

海と富士の茶の間【富士山まる茂茶園】
富士市では、富士山まる茂茶園が海と富士の茶の間を運営しています。茶畑から富士山、愛鷹山、駿河湾を望みながら、静岡茶を味わえる茶の間です。生産者の茶づくりと、富士山麓ならではの景観を一体で楽しめます。

茶畑を歩き、作り手から学ぶ日本茶ツアー【森内茶農園】
ティーテラスだけでなく、実際に茶畑を歩き、茶づくりについて学べる茶畑ツアーやお茶体験を行う茶農家もあります。静岡市の森内茶農園では、茶畑を見学した後、築150年を超える古民家で煎茶や紅茶、ほうじ茶などを飲み比べる日本茶体験プログラムを実施しています。
こうした茶園体験では、時期によって茶摘み体験やお茶づくりに参加できる場合もあります。国内だけでなく、海外からの旅行者も訪れています。これらの取り組みは、単なる観光サービスにとどまらず、茶葉だけでは伝わりにくい茶園の景観や製茶技術を、新しい日本茶の価値として外へ開いていく動きともいえます。

茶農家に一つの「正解」はない。それぞれが選ぶ茶づくりと経営のかたち
現在の「茶農家」という仕事を、一つの型にはめて語ることは難しいと感じます。どのようなお茶を作り、どこまで手をかけ、誰に、どのように届けるのか。それが大切であることは間違いありません。
一方で、自ら販売まで行えば、商品の価値を消費者に直接伝えられる反面、営業やマーケティングという新たな仕事も増えます。

そして、こうした仕事をすべて自分で行うことが、必ずしも正しいわけではありません。取材で語られたように、本当は栽培と製茶に集中したいにもかかわらず、経営を守るために販売まで担わざるを得ない生産者もいます。
だからこそ、自園自製自販やティーテラスといった形だけを「進んだ茶農家の姿」と見なし、単純に評価することはできないでしょう。
有機栽培を選べば、除草や認証など、別の負担が生まれることがあります。品評会で高い評価を目指せば、特別な茶園や製茶に多くの時間と労力が必要になります。
それぞれに理由があり、それぞれの土地、設備、人員、技術、販売方法があります。そうした選択を積み重ねながら、自分たちの茶づくりと経営を成立させていく。それもまた、茶農家の仕事です。

目の前の茶農家は、どこで、どのようにお茶を作り、どう届けようとしているのか。品種や味、香りだけでなく、一杯のお茶の背景にまで目を向けること。そうすることで、日本茶は単なる飲み物ではなく、その土地で暮らし、茶を作り続ける人々の営みとして、より奥行きを持って見えてきます。
そして、その多様性こそが、現在の茶農家の姿なのかもしれません。

| この記事を書いた人 | Norikazu Iwamoto |
| 経歴 | 「静岡茶の情報を世界に届ける」を目的としたお茶メディアOCHATIMES(お茶タイムズ)を運営。2021~25年に静岡県山間100銘茶審査員を務める。静岡県副県知事と面会。お茶タイムズは世界お茶祭りHP、お茶のまち静岡市HP、静岡県立大学茶学総合研究センターHP、農林水産省HPで紹介されています。地元ラジオやメディアに出演経験あり。 |
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