富士山まる茂茶園(前編)

OCHA TIMES
富士山まる茂茶園(前編)
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静岡県中山間100銘茶協議会会長、五代目本多茂兵衛の生み出す「富士御茶」とは

「富士御茶」とは富士山の土と風で育まれた、自然の恵みを九十余年重ねてきた技術で生み出された匠の茶。
富士御茶を口に含んだ瞬間
舌を少しだけ淡い刺激が打ち
ほんの一瞬だけ土を噛んでいるような苦みを感じた後
甘い香味が幾重も波のように鼻腔に広がっていき
心地よく喉に馴染み流れていく。
※編集長の感想です。

そんな見事な香味を生み出すことを「まる茂」の屋号で生業にしてきた、「本多茂兵衛」の五代目(静岡県中山間100銘茶協議会の会長)にお話を聞かせていただきました。



本多茂兵衛「よろしければ、茶園に案内しましょうか。この茶工場から車でほんの数分で着きます。」

―「茶園というと、もしかしてあの茶事変プロジェクトで有名な茶の間の事ですか? 」

本多茂兵衛「そうですよ。」

―「ありがとうございます。是非一度行ってみたかった場所です。」

富士山と太平洋を見ながらお茶を飲める 「海と富士山の見える茶園」にある「茶の間」

本多茂兵衛「ここの茶園は、「海と富士山の見える茶園」の名前でグーグルに美術館登録しています。
ここからは
富士山
愛鷹山
駿河湾が一度に見えます。
風の抜けもよく、新幹線、田園、松林の先に太平洋まで見通せる。

お茶摘み体験の会場としてずっと使ってきたのですが、ここでお茶が飲めたら素敵だな、と。
植物・植生をテーマに活動している現代アーティストの山本修路くんと二人で、平成30年の夏に富士山から切り出した地元の木材・富士ひのきで作ったのが、こちらのあずま屋。

「富士の茶の間」とも呼ばれています。
使うにはうちの自社サイトや、私の関わっている茶事変プロジェクトのサイトから予約ができます。

―「素晴らしく美しい爽快な場所ですね。ここは海外の人々も多く来られている場所だと聞いています。」

本多茂兵衛「色んな国の方が来ます。
例えば、海の方向を指さして、こちらの方角に13時間ほど行くと貴方の国ですよ、と言ったりすると喜びます(笑)。
台湾からは日本茶を学びに茶師 張家獻様も来られました。」

↓本多茂兵衛様(左)と台湾の茶師 張家獻様(右)

茶園というフィールドをもっと堪能してほしい。

本多茂兵衛「この畑には沢山の品種が植えてあります。
この茶の間のまわりにあるのが↓「さやまかおり」。夏に紅茶を作ると美味しい。」

本多茂兵衛「奥にあるのがご存知、日本一の品種↓「やぶきた」」

本多茂兵衛「一段高いところが↓「めいりょく」。釜炒り茶や白茶、烏龍茶を作ります。」

本多茂兵衛「それに↓「さきみどり」。宮崎で開発された品種です。烏龍茶にすると面白い。」

本多茂兵衛「こうやって、いろんな品種を植えることで一年中何かしらのお茶の体験が出来る。寒い時期だと、こういった硬くなった葉を使って、ほうじ茶を作ったりもする。事前に予約をいただければ手揉みや釜炒りも受け付けます。」

―「凄いですね。ここまで手広くお茶の体験をやっているところは、あまりないと思います。」

本多茂兵衛「夏や晩秋にバーベキューをしたり、鍋をしたり、それに合うお茶をペアリングしたりする。焼き芋や燻製も青空の下でワイワイやるととても楽しいです。」

本多茂兵衛「単純にお茶のことを体験するだけじゃなくて、茶園というフィールドをもっと堪能してほしい。
時間貸しをしていると色々な使われ方をされていて嬉しくなります。
茶道の先生が野点をしましたし、尺八と琴の演奏も楽しかった。
ヨガやお酒の宴会、もちろん「何もしない」をやりに来る方もいる。

特に海外からのゲストは、限られた時間で西に東に慌ただしく移動してる途中に寄る事が多いので、必ず30分から1時間何もしない時間を作ります。誰にも邪魔をされず、安全な場所でリラックスした時間を異国で経験する機会を提供したいのです。

ホッとするのがお茶ですから。

崖の方に行かないよう気を付けていただければ子供も犬もつれてきて良いですよ。」

↓季節や時間帯によって風景が変わっていく様は息を飲むほどに美しい。

「なぜOCHATIMESを作ったのか?」

(↓呈茶をされる五代目本田茂兵衛さん)

本多茂兵衛「貴方はどうして農家や問屋さんの記事を書き、WEBにアップしようと思ったのですか?」

―「発信の面を整備することで、日本茶は復興するのではないかと思ったからです。
私は日本酒も好きなのですが、日本酒は確実に復興してきています。
日本酒には蔵元という生産者の顔や背景、生み出すドラマが紐づけされている。
だから一期一会の特別な飲み物という楽しみ方が出来ます。
しかし日本茶ではそれがほとんど削ぎ落とされている。
シングルオリジンであれば生産者。
合組であれば茶師。
そういった生産のドラマこそが面白いし、お茶を特別な飲み物にすると思うのです。」

本多茂兵衛「良い問屋による良い合組もあります、それは間違いない。しかし、合組は問屋・茶匠の専売特許のようでそうでもない。
都内の販売店では店主が合組をして自分のお茶を作っているところもある。
そうなると、最終的に消費者には生産農家や茶師どころか問屋、産地名すらそぎ落とされて、途中にこもる我々の熱意は伝わらない。

大量消費の日用品の時代には良かったのかもしれませんが、趣味人の嗜好品としては没個性すぎて成立しない。
その点はお酒の世界と大きく違うところでしょう。」

―「日本酒は蔵開きのイベントやフェスを、積極的に行っています。作り手とファンとの交流もとても上手なので、日本酒ファンがどんどん増えている。情報発信の媒体としてSAKETIMESだってあります。」

↓日本酒を愛する関東最大級の日本酒コミュニティ「東京日本酒部」

―「ならば、お茶の情報発信の媒体としてOCHATIMESがあっても良いでしょう。
グランシップの世界お茶まつりは、私でも開催日を直前まで知らなかった。それが現在のお茶業界の情報発信の現状です。そういった状況はあまりにも勿体ない。発信をもっと強めるべきだ、という提案はしてきました。
しかし、誰もやらなかった。
ならば私がやってみたい。

お茶を作り上げるまでの工程は本当に過酷です。
私は金属加工の仕事に就いているのですが(昔務めていた会社で月150時間の残業の経験あり。しかも残業代は未払い)お茶業界の製造工程を見て、実際に体験してみてその大変さに驚きました。
しかも自然が相手なので、再現性もない上に予定も目まぐるしく変わる。
その上、樹を植えてから収穫までに3年以上かかる。

そういったドラマやストーリーがあることを知ると、またお茶に対する見方も変わると思うのです。

本多茂兵衛「私の茶工場の外には、種から育てた「実生」茶の木が置いてあります。
東静岡駅近く、グランシップの広場の隅にある茶の木「ほうりょく」と「こやにし」という品種の間に転がっていた茶の種を自宅で栽培して増やしてみたものです。」

↓種から芽吹いた茶の木

↓世界お茶まつり2019でグランシップに里帰りした実生の茶

本多茂兵衛「ちょうど5年前の世界お茶まつりの時なので、ここまで育つのに5年ほどかかりました。グランシップのイベントには万人単位で来ているのに、誰もそこに植えてある茶の木や種に興味を持たずに素通りしていたのが印象的でした。
茶園に立つ身としてはお茶の木や土などから、一杯の茶に至るまでの過程が面白いのに。
皆カップ一杯の茶を淹れることに神経を集中する割に
その茶がどうやってできているのか
どうやって栽培されているのか
その土は
気候は
と興味が広がっていかないのはもどかしく、もったいない気持ちになります。
もっとも、そんなことを気にしてお茶を見ているのは、同業者でも数名に限られてしまうのかもしれませんが。」

―「本多さんは、何故このお茶がこのような香味になるのか、その理由を
肥料の加え方
地質
風の強さ
天候などとの関連性の言語化をして説明してみせますよね。
それには本当に驚きました。(このことに関しては長くなるのでいずれ別記事を設けようと思います)

本多茂兵衛「お茶の栽培をする上で、それぞれの作業には一個一個意味がある。

その積み重ねでやるのですが、それらを言語化していくことはあまりないことなのかもしれません。
ある程度、それぞれの土地はこうなるという経験則の下で、やっていたりする人が多いのだと思います。
それが悪いとは言いません。
それがその土地に合った結果でしょうから。
考えているから良い悪いではないと思います。

自分が何をするとどうなるかを、分かっていたいと私が思っているだけです。
様々な畑も見てきました。
それぞれの畑ごとに、ちょっとずつコンセプトが違う。
その違いの中で、なぜこうなったのかを考えます。
お茶の栽培というのは見えていない部分が沢山あるので、色んなやり方を試したりします。
そういったやり方をすることで、50年経たなければ気付かないことに、私は5年や10年で気づきたかった。

真理ではないかもしれないけれど、事実が何を基づいているのかというのを、せめて自分が説明できるように体系化したかった。

本多茂兵衛「そうすることで、例えば10年間お茶畑から離れてしまっていても、またお茶を再開するときにすぐに戻れる。
また誰かがお茶を始めたいとする時に、しっかりと理解している人が教えていけば、一から始める必要はありません。
こういう時にはこうなる、とある程度原理が分かっていれば新規参入もしやすくなるのでしょう。

後編に続く)

~富士山まる茂茶園の情報・購入方法・茶園体験の申し込み~

住所 〒417-0841 静岡県富士市富士岡1765
ホームページ

購入方法

茶園体験の申し込み

http://corp.fuji-tea.jp/

(↑富士山まる茂茶園ホームページ)

https://fuji-tea.stores.jp/

(↑オンラインストア。ここから購入できます)

https://chajihen.com/contents/chanoma/fuji-chanoma/

(↑「海と富士山の見える茶園」の体験予約)

instagram https://www.instagram.com/honda_mohei/
電話番号 0545-30-8825
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QRコード決済非対応

営業時間 問い合わせ
定休日 問い合わせ
駐車場 あり(少数台)
アクセス 最寄り駅、新富士駅より車15分

吉原駅より車15分

 

国道1号線富士東インターを降りて北上、県道76号線を北上し、

県道22号線との交差点を直進、坂道手前を右折、赤淵川を渡ってすぐを左折して200m

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