茶屋すずわが魅せる暮らしに寄り添うお茶の形【静岡県・静岡市】

OCHA TIMES
茶屋すずわが魅せる暮らしに寄り添うお茶の形【静岡県・静岡市】

静岡市で170年お茶を作り続けている茶問屋鈴和商店。様々な産地の茶葉をブレンドしてお茶を仕上げる「合組(ごうぐみ)」という伝統的な技術で、数々の栄誉を受賞している茶問屋です。直接お茶を買いに来てくれるお客さんと触れ合う場として茶屋すずわは、SNSを駆使したお茶の魅力の発信をしお茶好きだけでなくお茶を知らない人達からも注目を集めています。

伝統的な合組技術に強いこだわりを持ちながらも、茶業の明るい未来の為には変化も受け入れなければならないという想いを鈴和商店の6代目、渥美慶祐さんのインタビューも交えてお伝えしていきます。

~月花蜜~茶屋すずわと料理家夕顔が共作

料理家「夕顔」がディレクションし、パッケージデザインはイラストレーター山口洋佑氏が制作。

本来の緑茶品種には含まれない強い花香を持つ在来実生種の茶を使用。

その茶葉を釡炒りした後、発酵させたものと、希少な白葉茶を独自の比率で合組し、夕顔さんと共に試行錯誤しながら作り上げました。


花の蜜を想わせる甘味

マスカットのような瑞々しい香り

この二つが絶妙なバランスで合わさっており、奥行きのある複雑な味わいでありながらも、どこか親しみやすさも感じられます。

自分で使ってみて良いと感じた茶器だけを店に置いている


渥美慶祐さんにお話を聞かせて頂きました。


―素敵な雰囲気の店内ですね。
こういった店内の様子はどのように決められたのですか?


渥美慶祐「この場所は、もとは駐車場だったんです。
沢山のお茶が集められる場所として使用していました。

当時、ウチでは卸売りがメインで小売りをしていなかったのですが
そんな中でも、お客さんがこの場所にまでお茶を買いに来てくれることが何度もあったんです。

その時はその場で対応していたのですが、なんか申し訳ないなと思いまして(笑)
小売りは最初はネットから始めて
ここには小屋を作ろう、と。
そうして、この場所が出来ました。」

渥美慶祐「ここに置いてある作家さんの急須とかは全て自分で使ってみて、私自身がこれは良いな、と感じたものです。

気に入った作家さんに、こういうのを作ってみて、と依頼して製作していただいたりもしてます。
現在、大体10人くらいの作家さんのものが置いてある。
クラフトの個展に行くたびに、どんどん増えていってしまってます(笑)」


―ここにある茶器は全て実際に渥美さん自身で使用してみて、良いと感じたものだけを置いているのですね。

渥美慶祐「はい。ちなみに、この棚の中のものは全部自分の私物です。」

▲渥美さんの私物が飾られている棚(売り物ではない)

―この棚の中のものは売り物ではないんですか?

渥美慶祐「そうなんですよ、これは私のもので売り物ではないんです。まだまだ一杯家にもある(笑)」


問屋の役割とは何なのか

渥美慶祐「茶屋すずわを営む鈴和商店は創業が嘉永元年(1848年)。
170年お茶を作り続けていて、私が6代目になります。
現在、お茶が低迷していながら、これだけ流通も発達している中で
私達問屋の良さ、価値とは、役割とは何なのかと凄く自問自答することがあります。

茶樹を育てるわけでもない
茶葉を揉むわけでもない
直接販売して売るわけでもない

その間に居る私達問屋の役割とはなんなのか

私は問屋の価値は合組の技術なのだと思います。」


▲茶屋すずわは、その技術の高さで多くの賞を得ている

―合組とは簡単に言うとブレンドのことですよね。
一般的に世間はブレンドというものに、あまり良いイメージを持っていないかもしれません。

渥美慶祐「お茶屋の合組は誇るべき技術なのです。
今はシングルオリジンが人気という事もありますが、私達はシングルでは絶対に出来ないものを合組の技術で出来ると思います。
お客さんからフィードバック得ながら、私達問屋の合組技術を生かして最高の一杯を追求していく。

そうしてお客さんから
「美味しいね」と
言われるものを作っていきたい、という気持ちがある。

この先も、私達はこの合組の技術をもっと磨いていきたい。
この道には一生かけても終わりがありません。」

渥美慶祐「勿論、お茶は何が一番とか、何が良い悪いかではないです。
お茶は嗜好品です。
競うものでもない。
皆味覚も違う。

どういう淹れ方をしようが、飲んでくれた人が美味しいと言えば、その人にとってのそれが美味しいお茶なのでしょう。

私が手摘みのお茶を淹れてみても、ペットボトルのお茶が美味しいという若い人がいれば、それが美味しいお茶なのだと思います。
それはお客さんに選んでもらうものですから。

そういった中で、ただ純粋に私達が作り上げたお茶が美味しいねと、言ってもらえるのが一番嬉しい。」

渥美慶祐「静岡はお茶の生産地というだけでなく、全国からお茶が集まる集積地でもあります。

お茶の流通網としても、お茶を見る機会が多いので、お茶を見る目が培われ、その良し悪しが分かるようになる。

それは、私達の技術そのものでもあるのです。
そういう部分も、もっと上手く表現できないか、と考えています。

その先に、消費者から見た私達問屋の価値があるのではないでしょうか。」

茶業者のいないところにお茶をもっていくことが手軽に出来るのがSNS

―茶屋すずわさんは、SNS上でも人気が凄いですね。

渥美慶祐「私は無料で出来るSNSを使っているだけです。(笑)

お茶のイベント行くと、同業の茶業者しか集まらなかったりする。
私は茶業者のいないところに、もっとお茶をもっていきたい。

お金を使わなくて手軽に他業者に、お茶の面白さを伝えることが出来るのが、SNSなのかなと思います。」

―SNSでお茶を綺麗な花火みたいな写真にして載せてますよね。あれは本当に綺麗で見とれてしまいました。

茶屋すずわ▲渥美さんが撮影してSNS上に載せたお茶の写真

渥美慶祐「お茶は緑一色というイメージがある。
今は農家さんもいろんなものを作っていて多様性が凄くあります。
それがどうしたら伝わるんだろう、と思いまして
視覚からいろんな水色があれば面白いかな、と。

私はお茶の写真を撮るのも好きなんですよ(笑)」

―着色料を加えないで、これだけ多くの水色がある飲み物はお茶しかないと思います。
そういったことは一般的にあまり認知されていないのではないでしょうか。

渥美慶祐「茶業者のなかで、紅茶は当たり前に作っているのですが
お客さんからは日本で紅茶なんて作っているの?
日本でウーロン茶って作れるの?と驚かれる。

そういうのってお茶に触れ合わない人からすれば珍しいみたいです。

私達から
新しいもの
おもしろいもの
をもっと発信して見せていけば、いつかお茶を好きになってくれるのかな、と思います。」

▲おやすみのお茶、めざめのお茶、おやつのお茶などのネーミングからは、渥美さんのお茶への愛着が感じられます

渥美慶祐「イベントも日本茶のイベントではなく、私が作家さんのクラフトが好きなので、作家さんのクラフトイベントに出して頂いたりしています。

私はお茶と関わらない人との接点を増やしていきたいですし、好きな作家さんのものと絡めていけば、お茶ももっと面白いんじゃないかな。」

お茶の情景的な部分も楽しんで欲しい

渥美慶祐「お茶には、健康に良いという機能は勿論ですが、表情もあると思います。

誰と飲むか
どんな急須を使うか
こんな空気感でとか

香と味だけではない、そういった外的な要因が関係してくるのも、お茶の好きなところです。
カップラーメンだって、富士山のぼって山頂で食べるカップラーメンは凄く美味しいでしょう(笑)

お茶もあまり好きでもない人と、かしこまって飲むよりは
縁側でおばあちゃんの淹れてくれた一杯の方が美味しい
そういう情景的な部分も楽しんで欲しい。

▲鳥たちが羽を休める止まり木のような、おだやかで大切な存在でありたいと願いから鳥が描かれています

渥美慶祐「お茶の楽しみ方は自由
どんなものでも、お茶は淹れられる
ティーバックでもドリッパーでも良い
東京茶寮だってドリッパーですもんね。

その辺の楽しみかたを押し付けるつもりはないですし、そこは決めつけるのが一番駄目だと思います。

逆に僕ら茶業者が分からないことを言ってもらって、それをフィードバックとして受け入れるというのも一つの案です。

僕らは僕らでやることをやる。
時には、お客さんの意見を受け入れてみて、それが面白いなと思えばどんどんやっていくべき。」

渥美慶祐「数字だけ見れば、お茶は消費量も生産量も減っているのは事実。

お茶へのこだわりはあるのですが、そこを伝えて切れていないとそういう状態になっても仕方がないのかな。

この先、何かが変わらなければ、それが増えることはないだろうと思います。

長い歴史を見れば、なんだかんだいって変化しながら現在がある。
お茶もそこは変化を受け入れなければいけない時代なのかもしれないのかもしれません。

 ~茶屋すずわの情報・購入方法~

住所 〒420-0011 静岡県静岡市葵区安西3丁目68
ホームページ https://www.chaya-suzuwa.jp/

↑店のホームページから

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電話番号 (054)271-1238
電子マネー・カード決済 対応済み
営業時間 平日10時〜16時半 第2.4土曜 11時〜18時
定休日 木、土曜、日曜日、祝日
駐車場 あり
アクセス JR静岡駅から車で約15分

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