豊好園

OCHA TIMES
豊好園

標高350mの山間部「両河内」で20種類以上の品種茶・玉露・煎茶・ほうじ茶・和紅茶などを栽培・製造・販売する茶農家

グリーンエイトカフェで北条社長にオススメされた豊好園。茶葉の販売はネット通販が主のようですが、豊好園の方が在宅であれば直接買うことも出来ます。豊公園は営業時間が決まってはいないので事前に電話予約が必要。指定の住所についても店舗らしきものは見当たらないので、電話して農家の方に来てもらい徒歩で場所に案内してもらいます。

豊好園は平成二十七年度 皇室献上茶 指定茶園。品種が多い。全国でもこれほど沢山の品種を出しているところはないと思います。

一本5000円する高級ボトルのお茶もあります。

色々な茶を試飲させてもらいながら、お話しさせていただきました。


—「最近の日本茶業界についてはどう感じていますか?」

豊好園「とても厳しいです。特に福島原発の風評被害で一時期は一気に落ち込みました。今は大分戻りましたけれど。」

—「原発って福島ですよね。静岡にまで風評被害があったんですか。輸出はどうでしょう、日本茶は輸出が好調だそうですが。」

豊好園「一部の方だけですよ。皆が輸出できるわけではないですから。昔は贈答品としてまとめて日本茶を買われる方も沢山いらっしゃったんですが、今や急須自体を持っていない方も多くなってきて、飲まれなくなっているから値段も下がってしまうんです。今の若い方たちは、お茶を出してほしいといったらペットボトルのお茶を持ってきますからね。」

—「確かに私の周りでも急須を持っている人は多くはないです。」

このままでは傾斜の茶畑栽培をする茶農家は減り続けていく。

豊好園「このままだと傾斜の茶農家はどんどん減っていきます。今は岡部の方で玉露をやっているようですが、昔は20ヘクタールあったのが、いまや8ヘクタールまで農地が減少しました。静岡の本山茶もどのくらい残るかわかりません。急傾斜の茶畑は効率が悪いんです。牧之原の茶畑のように平らな台地で栽培する茶畑であれば、栽培もしやすいのですが、傾斜の茶畑は効率化に向いていないので。」

—「平らな台地の牧之原の茶」と「急傾斜の地の本山茶」とどう違うんですか?」

豊好園「牧之原のような平地であれば朝から夕方まで日があたり、葉肉が厚くなります。コクと旨みはあるものの若干渋みも強いです。また平地の茶畑であれば、立地的にも機械化しやすいんです。本山茶というのは山の傾斜の上に成り立つ茶畑なので日の当たる時間が短いく葉肉が薄いんです。当然味の違いも出ます。色も薄く、柔らかい味で爽やかな香りが特徴です。しかし傾斜の茶畑だと機械化も難しいのです。効率化に向かないこういった茶畑の農家はあと5年くらいでほとんど消えてしまうでしょう。とにかく今は急須の茶が飲まれないので、茶の値段自体がどんどん下がっていますし。このままだと近いうちに静岡茶は鹿児島茶に抜かれてしまうでしょう。」

—「静岡茶の日本一の地位もなくなってしまうのですか!?

豊好園「はい、特に問題なのが後継ぎ問題です。とても厳しい仕事なので、儲からないから自分の子供に継がせられないと廃業してしまう方がほとんどなのです。本当に厳しいです。とにかく農家の高齢化が凄くて若い農家がほとんどいない。50代以上がほとんどです。農家が減れば農道も荒れます。」

—「農道が荒れるというのは?」

豊好園「畑への道が使われなくなり誰も通らなくなると、道が荒れるんです。そうなるとその整備も大変です。お金もかかりますし。それと茶農家って冬は収入ないんですよ。ほとんどは繁盛記456月のみの収入だけ。それ以降は在庫の茶葉が少し売れるくらいです。かといって冬は冬でやらなきゃいけない事があるしね。直接稼ぎに結びつかないだけで収穫期に向けてのいろんな準備をしなきゃいけない。」

—「厳しい世界ですね。」

「だから好きでなければ絶対に出来ない。僕はこの仕事は本当に好きだからやれてるんだと思う。本当にこの仕事が好きでたまらないんだ(笑)」
(話している重い内容に反比例するように満面の笑顔で話す片平次郎さん)

合組によってより日本茶を美味しく仕上げる問屋の現状について

豊好園「とにかく茶業界全体が厳しい。だから問屋なんかも大変だと思うよ。茶農家がどんどん減って仕入れ先が無くなっていくから問屋が扱う商品自体が無くなってしまうんだ。問屋もこのままじゃあマズイということで喫茶店を始めたりしてる所もあるんだと思う。」

—「問屋って商社みたいなものですよね。主にどんな役割をするんですか?」

豊好園「茶葉を我々農家から仕入れてから火入れして水分飛ばして形を整えたり、合組したりして売るんだ。特に火入れに関してのこの技術は強い。我々にはなかなか真似できない。」

—「合組ってブレンドですよね。」

豊好園「ブレンドっていうと悪いイメージをもたれがちですけれど、お茶というのはブレンドしてより美味しくなるんですよ。これは間違いないです。」

—「そうなんですか!?ブレンドっていうと確かにあまりよいイメージはないです。お茶はブレンドがありきのモノなんですね。」

豊好園「そうブレンドありき。もちろん小売店で買うのも良いよ。生産者に直接買い付けに行った方が安くてよいものが手に入ることも全然ある。ただ、店によってはクセもありがちだから、もしコンスタントに美味しいモノを手に入れたければ問屋で買った方が間違いないと思う。」

—「今は静岡にも沢山の茶店が出来てますよね。私がいろんな茶店を見てきて特に気になったのは、サングラムと佐藤園ですかね。特に佐藤園の2階は衝撃でした。」

豊好園「サングラムには今度ウチも参加するよ。シングルオリジンが今重要視されていてね。作り手の顔まで見えるような届ける形で参加することになった。ただ、このままだと静岡茶を作る農家そのものがどんどん減っていくから売ることが出来るだけの量が確保することが出来なくなってしまうんだよ。そのあたりが気がかりだね。あと5年10年先にはどうなってしまうか。間違いなく静岡の茶農家は激減してしまうだろう。鹿児島に抜かれるのも時間の問題だよ。」

品評会での優勝経験もある豊好園。

豊好園「品評会で優勝するような茶を出すような茶農家もどんどん消えていくでしょう。あれはコストもかかります。品評会のお茶摘みの人の日当送迎だけでもかなりかかる。ちなみに品評会というのは満点が200点満点。そこから減点方式で審査されるんです。ウチは一位になったこともあります。品評会は金がかかるイベントではあるけれど、ちゃんと審査してくれるから嬉しいんだよ。ただ傾向と対策を練る必要はあるかもだけどね。」

—「傾向と対策?」

豊好園「こういった茶を出せば入賞しやすい、っていうポイントのこと。そこに焦点をあてて仕上げた茶を出すんだ。他に日本茶AWARDっていうのもある。主に日本茶インストラクーの方々が独自の基準を持って良いお茶を審査するらしい。」

豊好園が進める日本茶カフェとは

—「静岡には沢山の日本茶カフェがありますけれど、豊好園さんが考える、静岡で良いお茶が飲める場所となると、どこがあると思いますか。」

豊好園「茶空間はもう行った?ここなら間違いないね。」

—「茶空間ですね、ありがとうございます。しかしいろいろお話を聞いていると、これからの日本茶業界ってますます厳しくなりそうですね。ペットボトルのお茶ばかりでなく、急須で淹れるお茶を広めていかないと本当にまずい事になりそうです。」

豊好園「ペットボトルのお茶も消して悪く言ってはいけない。ペットボトルのお茶メーカーが茶葉を大量に買い取ってくれるというおかげ茶業界が救われているという面もあるんだから。自分としてはペットボトルのお茶が急須でお茶を飲む入口になってくれたらいいな、と思っている。深蒸し茶を入口に、浅蒸し茶、そして玉露、最後に煎茶の底なしへ・・・」
(悪戯っぽい笑顔を浮かべる片平次郎さん)

—「煎茶の底なしですか!?」

豊好園「あはは、煎茶はもう底なしよ(笑)ホントに深い!こういうところに茶葉を買い付けにホントにお茶が好きな奴が来る。ここにある高級茶とかお茶好きがバンバン買っていくから。茶葉が売れない?どこが?って感じるくらい買っていくよ。(笑)」

—「では農家の方が自分達でも茶を売っていくこともあるわけですね。」

豊好園「確かに自分達で小売をすることで生き残ってきたという面もある。ただ小売に集中し過ぎると栽培がおろそかになりかねない。そこはバランスが本当に難しい。」

—「じゃあ消費者がこの豊好園まで買いに来ればいい。というのが理想的なんですね。」

豊好園「ウチは店にするつもりはないんだ。」

—「でも正直いうと、豊好園の茶をどうやって買えばいいのか分からないですよ。ホームページ見たけれど営業時間も載ってなかったし。だから電話して聞いて今日来たんです。」

豊好園「そういう人多いんだよ。でもそれでいいの。ウチは卸でやっていこうと思っている。商売っ気ないかもしれないけれど出来る限り生産に集中したい。茶葉は嗜好品というより、芸術だと思っているから。そもそもウチに直接来るなんてのは相当なマニアクラスだよ(笑)沢山の茶屋を巡るのであれば、そこで働いている人達をよく観察してみるといいよ。お茶はその人を表すだなんてよくいったもので、確かにいろんな面でお茶とそこで働いている人は繋がっているのが見えると思う。今は静岡茶業界も明るくはないかもしれないけど、きっとどんなしがらみもいつか晴れると僕は思っているよ。」


およそ5時間近くもの長い時間お話をしてくれた豊好園の片平次郎さん。茶業界を厳しいと言いながらも、お茶を作るという仕事が好きでたまらないんだ、と繰り返し明るい笑顔で話している姿が印象的な方でした。

ホームページからは雲海を望む茶畑見学ツアーなども申し込む事が出来ます。茶畑・雲海・富士山の三拍子がそろって観られるツアーは日本中探しても中々ありません。美味しいお茶と絶景を観に豊好園を訪ねてみてはいかがでしょうか。

以上、編集長による豊好園のレポートでした。

お店の情報

住所 〒424-0415 静岡県静岡市清水区布沢270
ホームページ http://houkouen.org/
電話番号 054-396-3336
電子マネー・カード決済 現金のみ
営業時間 問い合わせ確認
定休日 不定休
駐車場 あり(2台程度)
アクセス

 

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