山平園

OCHA TIMES
山平園
この記事の文字数4100字
(目次をクリックするとその箇所に飛べます)

雄大な富士山の麓で心を潤すお茶づくりを目指す

静岡県茶手揉み保存会会長と全国手揉み茶協会副会長を務める平柳利博さん、奥様の平柳啓子さんにお話を聞かせていただきました。


平柳利博「ようこそ山平園へ。
今お茶を淹れますね。これは去年初めて摘んだ「はるみどり」という美味しいお茶です。
この場所に一番合う品種をようやく見つられたのかもしれない。
山平園ではこの品種をこれから増やしていく予定です。」

↓はるみどり

平柳利博「私はペットボトルのお茶が喉を潤すお茶とするならば、これからは心を潤す効果を持つお茶が必要になるのだと思う。会議の場所等に良いお茶を置いておいて、心を潤していけば会議がもっとうまくいくんじゃないかな。」

平柳啓子「昔からお茶を飲んでいるときは喧嘩しないと言われていますしね。

―「心を潤すというのは美しい表現ですね。
戦国武将は傍らに千利休などが居たように、かつての日本人はとてもお茶を愛したそうです。毎日が生きるか死ぬかの殺し合いの中、茶人のお茶で一服する。そうして心を潤す時間を欲したのだと。

平柳利博「日本だと、よく女性にお茶を淹れる係をしていただいてますが、女性が「私はお茶を淹れる係ではない」と言うそうですね。しかし私からすれば

「貴方はお茶を淹れられるのか?」と思ってしまう

勿論、自由に淹れてもらって構わないですが、心を潤すようなお茶を淹れるというのは、決して簡単ではない。」

平柳啓子「都会で戦っている人は、特に心に潤いが必要だと思いますから、心を潤すカフェもあった方が良いでしょうね。他にも若いお母さんたちが、子供たちをゆっくり遊ばせながら、お茶を楽しめる場所もあると良いと思います。」

平柳利博「たまに外国の方から取材を受けるのですが、外国では心を潤すお茶という概念がないので通訳が出来ないんですよ(笑)。」

手揉み茶の真髄とは色のないお茶

平柳利博「手揉み茶は水色が出ない無色のお茶なのです。
これは手揉みの場合は茶葉の繊維に傷がつかないので、色素の元である茶の粉が出ないから。

つまり手揉み茶の真髄とは色のないお茶ということになります。

現在市場に出回っているお茶は、ほぼ全てが機械式です。特別な機会でもない限りは、手揉み茶を飲む機会はないでしょう。」

―「手揉み茶は無色のお茶なのですか、知りませんでした。技術も難しそうですね。」

平柳利博「簡単な方法もありますよ。茶園で幾つか茶葉を摘んできて、ホットプレート上で30分くらい乾かして揉んでを繰り返す、そうすれば手揉み茶は出来る。もし、それで凝ってきたら、もっと美味しいお茶を作るにはどうしたら良いか、と各々で追求していけばよい。

山平園には手揉みで作った紅茶もありますよ。」

↓山平園の手揉み和紅茶

平柳利博「手もみ紅茶の作り方は、まず一番茶の煎茶で天然玉露と言われる朝露の新茶の芽を萎凋したものを、蒸さずに冷凍します。これを手揉みで作ると、普通の緑茶のような形のした針金状の紅茶が出来る。

ちなみに玉露の手揉み茶もありますよ。
10g5000円で中国人の富裕層向けに売ってる(笑)」

―「10gで5000円!?凄い(笑)」

平柳利博「茶の都ミュージアムでは、手揉み茶のワークショップ体験を一年中やってます。

第2と第4日曜日。
講師は4人。
体験者は一回につき平均20人。
値段は20分300円です。

そういうところで、農家が自分のお茶を作るような教室をやっていたら面白いと思う。私は以前地元の小学校から頼まれて手揉み茶の講習をしたこともある。
手揉みも冷凍庫に良い材料を保存してありますので、旬の期間だけしかできないのではなく一年中出来ます。
教室を何回も開いていけば、いずれは上級編も出来るでしょう。」

平柳啓子「自分の手の中で作った自分だけのお茶っていうのは、絶対美味しいんですよね。私はいずれ、そういったワークショップもやりたいです。」

―「自分で手揉みしたお茶。お土産としても良いと思います。」

(静岡県の手揉み保存会は18支部あり流派は以下の8流派。
青透流~せいとうりゅう~
小笠流~おがさりゅう~
幾田流~いくたりゅう~
倉開流~そうかいりゅう~
川上流~かわかみりゅう~
鳳明流~ほうめいりゅう~
興津流~おきつりゅう~
川根揉み切り流~かわねもみきりりゅう~
平柳利博さんは静岡県茶手揉み保存会会長と全国手揉み茶協会副会長を務めている)

鹿児島の生産量が急激に増えているわけではない、静岡が急激に落ち続けている

平柳利博「新聞では、もう少しで静岡茶が鹿児島に抜かれるという報道されているが、そのデータに注目してほしい。鹿児島の生産量が急激に増えているわけではない、静岡が急激に落ち続けている。世の中から見れば、抜かれるというより王座から墜ちているように見えるでしょうね。鹿児島に抜かれるのは時間の問題です。」

―「静岡が日本一というブランドをなくしてしまったら、この先の地域産業がどうなるか怖いですね。茶業だけにとどまるとは到底思えません。観光、流通まで間違いなく影響が出る。」

平柳啓子「もともと静岡のお茶業界が男性社会的だという面もあると思います。九州では女性が働きやすいように、5キロパックにして持ちやすい重さにしてますよ。そういう改革は九州では進んでいるのかもしれないですね。」

―「なるほど。力仕事の分野でも女性が動きやすいように配慮することで、女性の参画が可能なわけですね。」

平柳利博「茶価が安くなっている原因は乗用型機械が出てきた、というのもあるのではないかと思う。あれなら一日に何万キロもお茶を摘める。山平園だったら一日かからないで終わる量だ。

昔の値段は葉っぱがキロ500円。
仮に乗用型で一日に一万キロ摘んだら毎日500万以上儲かる。
そんなに儲かったら皆人間が駄目になるね。
そんなことが続くわけがない、安くなるのが当たり前です。

平柳利博「一度に沢山取れるからコストがかからない、だから値段が安くても良い。そこから先は広げれば広げるだけコストが安くなる。
自動化が普及したら必ず大企業が参入してくるでしょう。資本が違うのだから、同じ分野にいたら勝てるわけがない。
喉が渇いたら飲むような、お茶を作っていたらとても単価的にもやっていけないのです。私たちは喉を潤すお茶ではなく心を潤すお茶を作るしかないと思っています。

↓山平園のお茶

平柳利博「九州は静岡よりもずっと広く平地が多いから、リモコンで複数台機械を動かして刈り取る。
静岡の傾斜ある山間地では、機械化が難しいから一人一人が手で摘んでいく。

どちらが良い悪いというつもりはないですが、その二つが同じお茶であるはずがない。しかし現実として茶価はそれほど変わらない。

であれば、そこで競争しても勝ち目はない。
大企業が手を出せないような大変な農業をやらないとだめだ。
私達が生きていく為には、自動化が出来ない農業をやるしかない。

私は良いお茶というのは、手摘みだと思っているのですが、もう手摘みを出来る人たちがいなくなりつつある。人件費やお茶摘みさんを募集する負担も課題だ。

平柳啓子「東京にお茶のイベントやフェスに勉強に行くと、お茶好きの皆さんからは
「八女のお茶とか鹿児島のこの品種のお茶が好きです」
っていう話題が出るの。
私は「えっ静岡じゃないの?」って驚いてます。
それが2年位前のことです。

3.11以来もう静岡のお茶はなかなか上がらないんです。事故直後の時期なんかは静岡茶を売ってすらもらえなった。茶商の方々の中には、原発から遠いところのお茶を求めて静岡を出ていき、戻ってこない方もあります。

―「風評被害はどこの茶農家も、凄いきつかったと皆言っています。このままの流れで生産者がいなくなれば、お茶が消費者の元に届かなくなってしまうことにもなるだろう、とも聞きました。」

平柳利博「このままいけば作り手がいなくなってしまうからね。農家がいなくなれば当然出回るお茶も無くなっていくでしょう。最近は風評被害もやっと収まってきました。それでも状況がキツイことに変わりはない。」

平柳啓子「相藤園さんの記事を見させていただきましたけど、本当にその通りだと思います。私達農家は良いものを作ることに集中したいのです。」

平柳啓子「現状は自分達で売らなければ、生活できないというのが実態になってしまっている。
しかし、私達農家には売るためのノウハウがない。そのあたりは本当に大変です。外に売りに行くのも確かに良い方法かもしれませんが、そのコストが私達農家には本当に辛いのです。

平柳利博「山平園は平成15年からオーガニックでやっているので、夏の草取りが本当に過酷です。そろそろ有機の認証も取ろうかなと思っているのですが、あの認証をとるのにも何十万もかかるんですよ。一農家が何十万も出すのは本当につらい。書類も膨大で農作業の合間にやるのは大変です。

日本人が世界で通用するには技術だと思う

平柳利博「私は「日本人は技術で生きていく人種」だと思っている。
日本にはアメリカのように資源もない。そんな日本人が世界で通用するとすれば、それは技術だろう。日本人は体格が小さいけれど知恵があるしね。
メジャーリーガーのイチローがしたように技術をもってすれば、体格の大きな人達に勝つ事が出来る。
私自身、日本一の手揉み茶を作れるようになることを狙っている。勿論それだけの努力は必要だがね(笑)そういう面では、お茶屋も自分にしかできない技術をもっていれば色んなことが出来るだろう。

平柳利博「煎茶から紅茶までできれば、その中間のウーロン茶、不発酵から発酵茶、間のものは、すべて何でもできる。その中から、自分に合ったお茶を見つければよい。
同じお茶は絶対できないから限りなく面白い。

―「川根の方も同じ事を言っていました。お茶つくりは毎回が一期一会だと。」

平柳啓子「この間、社労士の方でお茶好きな人がいて、自分で自分の事を「茶労士」といって昼休みになると、職場仲間にお茶を振舞っているそうなんです。ご自身が楽しみながら、お茶ファンを増やすために動いてくれている、素敵で確実なお茶活だと思っています。

山平園の情報・購入方法

住所 〒417-0826 静岡県富士市中里1021
ホームページ http://yamahiraen.net/

(↑山平園のホームページ)

商品の購入はホームページからでも出来ます。

山平園のお茶の取り扱い店 新東名駿河湾沼津上りSAネオパーサ内

三島の伊豆村の駅内のテナント「お茶の幸寿庵」

富士川楽座

東京三鷹「うちのコメうまいよ」

電話番号 Tel 0545-34-1349

Fax 0545-34-1979

電子マネー・カード決済 電子マネー・カード決済は自宅店舗とオンラインが対応
営業時間 10時~17時
定休日 問い合わせ
駐車場 あり(少数台)
アクセス 最寄り駅、新富士駅より車15分

吉原駅より車15分

 

関連記事