山梨商店

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山梨商店
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世界緑茶コンテンストで金賞を受賞したLa香寿

取締役の山梨宏之さんにお話を聞かせていただきました。


山梨宏之「La香寿は人工香料を一切使用せず、果実のように豊かな香りを生み出した日本発の酵素発酵茶になります。世界緑茶コンテンストでは金賞を受賞し、世界で名品として認定していただきました。

―「La香寿は私も飲みました。日本茶とは思えないほど、花のように甘く豊かな香りが素晴らしかったです。人工香料無しで、あの香りが出るのは衝撃でした。

山梨宏之「「La」はフランス語の女性名詞の定冠詞です。
このお茶には

「若い女性が楽しんでくれるように」

という願いを込めて「La香寿」と名付けました。
後で知ったことなのですが、中国の西南部のお茶の原産地ではお茶のことを「La」と呼ぶそうですよ。

「La香寿」の製造方法は特許を取ってあります。

ただこれは他人がやらないよう独占する為に特許をとったものではなく、自分が自由にやれるように取った特許なので公開しています。もし誰かに特許を取られてしまい、自由にやれなくなると困りますので(笑)」

↓La香茶シリーズを含めて山梨商店のお茶はネット販売やBaby Leafでも購入できる。

製茶問屋山梨商店とは

山梨宏之「山梨商店はお茶の高温度製造を得意とする製茶問屋で、煎茶だけでなく、ほうじ茶も製造をしております。

ほうじ茶には「ピラジン」という成分が含まれていて、血行を良くする作用があります。これは麦茶やコーヒーにも含まれる。女性に多い冷え性や、特に寒い気候の北海道の方に、ほうじ茶は好まれ要望があります。

静岡県内だと、お茶屋は約500店舗あり、ほうじ茶製造業者はその内約15店舗。

静岡市内となると、お茶屋約120店舗で、ほうじ茶製造業者はその内約5店舗。

全国でみても、ほうじ茶製造業者は50店舗くらいでしょう。

ほうじ茶の製造方法は、何百度で焙煎するという極めて特殊な技能なので、ほうじ茶の店は少ないのです。
しかし、静岡市内では5店舗もあれば、ほうじ茶を委託して作るという分には足りますので、集約的にそこがやればよい。
玉露屋さんも少ないもので静岡に5店舗程度しかありません。」

手作業で焙煎してほうじ茶を作ってみる

山梨宏之「では実際に手作業で焙煎をやってみましょう。」


山梨宏之「左上が1番茶。
「ならし」という作業をした時に手に入るもので、みるい芽と硬い葉が混じっています。みるい芽というのは、これから伸びようとしていた芯だから、炒られると一気に伸びる。

右下が秋番茶。
これはほとんどが硬い茶葉です。炒っても硬いままで、あまり膨れません。」

↓左上が1番茶。右下が秋番茶

↓分量は3グラムずつ

↓火にかけます

山梨宏之「左が1番茶の焙煎前。
右が1番茶の焙煎後。
焙煎することで一般的に茶の茎の部分が膨れ上がります。」

山梨宏之「左が秋番茶の焙煎前。
右が秋番茶の焙煎後。
こうしてみると、よくわかりますね。」

山梨宏之「それではテイスティングをしてみましょう。

左側上が1番茶煎茶、左側下が1番茶ほうじ茶。

右側上が秋番茶煎茶、右側下が秋番茶ほうじ茶。」

―「1番茶のほうじ茶は、うまそうな香ばしい感じがします。

秋番茶ほうじ茶は甘味と香ばしさが強いように感じます。」

山梨宏之「1番茶に多く混ざっている、柔らかくみるい芽がタンパク質、おこぼれがアミノ酸の旨味成分です。
秋番茶に多い硬い葉は、強く炒れば糖が出るので甘いのです。
ちなみに深蒸し茶が甘いというのは、深く蒸すことで糖が出やすくなるからです。

では今度は3つをテイスティングし、比べてみましょう。

左が100グラム200円のほうじ茶。

真ん中が100グラム500円のほうじ茶。

右が100グラム1000円のほうじ茶。」

―「左は甘味が強い。

真ん中は甘味と旨味が感じられます。

右は旨味が強いですが、甘みはあまり感じないです。

真ん中が一番バランスの良い味のように感じます。」

山梨宏之「左の100グラム200円の茶葉は、硬い葉が多い。硬い葉は炒ると甘味が出るから、甘味が強く出る。

真ん中の100グラム500円は硬い葉と、みるい芽が混在しているから甘味と旨味が両方出る。

右の100グラム1000円の茶葉は、柔らかいみるい芽が多く硬い葉が少ない。だから糖度が少なく、みる過ぎて旨味ばかりが強調されます。

ほうじ茶の製造で、材料に硬い葉、みるい芽など、いろんな部位が混在している番茶を利用するのは、炒ることでそのポテンシャルが活かせるからです。

私達は日々その素材のポテンシャルに合わせて炒る分を変えています。」

お茶づくりは生産農家から問屋にリレー方式で行う

山梨宏之「まず最初に、農家は茶畑から生葉を収穫する。

それを荒茶にすることで、水分を5%程度にして保存可能な状態にする。

農家がここから先の作業までやろうとすると、同時期に刈り取らなければならない生葉が後から続いて来てしまうので、やりきれなくなってしまう。

だから、茶農家の作業はここまでとして、ここから先の作業は問屋に委ね、卸売りして金に換える。

そこから先は問屋が仕上げ、火入れ、製造する。

生産農家から問屋に卸すというのは、要はリレー方式で仕事をしているという事です。

山梨商店では一日に1000キロ。一人2グラムとして50万人分作ります。」

↓原料となる茶葉

↓機械で焙煎する工程の様子

山梨宏之「機械で焙煎するには、茶葉にセラミックを混ぜて内部から熱を加えて一気に加工する。
水分が0%になり一気に細胞壁を剥がして爆発させ糖質を高い温度で解放させます。
原理としてはポップコーンと同じような感じで3倍から4倍に膨れ上がり、細胞膜が割れて甘みが出てくる。

混ざったセラミックは後工程で分離します。」

↓使用するセラミック。原理は石焼芋や焼き栗を炒るときに使う石と同じです。

山梨宏之「煙突から出ている煙をタンクに集めて水のシャワーをかけて網で濾すと、濡れた煙のカスから湯気が出ているのですが、これは発酵している現象によって出る湯気です。なので、ここから出る煙までも肥料として使うことが出来ます。

ほうじ茶の製造で最終的に出るゴミは茶袋くらいです。

↓右が出来上がったほうじ茶。左の製造工程で生じた残りカスは肥料として使う

なぜ茶の価格が下がってしまうのか

山梨宏之「世界のお茶の生産量は約700万トン。
そのうちの6、7割が紅茶です。

日本の茶の総生産量は8万トン。
その内の半分が急須で淹れるリーフ
もう半分がペットボトルとティーバックと粉末です。

ほうじ茶の全体的な需要はペットボトル
リーフのほうじ茶
ほうじ茶ティーバック
ほうじ茶パウダーと分かれています。

茶パウダーの需要の内訳として、あるメーカーによると
一番需要が高いのがほうじ茶パウダー
二番目が玄米茶パウダー
三番目が回転ずしなどに置かれている緑茶パウダーです。

パウダーは茶殻と同じで、そもそもそんなに摂取することが出来ない。

鶏ガラスープだってスープがうまいからといって鶏ガラまで食べないでしょう。
粉末は摂取できても0.5グラムまでです。茶殻だから2グラムも飲めない。
つまりリーフの4分の一の量で済む。

茶パウダーの使用用途は幅広く、現在ではエアコンの匂い消しにほうじ茶パウダーが使われたりもする。
ちなみに回転寿司の粉末茶ですが、あれの美味しい飲み方はかき混ぜて上澄み液を飲むことです。その部分が美味しいと思いますよ。

―「匂い消しにもお茶のパウダーが使われるわけですか。ペットボトルは勿論のこと粉末までお茶の使用用途は幅広いのですね。」

山梨宏之「ペットボトルのお茶は今から40年前に生まれました。当時は、まだ煎茶とほうじ茶の混合でペットボトルになっていたのです。
ほうじ茶の焙煎の技術は難しいので、ペットボトルメーカーが自社で出来ない。
ですから私達のような、ほうじ茶を焙煎する会社と提携して製造します。
そうしてペットボトルのお茶の需要が、ほうじ茶の仕事を増加させた。

今ではペットボトルのお茶を専門に作る会社もある。安い原料の番茶を使用し強い火入れで焙煎してペットボトルにするのです。
そして、これによって国民のほとんどが強い焙煎すなわち、ほうじ茶の味に慣れた。
これが大きい。
知らないうちに、ほうじ茶の味に慣れている。

山梨宏之「現在はペットボトル用のお茶を抽出する場合に、5~6煎以上に渡って根こそぎ抽出させる技術が出来ているのです。その方法はマニュアル化され、どこであろうとも均一な品質で根こそぎ抽出が出来る。一般的には硬度0の水にすると最も抽出しやすいと言われています。

これに対して急須でお茶を淹れる場合は、多くてもせいぜい2~3煎です。」

山梨宏之「技術革新によるペットボトルのお茶の根こそぎ抽出製法やパウダー製法などにより、少量の茶葉でも十分活用することが出来るようになりました。

つまり、全体として量をちょっと作れば足りてしまうということです。日本の茶の総生産量が8万トンあっても、現状は6万トンもあれば足りてしまう。

結果として供給過多になり茶の価格が下がってしまうのです。

最近はもう急須で淹れた良いお茶の味ではなく、ペットボトルやティーバック、粉末茶が好まれる傾向がある。

悲しいことですが、品質的レベルが高いお茶がなくなってきているのです。

全体として番茶に戻っている。現在よりも昭和の方が皆ハイレベルなお茶を飲んでいただろうね。

皮肉にも人類が培った技術によって、文化的には逆行しているように思います。

山梨宏之「高級なお茶を作っても売れないから安いお茶を作る、というように現在では生産家のシフトが起こっています。

今後の生産者は「高級」か「格安」の二つしか残らないかもしれません。

一般的なお茶を作る茶農家が生き残るのは難しいかもしれない。
今後も根こそぎ抽出の技術は発展し、良いとされる煎茶はどんどん減っていくでしょう。
それが貴方の周ってきたような素晴らしい茶農家を苦しめている背景なのです。

800年前から、ほうじ茶は飲まれていた

山梨宏之「お茶の歴史は日本では約800年です。初めてお茶の痕跡が発見されたのは鎌倉時代。このことから見るに聖一国師たちが、日本にお茶を持ち込んだのは確かなようです。

お茶とは本当に不思議な生き物です。PH3の土壌でも生きられる生命力がある。

1837年に永谷宗円が蒸して作る製法を編み出した。
それまでは番茶が多かったようです。

つまり800年前から、ほうじ茶は飲まれていた。
山梨商店

山梨宏之「私は昔山村で働いていたが、ヤカンの中に火で炙った茶葉を入れて、お茶にして飲んでいたんですよ(笑)

急須を使い一煎二煎飲んで捨てる、というのは確かに勿体ないかもしれないが、とても有難くて贅沢で文化的な飲み方だと思う。

それが正しいとは言わないけれど、そういった文化がなくなっていくというのは寂しい感じがするね。

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