静岡茶屋巡り~薮崎園~

OCHA TIMES編集長
静岡茶屋巡り~薮崎園~

「朝比奈玉露」「かぶせ茶」「高級山間茶」「有機栽培茶」を作る江戸中期より十三代続く歴史を持つ薮崎園

籔崎園

薮崎園・園主薮崎正幸代表に話を聞かせていただきました。

薮崎代表「薮崎園はもともと共同工場でしたが、それが無くなったので現在はオンリーワンのお茶を作るようになりました。朝比奈地区には大きな工場はなく、かぶせ工場がある「龍勢グリーン」「青羽根茶工房たくみ」の2つが共同工場としてありますが、あとは農家5,6軒くらいの中規模なものがあるくらいです。仲の良い地域ですよ。」

薮崎代表「当社はお茶専業農家として自園、自製、自販をしていましたが、お茶の需要の伸びもあり、会社組織に編成し直し2000年頃「株式会社薮崎園」となり現在に至ります。お茶だけではなく他の農作物も作りますし、冬場は他に勤めにも出ています。

この地域における昔の農家の主な一年の農業計画としては

4月5月が一番茶

5月田植え

6月2番茶

7月3番茶

9月に4番茶

10月稲刈り

10月12月まで蜜柑

2月から4月くらいまで筍となっていたんです。

朝比奈の筍はとても有名ですよ。一大消費地がまとめて買いに来てしまうので市場に出回ることはないほとんどないですけどね。不思議なことに、良い筍のできる地域は良いお茶ができる。今は農作物だけで食べていくことも出来ないので、兼業農家が多い。一時期は蜜柑農家が稼ぐことが出来なくて蜜柑農家が皆辞めてしまうということがありました。そうしたら供給量が少なくなってしまい、蜜柑の価格が上がって結果として逆に儲かることもありましたね。」

朝比奈は京都宇治、福岡八女と並ぶ玉露の三大産地の一つ。

↓寒冷紗という被覆資材で茶畑を覆った状態

↓菰(こも)と呼ばれる藁を編み上げて作られる昔ながらの被覆材が今も使われている風景が見られる。

薮崎代表「岡部の朝比奈地域の茶畑は9割被覆してます。被覆とは茶葉に覆を被せて日光を遮る処置の事です。茶葉は日光が沢山当たると苦味が増えるので、被覆することによって茶葉を柔らかいまま大きくして苦味であるタンニンを抑えながら旨味であるアミノ酸を多くします。」

薮崎代表「直接茶葉に被覆するのが「かぶせ茶」。茶葉と被覆の間に隙間を作るのが「玉露」。地域によって被覆期間は5,6日というところもありますが、薮崎園では昔ながらの厳しい基準の被覆期間を設けており17,18日程度は被覆します。」

薮崎代表「通常では4月から6月と暑くなるにつれて日光も多く当たり苦みが増えてしまうものですが、この辺りの地域はその時期も涼しいので被覆に適しています。また川沿いは土質も良く、霧や靄もできるので天然のシャワーの役割となり適度な湿度を保てて良いお茶が出来る。」

薮崎代表「一般的な煎茶では一芯二葉として先端のみを摘みますが、玉露は下の部分の「葉が大きいのにやわらかい部分」を使用します。機械積みは茎まで採ってしまうので味に雑味が混ざることがあるが、手摘みだと本当に良質の茶葉のみを採るのでより味が良い。」

薮崎代表「通常新茶は鮮度が命。新茶の時期が一番美味しくて高い。しかし新茶の香りは玉露の香りとは反比例します。なので玉露の場合は荒茶も秋くらいまで仕上げることはしません。秋や冬を超えるとお茶が枯れてきて、新茶感がとれて玉露っぽい香りがしてくるので、その時に仕上げる。そうすることで美味しい玉露になる。

「お茶が枯れる」というのは「玉露に適した熟成具合になる」ということを意味します。玉露は新茶とは違い熟成して、より美味しくなります。出来上がった玉露は窒素充填して保存してワインのように年代物として売るというのが薮崎園の売り方です。例えば玉露は2019年のものは霜があたってしまったので、あまり美味しくないと思う。2016年のほうがお茶の当たり年になったのもあって、2016年産の玉露の方が美味しい。一般的に気候が安定して沢山採れると美味しいのだけれど,沢山採れるから値段が下がるということにも繋がってしまうこともある。

昔はここのお茶はほとんど京都にもっていったのですが、産地表示問題が出てきて京都産と表示出来なくなるということになりました。産地表示でいうと三重、滋賀、大阪、奈良が「宇治茶」と表示できます。

品種で言うと「うじみどり」「さえひかり」「さみどり」など。

鹿児島の品種は「ゆたかみどり」など。鹿児島は「ゆたか」が付く品種が多い。

静岡、いや日本はほとんど品種「やぶきた」を中心にしています。玉露には「さえみどり」という品種がいい。煎茶品種は静岡が一番多い。私達も自分たちの「朝比奈玉露」というブランドを作ることにしました。」

薮崎代表「昔は全部ひとくくりにして玉露だったけど、品種毎、農家毎というシングルオリジンがブームになってきました。シングルオリジンとは、もともとお茶の言葉ではなかったけれど、今はそれがお茶に使われるようになりました。最近では山のお茶が売れてきたように感じます。平野のお茶と山間のお茶とでは味がまるで違うし水色も違う。平野の深蒸しは緑色。山間の浅蒸しは山吹き色になる。」

近年の抹茶ブームもあり抹茶の生産にも力を入れている朝比奈地区。

薮崎代表「静岡にはもともと4つの碾茶工場しかなかったのですが、ここ近年の抹茶ブームで10以上に増えました。碾茶工場は普通のお茶工場とは違い、レンガ造りの碾茶炉で葉っぱのまま揉まずに乾燥させて碾茶を製造する。それを引いて粉にして抹茶になる。」

薮崎代表「薮崎園では抹茶ラテも売っています。「贅沢濃厚抹茶ラテ」。これは美味しく出来ました自信作です。是非召し上がってもらいたい。岡部にCOMOという薮崎園のお茶の専門販売店を開いていますので、そこでも売っています。」

籔崎正幸社長が見る静岡茶業界の現状。

薮崎代表「今の静岡茶業界は「衰退」か「復興」の瀬戸際だと思っています。茶業界の一番の問題は、リーフのお茶の需要が停滞して茶価が下がり、お茶では食っていけないということ。だから後継者不足が深刻です。日本でリーフの茶葉が売れなくなった現在、薮崎園では日本市場ではなく世界市場を目指しています。日本と世界とではマーケットの大きさが違うので、そこで0.1%が売れるだけでも大きい。欧州で売りに出すためにオーガニックの有機栽培も作るようになりました。沢山の試行錯誤がありましたが、その中で一番きつかったのは震災による放射能の風評被害でした。今後のお茶普及に関しては、SNSがとても良い効果を生んでいるのを感じます。最近はお茶を飲みたくて来てくれる方や、茶畑の景色を見たいと来てくれたりする方が多い。」

薮崎代表「個人で来る方もいれば、旅行会社を通してくる方もいて、お茶時期になると100組くらいは来ます。そういった方々は発信力が高いので私達としても良い宣伝になると考えて受けています、現状、茶業界には発信に長けている人がいないので。フェイスブックやインスタで外国人からも連絡が来ます。あまりにも多いので英語が話せる人を雇いました。日本茶インストラクターもブームで今は沢山のインストラクターが出てきていますね。お茶の飲み方や広め方に関しては、私は人それぞれで良いと思います。とにかくまずは自分で飲んでみてそこから知ってほしい。人によって味の好みも違う。好きなように飲んでくれてよいと思います。」


世界市場を目指しオーガニックの栽培にも力をいれる株式会社薮崎園。薮崎代表は「籔崎園の玉露は最高品質だ。」と品質に自信を持っておられました。昔ながらの厳しい基準で作られた旨味のある玉露や味わい深い抹茶を楽しめるだけでなく、美しい茶畑を楽しむことが出来る朝比奈地区には、日々沢山のお茶好きや観光客が訪れています。

以上、編集長による薮崎園のレポートでした。

お店の情報~株式会社 薮崎園~

住所 〒421-1113 静岡県藤枝市岡部町桂島1135-1
ホームページ http://yabuzaki.co.jp/
電話番号 054-667-3633
電子マネー・カード決済
営業時間 問い合わせ
定休日 問い合わせ
駐車場 あり
アクセス 岡部内谷ICより車で約15分

 

お店の情報~COMO~

住所 〒421-1131 静岡県藤枝市岡部町内谷964-36
ホームページ http://yabuzaki.co.jp/
電話番号 054-667-3633
電子マネー・カード決済 クレジットカード対応
営業時間 9:00~17:00
定休日 年中無休(元日は除く)
駐車場 あり
アクセス 岡部内谷ICより車で約5分

関連記事