静岡茶屋巡り~高畑園~

OCHA TIMES編集長
静岡茶屋巡り~高畑園~

川根の浅蒸し茶の可能性を追求し高品質な茶葉を栽培する川根茶農家「高畑園」

高畑園

多くの品評会に入賞している高畑園の川根茶。その品質の高さは県外にまで知られており、東京から買い付けが頻繁に来るそうで良いお茶はすぐに売り切れてしまいます。最近の川根地方では放棄茶園を柚子園に仕立てようとする動きもあり、高畑さんのもとにそういった活動の相談も寄せられるそうです。

最初、高畑園の奥様に応対していただき、いろいろ話を聞かせていただきました。


高畑園の奥様「最近は掛川茶の特集がメディアであったようで、深蒸し茶の問い合わせが多いんです。川根茶は浅蒸茶なので「ウチは深蒸しはやっていません」というと、それで話しが終わってしまうというのがあります。悲しいですね。」

—「浅蒸しと深蒸しの違いって工程上の蒸し時間の違いですよね。牧之原や掛川の茶葉は茶葉が分厚いので長く蒸す必要があるから深蒸し。山間の茶葉は茶葉が薄いので蒸す時間が短いから浅蒸し。それだけでしょう?」

高畑園の奥様「あと、色も関係あるかもしれないね。深蒸しの方が濃い緑色が出るから。深蒸し茶も美味しいと思いますけれど、山間の浅蒸し茶も飲んでみて欲しいですね。川根茶は独特の爽やかな抜けるような香りがありますし、深蒸しとはまた違う魅力があると思いますよ。私は川根茶を水出し煎茶にするのなんて好きですよ。低温で出すから渋くならない。いつまでも爽やかに味わえます。」

—「はい、美味しいお茶はある。でもそれが知られていない。それはではあまりにも残念だと思っています。」

高畑園の奥様「うん、今の子供になるとお茶は飲まないし、飲み方も知らないから。私は近所の子供たちを招き入れてお茶を飲ませてあげるんです。みんな美味しいって喜んでくれますよ。主人は今工場にいますので、よろしければ話していってください。」

川根茶イベントの企画会長も務める高畑園園主・高畑裕さんから見る日本茶業界の現状。

高畑裕「あなたは、なぜ茶農家を周っているんです?」

—「県外の知り合いから静岡の美味しい日本茶を飲める所を教えてほしいと言われたんです。それでいろいろ調べて日本茶カフェを巡ってみたら、これがなかなか面白かったんです。大体周り尽くしてきたので、日本茶カフェの店主に他にどこか美味しいところ知らない?って聞いたら紹介されたのが茶農家だったんです。茶農家で美味しいお茶を頂きながら、いろいろ話を聞いたら、静岡茶が危機的状況だと知りました。このままでは茶農家がどんどん消えてしまって自分が美味しいと思えるお茶が無くなってしまう。なので自分が出来る事をやっていこうと思っています。」

高畑裕「なるほど。茶農家を周るのって大変じゃあないですか?」

—「大変です。特に標高600メートルにある「つちや農園」。あそこはホントに行くのが怖かったです。あんな急傾斜の山道を車で走ったことなかったので。あの高い農地でとなると、物凄い苦労がありそうですね。」

高畑裕「つちや農園に行ったんですか!?あそこはウチの親戚ですよ。あそこは場所的にも大変です。あそこは凄い、とても真似出来ない。私達山間の農家は本当に大変なんです。日照時間が短いから、他の作物を栽培するのも難しい。このままだと山間の農家はいなくなってしまう。もう儲けなんかよりも、とにかく農家の苦労を知ってくれと関係者にもアピールしているんだけれど、なかなか伝わらない。」

話しながら作業を続ける高畑さん。せわしなくいろんな機械を周って動かし続けては茶葉の様子を観察するので、編集長もそれに付いて回ることになる。絶え間なく続く作業の連続に歩いてついていくだけで疲れる。

—「この工場には幾つの機械があるんですか?」

高畑裕「この部屋には機械が8台あります。内部と外部の水分がバランスよく飛んでいくように仕上げているんです。これが難しい。午前中は茶畑で茶葉を採って、午後は工場で機械を回します。新茶のこの時期はまだ良い方です。二番茶の時期は夏になりますので、工場は物凄い暑さになります。」

—「一人で8台回し続けるんですか?私は機械加工をやっていますが、一人で回せる機械の数は4台が限界でした。そのうえ夏場にこの業務をやるというのは考えたくもないです。」

高畑裕「昔は、幾つかの茶農家が集まって共同の茶工場を作っていたんです。共同工場であれば静岡県が補助金を出してくれるんです。しかし、その共同工場もどんどん廃業しています。潰れた共同工場にある機械は良いのがあるから、それを私は中古として買っているんだ。」

—「なぜ共同工場が潰れてしまうんでしょう。」

高畑裕「多分、同じような個性のない茶が出来あがってしまうからではないかと思っています。複数の茶農家が集まって作業をすれば、効率は上がっても出来上がる茶の質は画一的で個性を失ってしまう。ただ工場が潰れているのは共同だけの話ではありません、農家自体がどんどん潰れているんです。 今残っているのはほとんど個人工場です。個人工場でも川根本町が購入した機械の代金の3割出してくれます。私がお茶に携わるようになったのはバブルの頃でした。あの頃は良かった。今は卸はあまりやらず、小売が主です。自分達で生きていく道を切り開くしかない。」

—「卸はやらないんですか?」

高畑裕「昔は農協に卸していましたが、今は直売もしています。自分達で発信していかないといけないと思いまして。しかし、お年寄りの農家はネットが使えないので、やっていけないで潰れていく方々も多いです。でも今はウチは売り上げ自体はどんどん上がっているんだ。既存のお客さんも付いてくれているし(笑)」

—「聞きました。高畑園のお茶はすぐに売り切れてしまう、と。おそらく本当に良質なお茶がどんどんなくなっているので、茶農家も2極化しているみたいに思います。良いものを作る茶農家に明らかに顧客が集中し始めている。良い茶葉を作っている茶農家はこの先は上がっていくでしょう。(笑)」

高畑裕「あと、あなたみたいなマニアみたいな人が沢山買っていく。(笑)」


高畑園のお茶は本当にすぐに売り切れてしまうようになってきたようで、実際、新茶が発売後2週間で手摘みに関しては売り切れて買うことが出来ませんでした。発売前にネット予約で一杯になってしまうそうです。大変な労力を要する急傾斜な茶農家ですが、良いと思うものを作り続けた結果、その場所に顧客が集中しつつあります。高畑園製川根茶の香り滋味は一度知ってしまったら病みつきになります。本物の川根茶を味わい利用してみてはいかがでしょうか。

以上、編集長による高畑園のレポートでした。

お店の情報

住所 〒428-0313 静岡県榛原郡川根本町上長尾360
ホームページ http://takahataen.world.coocan.jp/
電話番号 0547-56-1031
電子マネー・カード決済
営業時間 サイトや電話で事前確認
定休日 不定休
駐車場 あり(少数台)
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