静岡茶屋巡り~相藤園~

OCHA TIMES編集長
静岡茶屋巡り~相藤園~

全国茶品評会で二年連続産地賞を受賞し、今までに十数回の受賞歴を持つ川根茶農家「相藤園」

月に数回しか開かれない、川根茶農家が自ら呈茶をするイベント。川根茶園喫茶。出迎えてくれたのは園主・相藤令治さんと奥様でした。数々の受賞歴を持つ凄腕の茶農家に直接呈茶をしていただきながら、話を聞かせて頂きました。


相藤令治「ようこそ、いらっしゃいました。ここは茶器と茶葉はこちらで用意しますが、後は自分でやる体験喫茶です。川根の良いところを知っていただきながらお茶を味わっていただく。それが川根茶園喫茶のコンセプトです。そこから川根のファンが増えてくれれば有難い。」



相藤令治「これはやぶきたになります。湯冷ましに三分の一程度、お湯を注いでください。今年のおくひかりは納得のいく品質にならないので出さないことにしました。それと妻の手作りの栗きんとん。私の妻は茶商の娘なんです。近くには相籐農園もあります、相藤農園とは親戚なんです。園主の方の父親が私のいとこになります。」

相藤令治「あくまでも確かめるのは自分の感覚なので、まず飲んでみることです。百聞は一見にしかず。そうすると皆さん必ず今まで想像していたのと全然違う、と驚かれます。川根茶を2煎目、3煎目と淹れていくとようやく、普段飲んだことのある茶の味に近づいてくる。1煎目の味になるとおそらく今の若い方には想像も出来ない味でしょうね。」

ー「1煎目はもちろんの事、2煎目になっていも美味しいのは凄いと思います。この栗きんとんも凄い美味しいです。」

相藤令治「時期によって出すものは変わります。今は丁度良い栗が手に入りましたので栗きんとんを出すことにしています。お茶の味は養分がどれだけ茶葉の中に取り込めるかです。いろいろ試してきたけれど今は有機肥料を中心にやっている。昔は魚のアラを集めてアミノ酸肥料に変化させて肥料として使用していた。魚屋を周って45リッターのアラを集めて周ったんだよ。匂いがひどくて大変だった。体を洗って匂いを落とすまで家に入れてもらえないくらいね(笑)農林省の金子武さんのもとに何度も通って研究を続けてきた。そういった試行錯誤が10年以上続いた。」

ー「10年以上もそんな試行錯誤を続けてきたわけですか。おそらくその頃は今と違って冷蔵設備や運送もなかったはず。苦労が想像を絶します。」

相藤令治「次はすすり茶をどうぞ。品評会入賞茶を2.5グラム淹れて水に浸します。贅沢な使い方ですね(笑)」

ー「フォーレ中川根でも飲みました。この味は感動します。トリュフ、キャビアなどの高級食材に並べても良いのではないかと個人的に思っています。水でこれだけの香り。本当に凄い。」

川根の良質な土質から育まれる茶が品評会で入賞し続ける極上の風味を生み出す。

相藤令治「この辺りの川根茶農家からは品評会で賞を沢山取っています。なぜ品評会をこの辺りの茶農家がとるかというと、それは土質が良いからです。貴方は近くの松島園の川崎さんのところにも行ったんですよね。あの場所は小井平と言います。川崎さんがあれだけのお茶をつくるのは本当に頭が下がる。あの質の川根茶を作るのは本当に凄い事です。」

↓相藤園手作りの紅茶も振舞われる。

相藤令治「毎年の事ですが、「化粧ならし」の時期が重要です。栄養分がよく茶の芽にいきわたるように余分な伸び分を茶畑から切ることを「化粧ならし」といいます。このならしの時期が早すぎても遅すぎても駄目。いつこの作業をやるかは、私達茶農家の長年積み重ねたノウハウにかかっています。しかし大井川水域、気象条件を含め環境が大きく変わりました。去年は異常なくらい早く、今年は遅い。あまりにも環境が変わり過ぎて長年川根で茶農家をやってきた私のノウハウをもってしても読めなくなってきた。」

↓喫茶店の縁側からは美しい風景が広がっている。

相藤令治「茶の本収穫(茶期)が始まる前に、まず茶葉を少量試し揉みして去年とその年のお茶の葉の違いを確かめ、お茶の様子を感じるのです。私はそうやって茶葉の感触を必ず確かめる。茶期が始まる前に試し揉みをするのは、現在川根では相藤園くらいだと思います。試し揉みした茶葉は茶茗館に持っていきます。これは自分で作った手作りの試し揉み用の台です。電熱でステンレスをまげて作ったんです。」

相藤令治「本格的に手揉みになるとは大体4時間はやります。手揉みの総量のピークになると大体800キロくらいですね。午前中に刈ってきて午後に一人で揉む。次の日に持ち越しては鮮度が下がるので自分が揉める分だけ茶畑から刈ってくるようにします。手揉みは本当に難しい技術です。私のお袋のお兄さんが相藤良雄といって手揉みの大会で9年連続優勝しました。そしてついに手揉みの永世名人となりました。後にも先にも永世名人は相藤良雄ただ一人です。」

急速に衰退化する川根茶のブランド力がもたらしている大幅な生産量の減少。

相藤令治「最近、川根茶の知名度が急速に下がっている。昔は川根茶というのはとても素晴らしいブランドとして有名だった。それが今となっては川根茶の名前を知っている人が、かつての25%にまで下がった。きっかけとなったのは、おそらく産地表示の問題だと思う。昔は袋屋から川根茶というシールが張られて沢山のお茶が川根茶として出荷されていたんだ。それが、ある時を境に表示ルールが変わった。産地の茶葉が51%以上ブレンドに入っていなければ、産地名を表示できないというルールになったんだ。しかし、そもそも川根茶は国内生産量の数%もない。品質は良かったが生産量が多くなかったため、ほとんどのお茶が川根茶の名前を表示できなくなった。川根茶をブランディングとして守ろうとする行為が逆効果になってしまったんだ。結果として川根茶がコアなブランドになり知名度が下がった。もとより600ヘクタールしか無かった川根茶の栽培面積がいまはもう半分もない。」

ー「今一番茶業界で勢いがあるのは鹿児島だと聞いています。昔、鹿児島が川根に茶栽培ノウハウを学びにきたそうですね。」

相藤令治「鹿児島の人達がここ藤川に来て茶の事を勉強していった。でもどうしても川根茶の品質にはならなかった。だから九州に持ち帰って自分たちなりのお茶にしたんだ。今の鹿児島茶は立派なものです。」

相藤令治「昔、農家は良いお茶を作っていれば、それでよい収入があって来年に繋げれたのだけれど、現在はそれができなくなってきた。市場に出すと全体として値段が安ければ良いという流れになってしまっているからだ。じゃあ我々茶農家はどうやって稼げばよいのか。良い茶にはそれだけの値段をつけてくれなければ駄目だ、生産者の仕事が成り立たなくなる。私達茶農家は生きていくには小売りにするしかないという答えに辿り着いただけなんだ。本来なら栽培製造に専念したいんだよ。小売りにすればどうしても手間と労力がかかるからね。しかし自分の身を守るために小売りを始めた。もうこうせざるを得ないところまで来てしまった。ここ藤川は自分からみても特殊な集落なんだ。集落190件、600人くらい住んでいる。小売りでお茶を直接売ったのは藤川が初めて。高田農園が一番早く小売りを早く始めた。あれで小売りの客が増えた。相籐園が通販時始めたのが昭和51年から。1997年にインターネット販売を始めた。今はネット販売が主だよ。」

相藤令治「中国にも茶はあるが、彼らは商売上手で売る相手を高所得者層を選んでいる。とても良い値段で売っているから利益も大きい。この間も中国人がここに来たけれど、相籐さんのお茶全部欲しいって(笑)」

日本で初めて茶箱業界と連携をした相藤園。現在もその歴史は続いている。

相藤令治「現在茶箱の生産工場は日本に5件しかない。そのうちの2件が川根にある。インテリア茶箱クラブといい、その会社のインテリア茶箱コーディネーターといわれる方々が茶箱の外側に布を張るカルトナージュをやっているんだ。日本橋三越にもインテリア茶箱クラブが売られている。その茶箱と初めて連携した茶農家が相籐園なんだ。当時の茶箱コーディネーターの代表は薗田喜恵子さん。今はもうその立場を退いているけれどね。」

↓もう数十年前、まだ東京との交通網さえなかったころから、相籐園は日本橋と取引をしていた。それほどその質は日本で認められていた。

相藤令治「昔は茶商のレベルが高かったが今は勉強しない茶商が増えてきている。だからもう私達が直接こうやって地道に良いものを提供していくことにしたんだ。まだ川根茶の美味しさを分かっていない人が多い。それを分かってもらうために始めた。それがこの茶園喫茶なんだ。飲みたいときにお茶を飲んでくれればよい。朝に飲む茶でも昼に飲む茶でも夜に飲む茶でも良いんだ。産地によって味だって違う。そういった違いを楽しみながら味わってほしい。そういった嗜好品であってほしいというのが私たちの望みなんだ。」


長い時を経て川根茶茶農家を取り巻く情勢は大きく変わった。それでもその品質に誇りを持ち、保ち続ける相藤園の呈茶イベント。是非よろしくお願いします。
以上、編集長による相藤園のレポートでした。

お店の情報

住所 〒428-0311 静岡県榛原郡川根本町元藤川160
ホームページ 相藤園のホームページ

http://www.fuji.ne.jp/~aitouen/

川根茶園喫茶のホームページ

http://kawane-chaen.com/

電話番号 0547-57-2693
電子マネー・カード決済 現金のみ
営業時間 問い合わせ
定休日 サイトより確認、もしくは問い合わせ
駐車場 あり(1,2台)
アクセス 所要時間: 国一バイパス向谷ICより車で約60分
最寄り駅: 大井川鐵道・駿河徳山駅より車で約5分

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