相藤園

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相藤園
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「相藤園」の川根茶とは

南アルプスを源として流れる大井川(静岡県)の上流域(川根本町)にある自然環境豊かな地「川根本町元藤川」。
この地にて茶の栽培・製造・販売をしている川根茶の生産農家「相藤園」。現在は4代目の園主を相藤令治さんがつとめている。近年は、品質の良し悪しを競う全国茶品評会で二年連続産地賞を受賞し、今までに十数回の受賞歴が有ります。

川根地域は日本三大銘茶の産地として有名だが、「川根茶」の生産面積・生産量は全国の約2.5パーセントしかない為、非常に希少価値が高い。

日照時間が少ないという気象条件のもと、昼と夜とで温度差が大きい山間の地で茶葉が柔らかく育ち、葉肉が薄いので酸化を止める蒸熱時間も短く済む。茶葉はやさしく揉み上げられるので形状は細く濃緑色をした針状に仕上がり、茶葉が崩れていないことにより水色は沈殿物の少ない澄んだ黄緑色となります。

川根茶を口に含むと「滋味(じみ)」とよばれる山の香りを連想させる爽やかな香味が鼻腔に広がる。
のど越しはスッキリと、旨み甘みの中に程よく調和した渋みが感じられ、いつまでも美味しい後味が残る。

日本で初めて茶箱業界と連携をした相藤園


現在茶箱の生産工場は日本に5件のみ。

そのうちの2件が川根にあるインテリア茶箱クラブ。インテリア茶箱コーディネーターといわれる方々が茶箱の外側に布を張るカルトナージュをやっており日本橋三越にもインテリア茶箱クラブの品が売られている。

その茶箱と初めて連携した茶農家が相籐園。

当時の茶箱コーディネーターの代表をつとめていたのは薗田喜恵子さん。現在は代表の立場を退いているが、今なお茶箱の製造に携わっており、後進の育成や製造技術の継承に力を入れている。

現在から数十年前、まだ東京との交通網さえなかった時から相籐園は東京日本橋と取引をしていたことからも、相藤園の川根茶は高く評価されていたことが分かる。

川根茶農家が自ら呈茶をする相藤園茶園喫茶「炬籐里(ことり)」


相藤園の園主・相藤令治さんと奥様の相藤佐枝子さんにお話を聞かせて頂きました。


相藤令治「ようこそ、いらっしゃいました。ここは茶器と茶葉はこちらで用意しますが、後はお客様ご自身でやっていただく体験型の喫茶です。川根の良いところを知っていただきながらお茶を味わっていただく。それが川根茶園喫茶のコンセプトです。そこから川根のファンが増えてくれれば有難い。」

相藤令治「これは「やぶきた」という品種になります。湯冷ましに三分の一程度、お湯を注いでください。それと妻の手作りの栗きんとんです。時期によって出すものは変わります。今は丁度、良い栗が手に入りましたので栗きんとんを出すことにしています。」

相藤令治「百聞は一見にしかず、まずは飲んでみることです。確かめるのはあくまでも自分の感覚ですからね。

そうすると皆さん必ず「今まで想像していたのと全然違う」と驚かれます。

川根茶を2煎目、3煎目と淹れていくと、ようやく普段飲んだことのある茶の味に近づいてくる。1煎目の味になると、おそらく今の若い方には想像も出来ない味でしょうね。今はまだ川根茶の美味しさを知らない人が多いですから。」

―「1煎目はもちろんの事、2煎目になっても美味しいのは凄いと思います。この栗きんとんも凄く美味しい。」

相藤令治「お茶の味は、どれだけ養分を茶葉の中に取り込めるかが大切なのです。これまでにもいろいろ試してきたけれど、今は栽培に有機肥料を中心に使用しています。昔は魚屋を周って45リッターのアラを集めて周って、それをアミノ酸肥料に変化させ使用していたこともあります。匂いがひどくて大変でした。匂いを落とすまで体を洗わないと家に入れてもらえなくて(笑)
より良いお茶を作る研究の為に農林省の金子武さんのもとにも何度も通いました。そういった試行錯誤が10年以上は続いた。

―「10年以上もそんな試行錯誤を続けてきたわけですか。当時は今と違って冷蔵設備や運送もなかったはず。大変だったでしょうね。」

相藤令治「次はすすり茶をどうぞ。品評会入賞茶を2.5グラム淹れて水に浸します。贅沢な使い方ですね(笑)」

―「すすり茶はフォーレ中川根でも飲みましたが、この味は感動します。水でこの香り。本当に凄い。個人的にはトリュフ、キャビアなどの高級食材に並べても良いのではないかと思っています。相藤さんが直接振舞ってくれるというのも本当に贅沢に思います。」

相藤令治「昔は茶商のレベルが高かったが今は勉強しない茶商が増えてきている。だからもう私達が直接こうやって地道に良いものを提供していくことにしたのです。私の妻は茶商の娘なのですよ。」

↓相藤園手作りの紅茶も振舞われる。

―「今茶業界で勢いがあるのは鹿児島だと聞いていますが、その鹿児島も昔は川根に茶栽培のノウハウを学びにきたそうですね。」

相藤令治「はい、鹿児島の人達がここ藤川に来て茶の事を勉強していきました。しかし、どうしても川根茶の品質にはならなかった。最終的には九州に持ち帰って自分たちなりのお茶にしたのです。今の鹿児島茶は本当に見事なものです。」

川根の良質な土質から育まれる茶が品評会で入賞し続ける極上の香味を生み出す

相藤令治「この辺りの川根茶農家からは品評会での受賞者が沢山出ていますが、それは土質が良いからです。相藤園の近くには親戚の相籐農園もありますよ。園主の方の父親が私のいとこになります。

毎年の事ですが、「化粧ならし」の時期が重要です。栄養分が効率よく茶の芽にいきわたるように、余分に伸びた部分を茶畑から切ることを「化粧ならし」といいます。このならしの時期が早すぎても遅すぎても駄目です。いつこの作業をやるかの判断は、私達茶農家の長年積み重ねたノウハウにかかっています。
しかし近年は大井川水域、気象条件を含め環境が大きく変わりました。去年は異常なくらい「化粧ならし」の時期が早く、今年は遅い。あまりにも環境が変わり過ぎてしまい、40年以上で茶農家をやってきた私のノウハウをもってしても読めなくなってきた。

↓喫茶の縁側から茶畑も見える。

相藤令治「そして茶の本収穫(茶期)が始まる前に、まず茶葉を少量試し揉みして、去年と、今年のお茶の葉の違いを確かめます。

私はそうやって茶葉の感触を必ず確かめ、お茶の様子を感じるのです。茶期が始まる前に試し揉みをするのは、現在川根では相藤園くらいだと思います。

試し揉みした茶葉は茶茗館に持っていきます。これは自分で作った手作りの試し揉み用の台です。電熱でステンレスをまげて作りました。」

相藤令治「本格的に手揉みをするとなると大体4時間くらいはやります。午前中に茶畑から刈ってきて午後に一人で揉む。次の日に持ち越しては鮮度が下がってしまうので自分が揉める分だけ刈ってくるようにします。

手揉みは本当に難しい技術です。私のお袋のお兄さんが相藤良雄といって手揉みの大会で9年連続優勝しました。そしてついに手揉みの永世名人となったのです。
後にも先にも永世名人は相藤良雄ただ一人です。

急速に衰退化する「川根茶」ブランド

相藤令治「最近、川根茶の知名度が急速に下がっています。昔は川根茶というのは、とても素晴らしい日本茶のブランドとして有名だったのですが、今となっては川根茶の名前を知っている人がかつての25%にまで下がりました

きっかけとなったのは、おそらく産地表示の問題だと思います。

昔は袋屋から川根茶というシールが張られて、沢山のお茶が川根茶として出荷されていたのです。それがある時を境に表示ルールが変わった。産地の茶葉が51%以上ブレンドに入っていなければ、産地名を表示できないというルールになりました。

しかし、そもそも川根茶は国内生産量の数%もない希少なお茶です。品質は良くても生産量が多くなかったため、ほとんどのお茶が川根茶の名前を表示できなくなりました。

川根茶をブランディングして守ろうとする行為が逆効果になってしまい、結果として川根茶がコアなブランドになり知名度が下がった。もとより600ヘクタールしか無かった川根茶の栽培面積が現在ではもう半分もありません。

相藤令治「昔、農家は良いお茶を作っていれば、それでよい収入があって来年に繋げられたのですが、現在ではもうそれができなくなってきた。市場に出すと全体として値段が安ければ良い、という流れになってしまっているからです。

では我々茶農家はどうやって稼げばよいのか。

良い茶にはそれだけの値段をつけてくれなければ駄目です、生産者の仕事が成り立たなくなる。
私達茶農家は生きていくには小売りにするしかないという答えに辿り着いただけなのです。
本来なら栽培製造に専念したい。

小売りにすればどうしても手間と労力がかかるからね。しかし自分の身を守るために小売りを始めた。もうこうせざるを得ないところまで来てしまった。

ここ藤川は自分からみても特殊な地域で、集落190件、600人くらいが住んでおり、小売りでお茶を直接売ったのは藤川が初めてです。高田農園が一番早く小売りを早く始めて、あれで小売りの客が増えました。相藤園では直接消費者の皆様にお届けして飲んでいただきたいと、昭和51年から通信販売を始めました。1997年にインターネット販売も始めた。今はネット販売が主ですよ。」

相藤園の願い

相藤令治「貴方は相藤園の近くにある松島園にも行ったのですよね。あの場所は小井平と言うのです。松島園の園主・川崎さんが作る川根茶も本当に凄い。あの質の川根茶を作るというのは本当に頭が下がります。」

―「リーフの日本茶の質は世界では高く評価されている。しかし、何故か国内では評価が低い。本当に奇妙な現象が起きてしまっていると思います。

相藤令治「お茶は飲みたいときに飲んでくれれば良い。

朝に飲む茶でも昼に飲む茶でも夜に飲む茶でも良いのです。

産地によって味だって違う。

そういった違いを楽しみながら味わってほしい。そういった嗜好品であってほしいというのが私たちの望みなのです。

中国にも茶はあるが、彼らは商売上手で売る相手に高所得者層を選んでいる。
とても良い値段で売っているから利益も大きい。この間も中国人がここに来たけれど、相籐さんのお茶全部欲しいって言ってました(笑)」

相藤園の情報・購入方法・ツアー情報

住所 〒428-0311 静岡県榛原郡川根本町元藤川160
ホームページ

購入方法

ツアー情報

http://www.fuji.ne.jp/~aitouen/

(↑相藤園のお茶はHPからも購入できます)

http://kawane-chaen.com/

(↑川根茶園喫茶のHP)

https://lns-nihon.jp/

(↑ツアー情報)

電話番号 0547-57-2693
電子マネー・カード決済 現金のみ
営業時間 問い合わせ
定休日 サイトより確認、もしくは問い合わせ
駐車場 あり(1,2台)
アクセス 所要時間: 国一バイパス向谷ICより車で約60分
最寄り駅: 大井川鐵道・駿河徳山駅より車で約5分

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