フォーレなかかわね茶茗舘で川根茶の香味と歴史に触れる【静岡県・川根本町】

OCHATIMES編集部
フォーレなかかわね茶茗舘で川根茶の香味と歴史に触れる【静岡県・川根本町】

平均降雨量が多く日照時間が短い高湿度の山間地が連なる静岡県川根地域。ここで栽培されるお茶は川根茶と呼ばれており、その生産面積・生産量は全国の茶産地の内のわずか約2.5%ほど。その希少性と類まれな品質の高さから江戸時代には川根茶が年貢として納められていたと記録されています。今回取材させて頂いたのは、そんな川根茶の魅力を体験出来る施設フォーレなかかわね茶茗館。SL大井川鉄道線沿いにある森林と茶畑に囲まれたこの施設には、腕利き川根茶農家の作る川根茶を求めて多くの観光客が訪れています。

この記事では、フォーレなかかわね茶茗館の魅力や川根茶を体験する様子についてなどをお伝えしていきます。

フォーレなかかわね茶茗館とは

フォーレなかかわね茶茗館とは平成6年の春にオープンした国土交通省指定の道の駅です。川根茶の情報を中心に川根本町の暮らしや文化について発信しています。

およそ学校の運動場ほどの広さの開放感ある敷地は、大井川を隔ててSLが走っている景観を眺めながら寛げると家族連れに人気です。

施設内部では川根茶の魅力を中心に川根本町の魅力について詳しい情報を知ることができます。またフォーレなかかわね茶茗館のホームページからもオススメの宿や食事処といった詳細な周辺情報を知ることができます。

フォーレなかかわね茶茗館の発信する川根茶の魅力とは

川根茶とは静岡の川根地域で生産されるお茶のことです。川根茶の生産面積・生産量は全国の茶産地の内の約2.5%しかなく、日本三大銘茶に数えられる静岡茶の中で最も希少価値の高いお茶になります。

川根茶が栽培されるのは、平均降雨量が多く日照時間が短い高湿度の山間地。地下では南アルプスから連なる山々の上質な伏流水が流れており、地表では昼と夜の寒暖差によって頻繁に山霧が発生し茶樹を覆います。

そうした環境下で育った茶葉の葉肉は薄く柔らかく、浅く蒸した後、優しく揉み上げられることで、濃緑色をした細い針状の茶葉に仕上がります。

整った茶葉の形状からは、お茶の色素の素となる茶の粉が流出しにくいので、川根茶の水色は沈殿物が少ない澄んだ黄緑色となります。

川根茶を口に含むと「滋味(じみ)」とよばれる山の香りを連想させる爽やかな香味が鼻腔に広がります。旨み甘みの中に程よく調和した渋みが感じられ、スッキリとしたのど越しでありながら、後味が余韻として長く残ります。

郷土資料館

イベントホールの2階には川根本町のお茶と歴史にまつわる資料が展示されています。川根茶とは、どのようにして作られてきたのか。その起源から製法までパネルや書籍で詳しく知ることができます。

吹き抜け構造になっている天井の様子は間近で見ると、その見事な作りに圧倒されます。

川根茶が体験できる茶室~洗心庵~

茶室~洗心庵~では本格的な川根茶をお手軽な料金で楽しむことができます。この茶室には、県外からの観光客や外国人観光客も多く訪れています。

茶室には川根本町の無垢材をふんだんに使用しており、木の香りが漂う本格的な和室でゆったりと寛げます。

川根煎茶飲み比べセット

左側が静岡のお茶の栽培面積の9割を占めている品種のお茶「やぶきた」。右側には濃い緑色の水色と特徴的な香りのする品種のお茶「おくひかり」。お茶を淹れる際は、スタッフがお茶の淹れ方を丁寧に教えてくれるのでお茶に詳しくない方でも気軽に注文できます。

「やぶきた」「おくひかり」の飲み比べお茶セットは、お茶菓子も付いて500円。仮に同様のセットを都会のお茶カフェで注文した場合は、最低でも倍以上の価格になるでしょう。

お茶菓子は光林堂の銘茶羊羹。羊羹の甘味とお茶の風味のバランスが絶妙です。中心に置かれた黒い巾着には、お茶を抽出した後の茶殻を天日干ししたものが包まれており、お土産として持ち帰ることができます。

お湯の温度、抽出する時間によってお茶の味は大きく変わるということを、希少な川根茶で体験できます。


▲巾着に包まれた爽やかなお茶の香りを持ち歩くことができます。

川根産べにふうき紅茶

相藤園のすっきりとした味わいの川根紅茶、高田農園のまろやかな甘味の川根紅茶の2つのうち、どちらかを選ぶことができます。


グラッタケッカ~川根紅茶のかき氷~

グラッタケッカとはイタリアローマより由来する粗目に削ったかき氷のこと。川根紅茶を半日かけて水出しで抽出し急速冷凍した氷を削り出しました。ザクザクとした触感の氷が口の中で溶け出すと川根紅茶の天然の優しい甘味が溢れ出てきます。

このグラッタケッカは女性向けに作ったそうですが、男性でも十分楽しめます。夏限定のメニューです。


美味しい川根茶を頂いた後には、茶室に面した風情ある日本庭園を散策してみてはいかがでしょうか。


川根茶農家による呈茶イベント

フォーレなかかわね茶茗館1階の展示ホール・イベント広場では、定期的に川根茶農家、松島園つちや農園、高畑園、相籐園などによる呈茶イベントや手揉み茶体験が行われています。

本格的な川根茶を楽しめるのは勿論のこと、お茶の品質の良し悪しを競う品評会で何度も受賞経歴を持つ腕利き茶農家との触れ合いも貴重な体験です。

美しく透き通った緑の水色が川根茶の特徴でもあります。自分のお茶を知り尽くした茶農家だからこそ出せる極上の味を堪能してみてはいかがでしょうか。

手揉み茶の実演

川根茶を手揉みで仕上げる様子を見学するだけでなく、仕上げた手揉み茶を水出しにしていただくこともできます。


水出し手揉み茶

茶葉5gを水に浸して5分間待ちます。低温でじっくりと抽出された川根茶を啜れば、爽やかな香りと鮮烈な旨味が口の中に広がっていきます。

お茶を抽出した後の茶殻には川根産の柚子ポン酢をかけていただきます。繊細に仕上げられた茶葉は歯ごたえが心地よく、噛めば旨味が溢れ出してきます。


お土産処~緑のたまてばこ~

川根本町の元気な主婦6名が中心となって運営しているお土産処~緑のたまてばこ~。ここでは川根茶農家直送のお茶だけでなく、川根茶の風味を活かした手作りクッキーやアイスのほか、シイタケ、お茶の佃煮、ジャム、入浴剤なども購入できます。

高畑園、松島園、相籐園など、腕利きの川根茶農家のお茶を手に取りながら選べるのは、このお土産処くらいしかありません。

フォーレなかかわね茶茗館の周辺には、川根の地場産食材を使用した美味しい料理を提供する食堂や川根温泉などもあります。川根茶を育む豊かな自然の散策なども交えて訪れてみてはいかがでしょう。

~フォーレなかかわね茶茗舘の情報・購入方法~

住所 〒428-0312 静岡県榛原郡川根本町水川71-1
ホームページ  

https://chameikan.jp/

 

電話番号  0547-46-2100
電子マネー・カード決済 対応なし
営業時間 9時30分〜16時30分
定休日 水曜日、祝日の翌日、年末年始
駐車場 あり
アクセス 鉄道の場合
東海道線「金谷駅」乗り換え大井川鐵道「駿河徳山駅」(所要時間約1時間)で下車し徒歩10分自動車の場合
東名高速:相良牧之原I.Cから約1時間10分
国道1号:島田市から約1時間

 

この記事を書いた人 Norikazu Iwamoto
経歴 「静岡茶の情報を世界に届ける」を目的としたお茶メディアOCHATIMES(お茶タイムズ)を運営。2021~23年に静岡県山間100銘茶審査員を務める。静岡県副県知事と面会。お茶タイムズが世界お茶祭りHP、お茶のまち静岡市HP、静岡県立大学茶学総合研究センターHP、農林水産省HPで紹介される。地元ラジオやメディアに出演経験あり。

 

英訳担当 Calfo Joshua
経歴 イギリス生まれ育ち、2016年から日本へ移住。静岡県にてアーボリカルチャーを勉強しながら林業や造園を務めています。カルフォフォレストリーを運営。日本の自然を楽しみながら仕事することが毎日の恵み。自然に重点を置く日本の文化に印象を受けて大事にしたいと思ってます。

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