「富士の茶の間」で体感するお茶と富士山まる茂茶園五代目の想い(後編)【静岡県・富士御茶】

OCHA TIMES
「富士の茶の間」で体感するお茶と富士山まる茂茶園五代目の想い(後編)【静岡県・富士御茶】

富士山まる茂茶園の五代目本多茂兵衛さんは、茶を育て、摘み、作り、仕立てて、売るという多岐にわたる活動をしています。彼が追及する時代に合う日本茶の形は、農園でのお茶作り体験から茶カクテルの考案まで幅広く柔軟です。時には茶人として世界中を飛び回ってきた本多さんの見る日本茶の在り方とはどういったものなのでしょうか。

この記事では、日本茶という文化とその未来について、前編に引き続き五代目本多茂兵衛さんの考えを全編インタビューでお伝えしていきます。

産地の個性を活かしたお茶が増えている

従来、お茶というのは異なる産地の茶葉をブレンド(合組―ごうぐみ―)して消費者に届けるものでした。しかし最近になって合組をしないで、単一産地のお茶をそのまま提供すること(シングルオリジン)が多くなってきています。本多さんにお茶に対する見方の移り変わりについて意見を聞かせて頂きました。

―合組とシングルオリジンについての意見を聞かせて下さい。

良い問屋による良い合組もあります、それは間違いありません。しかし、合組は問屋・茶匠の専売特許のようでそうでもないのです。
都内の販売店では店主が合組をして自分のお茶を作っているところもあります。
そうなると、最終的に消費者には生産農家や茶師どころか問屋、産地名すらそぎ落とされて、途中にこもる我々の熱意は伝わりません。

大量消費の日用品の時代には良かったのかもしれませんが、趣味人の嗜好品としては没個性すぎて成立しないのかもしれませんね。

私の茶工場の外には、種から育てた「実生」茶の木が置いてあります。
東静岡駅近く、グランシップの広場の隅にある茶の木「ほうりょく」と「こやにし」という品種の間に転がっていた茶の種を自宅で栽培して増やしてみたものです。

ちょうど5年前の世界お茶まつりの時なので、ここまで育つのに5年ほどかかりました。グランシップのイベントには万人単位で来ているのに、誰もそこに植えてある茶の木や種に興味を持たずに素通りしていたのが印象的でした。

茶園に立つ身としてはお茶の木や土などから、一杯の茶に至るまでの過程が面白いのに。
皆カップ一杯の茶を淹れることに神経を集中する割に
その茶がどうやってできているのか
どうやって栽培されているのか
その土は
気候は
と興味が広がっていかないのはもどかしく、もったいない気持ちになります。

もっとも、そんなことを気にしてお茶を見ているのは、同業者でも数名に限られてしまうのかもしれませんが。

世界における日本茶の立ち位置とは

茶の生産者として、時には茶人として世界中を飛び回ってきた本多さん。そんな彼の目から見た世界における日本茶とはどのような立ち位置にあるのか、意見を聞かせて頂きました。

私が感じる限りですが、海外の富裕層の方々は国の東西問わず教養深く、文化を学ぶことへの意欲が高いようです。
私のところの体験で日本茶の深い部分を知ることが出来ると非常に感謝されます。

―茶の事が分かった。
―茶の木の成り立ちが分かった。
―学ぶ機会をくれてありがとう、と。

それが海外のVIPと呼ばれる人達です。
彼らのニーズに応えることで、静岡茶は単なる飲み物ではなく、日本の食文化の一翼を担うものだと捉えていただけます。
これは今後の静岡茶、並びに日本茶の立ち位置を決める重要なことだと考えています。

▲コロナの影響下でも本多さんはオンライン茶会を開くなどして、茶園から世界中の人々と繋がり交流を絶やさないようにしている

富士市には大淵笹場という場所があります。
そこでは外国人観光客が沢山来るのですが、彼らにはどこが立ち入り禁止の場所かの判断がつかない。
ただ畑を踏み荒らすだけで、現地でお金も使う事なく帰ってしまうので経済も潤わない。そういった問題の解決の為にゾーニングが急務です。

日本では他国に比べて高くない値段で美味しい食事が出来るし、店員は客に対して丁寧に頭を下げる。
治安も良く、海外ほどに分かりやすい暴力や差別を受けることもない。昔、13年ほど前にインドに行った時など到着して6時間も立たない間に殴られてメガネが壊れましたよ(笑)。どうやら立ち入り禁止の場所に入ってしまったのが原因だったらしいけれど、もし日本であれば警備員が赤い棒を振って追い払うだけです。
つまるところ日本という国は、海外のゲストにとって本当に割の良い国となっていくのだと思います。
この先もインバウンドが減るという事はないと思います。

このOCHATIMESを見て外国人観光客が直接茶農家に行かれても、時期によってはかえって迷惑になるかもしれません。

「畑にまで来てくれた人にはスペシャルな体験を提供できる」
という情報を載せて欲しいのと同時に
「部外者の立ち入り禁止地域について」
という情報も欲しい。

他にも

◆英語での直接対応可 
◆通訳を介しての間接対応可 
◆直接間接不可

というのも表記しておいたほうが良いと思います。
それと外国人が欲しい情報と日本人が欲しい情報は違うということもあるので、現在のサイトをただ英訳するだけというのでは良くないかもしれない。

100年後の茶の木に込める五代目本多茂兵衛の願い

お茶の生産現場としての茶畑とは別にもう一つ、本多さんは個人で茶栽培をしている小さな畑を持っています。本多さんは現在の日本文化について何を考えているのか、もう一つの畑に案内していただきお話を聞かせて頂きました。

ここは私のもう一つの畑です。山の中に自生している面白そうなお茶を持ってきて、挿し穂による自家増殖で増やしています。

―面白そうな試みですね。ここでは何という品種が栽培されているのですか?

ここのお茶に名前はありません。
お茶の木には実がなるのですが、それぞれの実から成長する野生の木は全て違った味や香りの木です。
富士山の山中に自生する木の中に、未来の日本茶を支える品種があるかもしれない。
年月をかけて育てていき、これからどういったお茶が作れるのか調べていき、面白いお茶ができたら名前を付けて品種として独り立ちさせてみたいと考えています。

―それだと検証結果を出すのに最低でも10年近くはかかると思います、そんなに長い先を見越してやっているのですか?

10年や20年は構いません。
どうせ私は死ぬまでお茶を作るのですから(笑)
それにお茶の木は数百年の時を生きる植物、人間よりも長生きなのです。
私が死んでも木は生きていく。それを原料に、私の人生を踏み台にして未来の茶師がかつてない香味の茶を生み出してくれるのなら、未来に生きる人にとって幸せでしょう。

私はこれからの時代を生きる子供達が、人生を楽しめる世界を残したい。しかし、その為には世界が楽しくないといけないでしょう。
お茶も、楽しく幸せなカタチで繋げていかなきゃいけない。確かに現状では、この畑はまだ趣味みたいな規模なのかもしれません。

しかし、これが100年先の未来に繋がる。

私の子供の為ですらない、孫の為に繋げていく。

私はよく年配の方々にこう言います。
私は今、私の孫の世代の為に頑張る。
だからあなたたちは、貴方の孫の孫の為に頑張ってほしい。
未来の日本を生きる子孫達が、興味と好奇心を楽しめるような世界を残しましょう、と。

―他の職業に挑戦してみようとは思わないのですか?茶を育て、摘み、作り、仕立てて、売るという多岐にわたる活動をこなせる本多さんなら、他の分野でもっと稼ぐことが出来ると思います。

あはは(笑)確かに稼げたかもしれないね。挑戦してみたいですね。
実際、今の茶業界はとにかく廃業が多い。高齢化による後継者不足も危険です。貴方がこれだけの記事をまとめて書いても、5年後にはこの取材相手がほとんどいなくなっていてもおかしくはないでしょうね。

富士の茶の間

戦後、国がかつて日本にいた富裕層から資産を取り上げ人々に分け与えた。そうしてこの国は経済成長の末に誰もが豊かになったと実感できる国になった一方で、文化を支えてきたハイエンドな富裕層が姿を消してしまいました。
一億総中流社会とは、一面では伝統文化の衰退をもたらしてきたのかもしれません。

そして今や中流社会そのものが地盤沈下している。
この先、日本全体が貧困化するのは避けられないでしょう。

それでも、なんだかんだいって私はこの日本という国と文化が好きなんですよ。私の行動の理由は、きっとそこに根差しているのだと思います。

これから先も富士山まる茂茶園では、まだまだ沢山の新しい試みをしていきますよ。2020年4月からは近くの古民家を借りて、お茶体験の場を作っています。
「ふじおか茶房」と名付けた場所の和室で、お茶会や土間でお茶造りを行う予定です。

茶園と茶房で体験が完結すれば、工場でお茶の機械が稼働している時期でも、体験の受け入れができる体制が出来る。
将来的には喫茶も行いたいですね。

私は100銘茶協議会の会長をしておりますので、出来る事なら静岡県中山間100銘茶協議会の茶屋を巡っていただけるとありがたいです。
どれも非常に美味しく個性豊かなお茶なので、国内外問わず訪れる方は満足されるでしょうし、すでに体験や見学を受け入れている会員も多くいますよ。」

~富士山まる茂茶園の情報・購入方法・茶園体験の申し込み~

住所 〒417-0841 静岡県富士市富士岡1765
ホームページ

購入方法

茶園体験の申し込み

http://corp.fuji-tea.jp/

(↑富士山まる茂茶園ホームページ)

https://fuji-tea.stores.jp/

(↑オンラインストア。ここから購入できます)

https://chajihen.com/contents/chanoma/fuji-chanoma/

(↑「海と富士山の見える茶園」の体験予約)

instagram https://www.instagram.com/honda_mohei/
電話番号 0545-30-8825
電子マネー・カード決済 クレジットカード対応済み

QRコード決済非対応

営業時間 問い合わせ
定休日 問い合わせ
駐車場 あり(少数台)
アクセス 最寄り駅、新富士駅より車15分

吉原駅より車15分

 

国道1号線富士東インターを降りて北上、県道76号線を北上し、

県道22号線との交差点を直進、坂道手前を右折、赤淵川を渡ってすぐを左折して200m

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