こやぶ園茶舗

OCHA TIMES
こやぶ園茶舗

創業70年を迎える産地直送販売の川根茶問屋「こやぶ園茶舗」


こやぶ園茶舗
こやぶ園は創業70年を迎える産地直送販売にこだわる川根茶問屋「こやぶ園茶舗」。こやぶ園で作るお茶「川根茶」は、特にお茶の火入れにこだわる。時間をかけて「香りとうまみを大切にした火入れ」をしており、そこから出来る川根茶は香り、滋味が際立つ。ゆったりとしたゆったりと過ごす川根茶時間を提供する歴史ある茶問屋です。
あらかじめ電話で予約後、こやぶ園茶舗に直接行ったら、メニュー表を見ながらの試飲をさせてもらえることになりました。応対してくれたのは責任者の小籔久幸さん。

小籔久幸「自分の口にあったお茶を飲むのが一番ですから、よろしければ試飲してみますか?こちらが品目になります。お好きなのをどうぞ。 」

↓右側が100g2000円の白寿、左側が100g1000円の藤川。白寿の方が若干色が黄色がかっている。

こやぶ園茶舗

小籔久幸「芽が柔らかいので色も若干薄いです。どうです、どちらがお好みですか?」

—「白寿の方が旨味が強く出ているように感じます。ただ2煎目3煎目と味が変わりますので迷うところです。あと玄米茶の試飲もお願いして良いですか?」

小籔久幸「抹茶入り玄米茶と抹茶の入っていない玄米茶があります。玄米茶は二番茶の葉を使用しています。太陽に当たっているのでカテキンが多くでます。味の濃い中華料理の後に飲むのが私は好きです。」

—「いいですね。私は焼そばを食べた後にお茶を飲むのが好きです。口の中が洗われていくような感覚が気持ち良い。玄米茶も良いです。この、くき茶というのは何ですか?」

小籔久幸「葉ではなく葉の茎の部分のお茶のことです。お客様の中にはくき茶しか飲まれないというこだわりを持つ方もおられます。」

↓くき茶。凄い爽やかな香りがする。

試飲しながらいろいろ話をさせていただきました。


小籔久幸「今はペットボトルのお茶は飲まれても急須で淹れるお茶は飲まれません。以前100組の家庭にアンケートをしましたが、急須を持っているところは一軒もありませんでした。私達もお茶を広める為に毎年湖西市小学校に一年分のお茶を寄付しています。浜松の湖西市には茶畑もないですから、飲み方の指導等もしてお茶の普及活動にも力を入れています。」

—「一年分とは凄いですね。私が勤めている会社でも言えることなんですが、もし会社でこういったお茶を出されれば、きっと仕事の効率は上がると思いますよ。本当のお茶は物凄い栄養を飲んでいるような感じですから。前に森内茶農園というところに行ったんですが、外国の方がよく訪れてお茶の味に感動するそうです。味の表現もとても独特で「シルクのような飲み物だ」とか「命の水を飲んでいるようだ」というそうです。

小籔久幸「確かになかなか他の飲み物にはない味ですよね(笑)」

—「コーヒーや紅茶には金や手間をかけて淹れるんですから、日本茶もそうあって欲しいです。私は寝る前に必ずお茶を飲みます。お茶は抗菌作用もある飲み物ですから歯を磨いた後でも飲めるのが助かります。コーヒーだとそうはいきません。」

小籔久幸「お茶は歯にも良いですから(笑)」

こやぶ園茶舗小籔久幸さんからみた茶業界の現状

小籔久幸「この辺りは一番茶しかとらないので収穫量も多くはないんです。二番茶も採ると木が傷んでしまいます。ただ牧之原辺りは太陽にあたって木が強いから、長期間収穫することが出来る秋冬番茶が可能です。だからといって川根の日当たりが良いなんてことになってしまうと、今度は品質が変わってしまい川根の味ではなくなってしまいます。」

—「牧之原は平坦な土地ですから日当たりが良いんですよね。川根は山も多く急傾斜だから日当たりも弱い。でもだからこそ川根の独特な風味が生まれる。難しいですね。」

小籔久幸「はい、牧之原で出来る深蒸し茶も確かに美味しいですけれど、平坦な土地で出来る茶になると大規模な鹿児島茶との勝負になってしまう。それでは間違いなく負けます。」

—「聞いた話では鹿児島茶は大規模な機械化が凄いそうですね。今や24時間稼働の栽培があるし、大口の量での勝負になったら絶対に勝てないと。」

小籔久幸「鹿児島茶は、もう規模が違い過ぎる。静岡とはスタートラインからして違うんです。 川根茶は急傾斜の茶畑で収穫量は少ないですが、高品質高価格で勝負しなければ先はないと思います。ただ昔と今とでは栽培環境が大きく変わりました、なのでいろいろ大変なんです。」

—「環境が変わったというと、天候とかですか?」

小籔久幸「天候もそうですが、特に大井川の水量が減ったんです。今は電力会社がダムを作り藤川と大井川に水量を分けて調整しているんです。水量が多かった昔は朝霧が発生して、それが茶畑に付着することで良い茶葉が出来やすかったんです。」

—「なるほど、水分が程良く茶畑にかかって品質が良くなっていたわけですね。」

小籔久幸「あくまでもそういった傾向があったということしか言えません。朝霧が良いお茶を作る事に繋がっていたとは思います。しかし、それを科学的に証明することは出来ません。そもそもお茶は毎回違う味が出来るので、因果関係の証明はしようがないんです。」

—「なるほど、確かにお茶の出来は毎回違う、同じものが出来ることはないと他の農家の方も言ってました。」

小籔久幸「それに、この辺りの住民が飲む水は大井川の始流の方からの水なんです。大井川の下流の水量が変化しても特に騒ぎになることはありません。冬なんかは異常なくらい水が少ないんです。水量が少ない時にはイノシシやシカなどが河を渡って対岸から移動してくることもあります。昔はそういった事はなかったことです。それに加えて気候環境も間違いなく変わってます。」

—「昔に比べて暑くなってますかね。」

小籔久幸「はい、明らかに。もう2年続けて暑いので茶の木に物凄いこたえます。それに風も強い。風が強いと葉が踏ん張るので硬い葉になってしまいます。」

—「風が吹くだけで茶の味が変わると聞いたことがあります。そういうことですか。」

小籔久幸「川根茶は高い場所にあるお茶の方が良い味が出てるというのは茶業試験場でも科学的に証明されています。しかし高い土地にある茶畑は採れる時期が遅いんです。一方で問屋には早い時期に収穫した茶葉の方が高く売れる傾向があります。というのも後になってから収穫した良い茶葉を売ろうとしても、問屋にはもう既に充分な量が確保されていることもあるので良い茶葉が安く買われてしまったんです。昔はそういった事もありました。」

—「それは、辛くないですか?」

小籔久幸「昔の話ですよ。今はもうそういったことは少ないと思いますし、現在こやぶ園は卸はやっていません。直売と通販のみです。ただ茶産業も機械化が進み最近は茶葉の評価までも全て機械化されているところまであるんです。味の判断まで成分表でデータ化してしまって機械化ばかりで業界内で味を分かる方も減って来ています。」

—「全てがデジタルデータ化というのは難しいんじゃないですか。全てデータ化出来るなら、良質なモノだって大量生産が出来ます。しかし本当に良いモノはデータ化出来ないから大量生産も出来ないわけでしょう。日本酒でも本当に良い酒は大量生産出来ないから量が限られる。結果人気のある名酒は手に入らないということになる。」

小籔久幸「その通りです。それにそうなると、そのデータ数値を目指したお茶を作るような方向に行ってしまい、良いお茶というものが「売る側にとって良いお茶」ということにすり替わってしまう危険があります。」

—「お茶が、もし「売り手にとっての良いモノ」が「買い手にとって良くないモノ」に当てはまってしまった場合を考えると心配です。質の悪いモノが広まれば、必ず人が離れていくという結果が出るというのは分かり切っていることです。」

小籔久幸「うん、そうだと思う。無理矢理大量生産に持っていけば、いずれ取り返しのつかない反動が来ると思う。というかもう来ているのかもしれないね。一番怖いのはこのままいくと「静岡といえばお茶」でなく「お茶なんか作っているせいで静岡が発展しない」と言われかねないということなんです。お茶だけでなく他にもいろんな農作物があるからね。「ワサビとか、柚子とかいろいろあるから、そういったモノを作ればいいんだ。お茶なんか作っているから静岡は発展しないんだ」という流れになりかねない。それが一番怖いですね。」

—「お茶を飲まないと決めるのは個人の自由だと思います。しかし本当の味を知って、その上で飲まないと決めているのであればまだしも、皆そもそも本当の味を知らない。」

小籔久幸「そうですね。みなさん味を知らないのは残念なことです。そうやってお茶に興味を持っていただける方が増えてくれるのは嬉しいです。(笑)」


こやぶ園茶舗の問屋としての確かな技術は信頼されており、多くの茶農家から大切な茶葉を託されている。主に通販で販売しているこやぶ園茶舗ですが、事前予約を入れれば直接店で試飲しながら購入することもできます。様々な形に仕上げられた良質なお茶を楽しむこやぶ園茶舗を利用してみてはいかがでしょうか。

以上、編集長による、こやぶ園茶舗のレポートでした。

住所 〒428-0311 静岡県榛原郡川根本町元藤川376
ホームページ http://koyabuen.jp/
電話番号 0120-395-820
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営業時間 問い合わせ
定休日 不定休
駐車場 あり
アクセス 国道1号線「向谷」ICから県道64号を北進する。
または新東名「島田金谷」ICで降り国道473号線を北に進み(20分)「川根交番西」を右折し県道64号を北進「川根温泉」を通過し77号に接続し
川根本町下長尾で(13分)国道362号線に接続15分ほどで「万世橋」を渡り50m先元藤川町道へ右折すぐそこ(150m)。

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