静香農園

OCHA TIMES
静香農園

水と森の番人が創る癒しの里、川根本町で豊かな自然と共に茶樹を育てる静香農園。

静香農園園主、小西宣幸さんにお話を聞かせていただきました。


小西宣幸「こんにちは、今お茶を淹れますね。これは、はるみどりという品種です。やぶきた、かなやみどりの品種の掛け合わせです。国の機関で生まれた品種です。」

―「これは美味い。旨味もある茶ですね」

小西宣幸「この品種は収穫の時期が遅いのです。世の中ではやぶきたの収穫時期を基準にして、収穫の時期の遅い早いを決められます。やぶきたに比べてだいたい3日か4日くらい遅くに摘む時期が来ます。かぶせで高級な茶を作るという計画です。」

―「なるほど。」

小西宣幸「現在市場に出回るのは主にペットボトル用が多い。静香農園のお茶は市場には出回らないようなスペシャルティーが主になります。これからはそういったペットボトル用とスペシャルティーの2極化していくのではないかと思っています。」

―「そうなると、質の良い高級茶はますます手に入りにくくなりそうですね。」

小西宣幸「これからもペットボトルのお茶の大工場は出来ていくでしょう。それを悪く言う方も居ますが、それが経済に繋がっているという面もあります。これからは共同工場の再編成の時代になるのかもしれません。共同工場では助成金も出ます。ただ「煎茶」にするか「てん茶」にするかはわからない。」

―「抹茶が流行っている今は抹茶の原料である「てん茶」になる可能性が高いですね。」

小西宣幸「てん茶は煎茶に比べて工程が複雑なわけではないですし、設備も複雑ではないですから。」

生産農家が有機栽培から製茶まで手掛けて川根茶を届けていく。


小西宣幸「紅茶もどうぞ、静香農園で作ったものです。」


―「静香農園は有機栽培なのですね。有機栽培で言うと、今までは樽脇園と杉本園に行きました。」

小西宣幸「樽脇園さんと杉本園さんに行かれたのですね。知っていますよ。ただ知っておいて欲しいのは有機と無機どちらが良い悪いというわけではない、ということです。みんなお茶の木を害虫から守りながら茶栽培して美味しいお茶を作る為に頑張っているのです。農薬はうちの場合は必要ないかな、と判断して使ってないだけです。周囲の生態系のおかげなのかもしれない。」

―「これだけ美味い茶だと、遠くからの買い付けもありそうですね。」
(静香農園のネット販売から受賞経歴の詳細がサイトにのっています)

小西宣幸「静香農園の茶も審査でいろんな賞を取ってきました。あまり飾ってはいないけれどね(笑)これは静7132という品種で、正式な和名が未だに付けられていない品種です。清水の方では「まちこ」という名前を付けて、沢山植えている香りに特徴のあるお茶です。桜葉の香りがするので私は「さくらみどり」と命名していますし、「さくらかおり」と名付けて販売している方もいます。フランスの人は特にこういった香りのするお茶は好まれるかもしれませんね。」

静香農園園主小西宣幸さんが見る静岡茶業界の現状。

小西宣幸「世の中に多様な飲み物が出てきました。街では手軽にペットボトルのお茶が出て皆にお茶が行きわたり、夏にコンビニに行けば冷えたペットボトルのお茶が手に入る。家でわざわざ淹れなくても良い。働いて消費もするという人達にとっては凄く便利な時代になりました。そもそも働いて経済活動をしている人達には急須でお茶を淹れるような時間はないでしょうからね。大量にそこそこの質のものを作って安く売れば皆手を出す。そうしてお茶業界の経済はまわるようになってしまった。おそらくお茶はもう一通り行き渡ったのだと思います。ただ、それがいっぱいになってきた。」

小西宣幸「お茶の価格はペットボトル茶が出てきたことで安価になった。生産者は機械化して小労力にして労働賃金のカットによって、その安価を下支えする。行政もそういうところに資本投資してきた。そうやって世の中に抹茶やペットボトルでお茶を普及させてきた。抹茶ラテなんかも出てきました。ミルクを入れたりすることで飲みやすくなる。コーヒーなんかもそうだよね。」

―「あれはあれで素晴らしい商品だと思います。しかし、私はこれまでのお茶とは離れているものなのではないかと感じているのです。」

小西宣幸「よっぽどの品質の抹茶でないとミルクなしでは味わいや旨味は減ってしまうからね。経済をまわす道具としては成功しているだろう。ただ現在では、その競争が世界規模にまでなってきている。中国がますます進出してくるのも時間の問題でしょう。」


―「静岡の山間で出来るようなお茶をなくしてはいけないと思います。平地で出来る深蒸し茶も確かに美味しいですが、山間の浅蒸し茶には山間でしか出せない味がある。なによりも、このまま山間のお茶が衰退して途絶えるようなことがあれば、日本に残るのが平地のお茶だけです。そうなれば国土の大きい中国がお茶栽培に本格的に乗り出してきて大量生産化でコスト勝負になった途端、日本茶そのものが危うくなりかねない。その影響は観光、小売り、流通全てに波及し経済の流れに大きな影響がある可能性があると思います。」

小西宣幸「話を車業界に移して考えてみましょうか。例えばアメリカでは昔フォードが車を大量生産して雇用を作った。従業員は沢山の給料がもらえる。フォードも大量生産によって値段も下げたので、今まで高級車とされていたのが、多くの消費者が車を安く買えるようになった。そうやってお金がまわるようになった。政府が国から資金も出した。だんだんそれが行きわたってオイルショックが起きたりもした。そうやって発展していく中で、経済活動をしてきた人たちが次は何を求めるかというと、安くて良いものという事になった。皆がお金の使い道に困っているほどお金を持っているというわけではないからね。」


小西宣幸「アメリカにより性能が良いとされるドイツのフォルクスワーゲンが入ってきた。その後は日本から燃費を食わない更に性能の良いとされる車が入ってきた。故障も少なく燃料も食わないから皆が欲しがりましたね。結果フォードやフォルクスワーゲンは駆逐されアメリカの自動車産業が衰退した。今トヨタやホンダはアメリカに生産拠点を移してアメリカに雇用を作り経済を回している。そういったことがいろんな分野で繰り返されている。私はお茶もそういうことが起こりつつあるのかもしれない、と思っているのです。」

―「なるほど、お茶の発展の歴史と車の発展の歴史は似ている部分があるのかもしれませんね。お茶は番茶から初まり、高級茶になり、ペットボトルと形を変えていった。車も最初は馬車だったのが、高級車やスポーツカーとなり、一般大衆車となった。そして今はそれが少子化や思考の多様性でフラットになりつつある。」


小西宣幸「ただ今の車は本当に性能が良くなった。そしてペットボトルもそうでしょう。今のペットボトル茶はどんどん美味しくなっているもの。技術的にも材料も良くなってきている。その上で大量生産もすれば価格も下げられる。」

―「そして消費者が求めるのは安価でそこそこ良いもの。だから多くがペットボトル茶にいくことになるのですね。」

―「私はお茶業界を調べていきましたが、その現状はあまりにも暗いものでした。その現状をどのように伝えたらよいのか迷うのです。私は、なんとか明るく載せたいと思ったのですが、多くの茶業者はありのままを伝えてくれ、今さら飾っても仕方ない、と言います。」

小西宣幸「私は明るく伝えても良いんじゃないかな、と思うよ。もともとお茶って気分を良くするものでしょう。楽しくやらないと(笑)お茶は楽しい。それを経済に繋げるのは大変だけどね。人々が豊かになり健康志向になった。そこからお茶もスーパーフードとしても捉えられている。そして、またお茶を買うようになってきた。食用抹茶もね。きっと皆、普段は意識しないでサラサラッとお茶を飲んでしまうかもしれないけれど、お茶に意識を集中させて飲んでみるとまた複雑でしょう。幾重にも味わいが重なってくる。」

―「はい、これは言葉では言い表せない味です。」

小西宣幸「急須で淹れたりする高級茶を作っていた人たちは衰退と感じてしまうかもしれない。しかしお茶業界を外から見ている人たちにはこんなに便利になったのか、と感じるだろうね。高級茶は車で言うとフェラーリやポルシェのような位置づけに来ているという見方もあるのかもしれないね。品質は最高だと皆が認めているが、かといって毎日転がすことはないでしょう。それに高級茶が売れなくなったことで、逆に皆が手に入りやすくなったという事もある。昔だったらお殿様に献上していたような幻のお茶がすぐそこで売っているということもある。川根であれば。高速道路のサービスエリアとかにもあったりしますよ。お茶好きにとっては本当に良い時代だと思います。」


静岡の川根地区は本当に旨味と爽やかな香りを持つお茶が良くできる。ただ傾斜の茶畑が多い分、その苦労は計り知れない。自分も傾斜の茶畑の作業を手伝った事があるので、その大変さは良く分かる。前向きに茶栽培を続ける茶農家がもっと心から笑顔になれるように、出来ることはきっとあるはず。

以上、編集長により静香農園のレポートでした。

お店の情報~静香農園~

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最寄り駅: 大井川鐵道・駿河徳山駅より車で約5分

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