茶問屋とは?荒茶の目利き・火入れ・合組から見る、仕事と役割

OCHATIMES編集部
茶問屋とは?荒茶の目利き・火入れ・合組から見る、仕事と役割

茶畑で摘まれ、蒸し、揉み、乾燥を経て作られた茶葉。それだけで、私たちが普段購入している日本茶が完成するわけではありません。
茶農家や製茶工場で作られた茶葉は、「荒茶」と呼ばれます。茶問屋はこの荒茶を仕入れ、特徴を見極め、選別や火入れ、合組などの工程を経て、一つの商品として仕上げる役割を担ってきました。
どの荒茶を仕入れるのか。どのように火入れをするのか。異なる茶葉をどの比率で組み合わせるのか。その判断によって、出来上がるお茶の味や香りは変わります。日本茶専門WebメディアOCHATIMESでは、静岡県内の茶問屋を実際に訪ね、茶葉の仕入れ、目利き、火入れ、合組、商品開発、販売について取材してきました。

そこで見えてきたのは、茶問屋が単なる「流通の中間業者」ではなく、日本茶づくりの重要な担い手であるということです。
この記事では、茶問屋とはどのような仕事なのかを、荒茶の仕入れ、目利き、選別、火入れ、合組、販売までの流れに沿って紹介します。さらに、カフェや新ブランドを通じて消費者との接点を広げる、現代の茶問屋の姿も現地取材を交えながらお伝えします。

茶問屋とは | 荒茶を仕上げ、商品として届ける仕事

茶問屋とは、茶農家や製茶工場で作られた荒茶を仕入れ、仕上げ加工を行い、商品として販売・流通させる茶業者です。


「問屋」と聞くと、商品を仕入れて小売店へ卸すBtoBの流通業者を思い浮かべるかもしれません。しかし、日本茶の茶問屋は、単に茶葉を右から左へ流通させるだけの存在ではありません。

茶葉の大きさを整える。茎や粉などを選別する。火入れによって香りや味を引き出す。異なる特徴を持つ茶葉を組み合わせる。こうした工程を経て、荒茶は私たちが店頭で目にする煎茶などのお茶へと仕上げられていきます。

荒茶▲仕入れた荒茶は、そのまま消費者へ販売されることは少ない。

ただし、すべての茶問屋が同じ仕事をしているわけではありません。現在の茶問屋には、さまざまな形があります。荒茶の仕上げ加工を中心とする会社。高温焙煎技術を生かし、ほうじ茶製造を中心に扱う会社。卸売を中心とする会社。海外へ販売する会社。自社ブランドを持ち、小売店やオンラインショップを運営する会社。

近年では、カフェを開いたり、SNSで情報を発信したりしながら、自ら消費者へお茶を提供する茶問屋も見られます。OCHATIMESの取材先にも、伝統的な仕入れや仕上げ技術を受け継ぎながら、新しい形で消費者との接点を作る茶問屋があります。

山梨商店▲世界お茶まつりで、お茶のワークショップを開催する山梨商店取締役・山梨宏之さん。

「茶師」とは | 茶問屋の味を形づくる職人

茶問屋について調べていると、「茶師」という言葉を目にすることがあります。茶師という言葉の使われ方には幅がありますが、現在の茶問屋の現場では、荒茶を見極め、仕入れ、選別、火入れ、仕上げ、合組などを担う熟練者を指すことがあります。

同じ設備を使い、同じ温度で火入れをしても、最終的なお茶が必ず同じ味になるわけではありません。そこに、茶師や茶問屋ごとの技術、経験、考え方が表れます。

▲全国の製茶問屋の若手茶師などが出場し、お茶の審査力を競う「全国茶審査技術競技大会」の様子。2024年度大会では、静岡の製茶問屋・和田夏樹さんが優勝。

茶問屋の名前で販売されているお茶には、原料となる茶葉の産地や品種だけでなく、その茶問屋で仕上げを担う茶師が「どのような味をおいしいと考えているのか」という個性も反映されています。

茶の生産地であり、流通・加工の拠点でもある静岡

静岡は日本有数の茶産地であると同時に、全国各地の茶葉が集まる流通・加工の拠点でもあります。明治期には、東海道線の開通や清水港からの茶輸出の発展により、静岡の茶産業は大きく拡大しました。現在の静岡鉄道の前身も、茶問屋が多く集まる安西・茶町周辺と清水港を結び、茶を運ぶ役割を担っていました。
茶を作る産地。
茶を集める市場。
茶を見極める茶問屋。
茶を運ぶ交通網。


こうした機能が重なり合ったことで、静岡は茶の生産地にとどまらず、日本茶の流通・加工拠点としても発展してきました。現在の静岡市中心部にも、「茶町」や「安西」など、茶業者が集まる地域が残っています。また、静岡茶市場周辺にも茶問屋や茶業関連企業が集まり、新茶の時期には荒茶の取引が行われています。

静岡茶市場

茶農家と茶問屋は何が違う?従来の分業と、重なり始めた現在の仕事

茶農家の仕事は、茶畑で茶の木(チャノキ/学名:Camellia sinensis)を育て、生葉を生産することから始まります。自ら製茶工場を持つ茶農家の場合は、摘み取った生葉を蒸し、揉み、乾燥させ、荒茶まで製造することもあります。

一方、茶問屋は、その荒茶を仕入れ、選別・火入れ・合組などを行い、仕上げ茶として商品化・販売する役割を担ってきました。

大まかに整理すると、次のような関係です。

茶農家:茶園 → 生葉 → 荒茶
茶問屋:荒茶 → 選別・火入れ・合組など → 仕上げ茶 → 販売

従来の日本茶産業では、茶農家が土地と茶樹を管理し、茶葉を作る。茶問屋がその茶葉を見極め、仕上げ、商品としての味を整える。こうした分業によって、一杯のお茶が消費者へ届けられてきました。

ただし現在では、茶農家が仕上げから販売まで自ら行う「自園自製自販」の形もあります。また、茶問屋が小売店やカフェを経営することもあり、現場では両者の仕事が一部重なっています。

そのため、今の日本茶産業では、「茶農家と茶問屋のどちらがお茶を作っているのか」と二者択一で考えるだけでは、実態を捉えにくくなっています。

※茶農家の仕事や経営の多様なかたちについては、茶農家とは?栽培・製茶・販売から見る、仕事と経営の多様なかたちで詳しく紹介しています。

茶問屋の仕事はどこから始まるのか|「荒茶」を一杯のお茶に仕上げる工程の道のり

茶畑で摘み取られた生葉は、煎茶などの蒸し製緑茶の場合、蒸熱、揉み、乾燥などの工程を経て「荒茶」になります。荒茶は保存や流通に適した状態ですが、茶葉の大きさにばらつきがあり、茎や細かな粉も含まれています。

茶問屋は、この荒茶を仕入れた後、さらに仕上げ加工を行います。荒茶の特徴を見極め、選別や火入れを行います。必要に応じて複数の茶葉を合組し、商品としての味や香り、形を整えていきます。

つまり茶問屋は、茶農家が作った荒茶を、消費者に届く「完成品としてのお茶」へ近づける役割を担っています。

茶問屋の仕事① 目利き|荒茶を見極めることから仕上げは始まる

茶問屋の仕事は、まず「どの荒茶を仕入れるのか」という判断から始まります。煎茶の原料となる荒茶は、一つひとつ状態が異なります。その違いを見抜けなければ、その後の火入れや合組を適切に行うことはできません。茶葉を正確に見極めること。茶問屋の仕上げ技術は、そこから始まります。

仕入れでは、産地や時期、品種、製法などの情報を確認します。さらに、実際に茶葉を見て、触れ、香りや水色、香味を確かめながら、その特徴を判断します。

しかし、茶葉は農産物です。同じ産地、同じ品種であっても、天候や摘採時期、栽培方法、製茶方法によって、毎年状態が変わります。そのため、前年と同じ商品を作りたいと思っても、前年とまったく同じ荒茶を再び仕入れられるわけではありません。

そうした状況の中で茶問屋の仕事を支えているのが、茶葉を見極める「目利き」です。茶の仕入れや仕上げに携わる職人は、茶葉を見る。触る。香りを確かめる。湯を注いで水色を見る。そして香味を確かめる。そうして荒茶の特徴を一つひとつ見極めながら、「この茶葉をどのようなお茶に使うのか」を考えます。

目利きには、味覚や嗅覚だけでなく、毎年変わる茶葉を見続けてきた長年の経験が欠かせません。前述したように、静岡には全国各地からさまざまな茶葉が集まってきました。日常的に多くのお茶を見る環境があったことが、茶問屋の鑑定技術を磨く土台になってきたといいます。

茶問屋の仕事② 選別|荒茶を分け、それぞれの特徴を商品に生かす

荒茶には、形や大きさの異なる茶葉のほか、茎や細かな粉などが含まれています。選別工程では、ふるいなどを使って茶葉を大きさごとに分け、形を整えていきます。

このとき分けられた茎や粉は、単に不要なものとして廃棄されるわけではありません。茎を生かした茎茶、細かな部分を生かした粉茶など、それぞれの特徴を生かした商品になることもあります。

選別とは、茶葉をきれいに分けるだけの工程ではありません。荒茶に含まれる部位ごとの特徴を見極め、商品として整えていく工程でもあります。


茶問屋の仕事③ 火入れ|茶葉の香りと味をどう引き出すか

火入れは、荒茶の水分をさらに減らしながら加熱し、茶葉が持つ香りや味わいを引き出す工程です。火入れの仕方によって、異なる風味のお茶に仕上がります。

どの茶葉に対して、どの程度の温度で、どのくらいの時間、どこまで火を入れるのか。わずかな温度差や、その日の気温・湿度によっても、仕上がるお茶の風味は変わります。その判断によって、青々とした香りを生かすこともあれば、香ばしさや甘い香りを引き出すこともできます。

つまり火入れは、単なる乾燥工程ではありません。「その茶葉が本来持っているものを、どう引き出すか」を決める工程です。仕上げ工程の中でも、お茶の味や香りに大きく関わる重要な工程といえます。

甘味を軸に仕上げる火入れ|いしだ茶屋が目指す味

静岡県森町のいしだ茶屋は、火入れを非常に重視する製茶問屋です。
いしだ茶屋では、茶問屋の仕事を

荒茶を仕入れる「仕入れ」。
荒茶を加熱して香味を引き出す「火入れ」。
異なる茶葉を組み合わせる「合組」。

という三つの大きな工程として説明しています。なかでも重視しているのが「火入れ」です。

いしだ茶屋が目指しているのは、甘味を軸にしながら、香り、旨味、渋味、コク、余韻が調和したお茶です。

茶問屋の仕事④ 合組|香味をつくり、商品の品質を安定させる

茶問屋を代表する技術の一つが、「合組(ごうぐみ)」です。合組は、単に複数の茶葉を混ぜ合わせるだけではありません。茶問屋が長年の経験と技術をもとに、産地、品種、蒸し方などが異なる荒茶の特徴を見極め、複数の茶葉を組み合わせる技術です。

例えば、香りに優れた茶葉、鮮やかな水色を持つ茶葉、旨味やコクのある茶葉、爽やかな後味を持つ茶葉があります。それぞれ単独でも魅力がありますが、茶問屋が特徴を見極め、独自の比率で組み合わせ、最適な仕上げを施すことで、一つの茶葉だけでは生まれにくい奥行きのある香味を作ることができます。

合組には、もう一つ重要な役割があります。それは、商品の味を安定させることです。茶葉は農産物のため、毎年まったく同じ品質になるわけではありません。気温、雨、日照、摘採時期、栽培方法、製茶条件など、さまざまな要素によって、その年の茶葉の味や香りは変わります。

しかし、消費者が長年購入している定番商品では、「去年と大きく違う味」になってしまうと、違和感を持たれることがあります。そこで茶問屋は、その年に仕入れた複数の茶葉の特徴を見極め、組み合わせを調整し、その商品に求められる一定の品質や味わいに仕上げます。
つまり合組は、よりおいしいお茶を作る技術であると同時に、商品の品質を安定させる技術でもあります。

茶屋すずわに見る「香味の再構築」|合組でつくる味と香り

OCHATIMESが取材した静岡市の老舗茶問屋・茶屋すずわ(鈴和商店)では、合組を茶問屋の重要な技術として位置付けています。近年は、一つの農園や産地、品種ごとの個性を楽しむシングルオリジンのお茶も注目されています。

一方で鈴和商店は、異なる茶葉の個性を見極め、それぞれの長所を組み合わせる合組だからこそ生まれる味があると考えています。

香り、旨味、水色、余韻。優れた特徴を持つ茶葉を組み合わせ、さらに火入れや仕上げによって、その魅力を引き出していく。茶屋すずわでは、こうした茶問屋の仕事を単なるブレンドではなく、茶葉の「味と香りの再構築」と捉えています。

シングルオリジンの時代に考える、茶問屋だからこそできる仕事

近年は、単一の農園や産地、品種の個性をそのまま楽しむ「シングルオリジン」の日本茶も見られるようになりました。作り手や産地の特徴を感じやすいことは、シングルオリジンならではの魅力です。

茶農家が自ら商品を販売する「自園自製自販」や、産地・農園・品種の個性を前面に出したシングルオリジン茶が広がると、「茶農家から直接買えば、茶問屋は必要ないのではないか」と感じる人もいるかもしれません。茶農家だからこそ表現できる、その土地、その年、その品種の個性は確かにあります。

しかし、茶農家のお茶と茶問屋のお茶は、それぞれ異なる価値を持っています。茶問屋には、多くの産地や生産者の茶葉を横断的に見極め、複数の茶葉を組み合わせながら、それぞれの長所を引き出し、一つの商品として味を作り上げる魅力があります。

一軒の茶農家の個性を味わうお茶。茶問屋が複数の茶葉を見極めて作り上げたお茶。

どちらにも異なる楽しみ方があります。シングルオリジンと合組茶のどちらかが、単純に優れているわけではありません。茶農家には茶農家の仕事があり、茶問屋には茶問屋だからこそできる仕事があります。

また、伝統的な茶問屋の仕事が不要になったわけでもありません。むしろ、商品や販売方法が多様になるほど、茶葉を正しく見極めること、茶葉に合った火入れをすること、求める味に合わせて合組することといった基礎的な技術の重要性は変わりません。

甘味を軸とした仕上げを追求するのか。茶葉の個性を見極めながら、合組によって香味を再構築するのか。焙煎による香りを生かしたほうじ茶づくりに取り組むのか。その一つ一つに、茶問屋の判断があります。

新しいブランドやカフェの土台にも、茶問屋として積み重ねてきた仕入れ、仕上げ、目利きの技術があります。つまり、日本茶を選ぶときには、「どの茶問屋が仕上げたのか」という視点も、お茶の違いを知る手掛かりになります。

ここからは、そうしたお茶屋の味の違いを生かしながら、消費者にお茶の魅力を伝えているケースをご紹介します。

【編集部メモ】
OCHATIMESでは、静岡県内の茶問屋を実際に訪ね、仕入れや火入れ、合組、商品づくりなどについて取材しています。これまでの取材記事は、茶問屋の取材記事一覧からご覧いただけます。

若い世代へどう届ける?丸玉園「SANOWA」が変える日本茶との出会い方

静岡県焼津市の老舗茶問屋丸玉園は、自社工場で荒茶を仕上げ、自社店舗で販売する茶問屋です。2018年には、新ブランド「SANOWA(茶の輪)」を立ち上げました。背景にあったのは、若い世代の日常から、急須でお茶を淹れて飲む時間が少なくなっていることへの危機感です。

丸玉園は、「若者がお茶を飲まなくなった」と単純に捉えるのではなく、ペットボトル茶や抹茶ラテなどは若い世代にも親しまれている点に注目しました。問題は日本茶そのものではなく、従来型のお茶の楽しみ方が、現代の暮らしに合わなくなっているのではないか。

そう考え、ティーバッグ、フレーバーティー、菓子、カフェメニューなど、生活に取り入れやすい新しい形を提案しています。

また、店舗には喫茶スペースを設け、若い人が「まず飲んでみる」入口も作っています。これは、茶問屋が茶葉を仕上げて卸すだけでなく、消費者がどのようにお茶と出会うかまで考えるようになった事例の一つです。

仕上げて卸すだけではない|マルモ森商店とchagamaに見る茶問屋の役割

静岡市の日本茶専門店chagamaは、老舗製茶問屋・マルモ森商店が運営する店舗です。店内には50種類を超えるお茶が並び、茶葉の販売に加えて、試飲やカフェメニューを通じて、消費者がお茶を実際に飲み比べられる場をつくっています。

マルモ森商店は、複数の茶葉を見極め、合組によって味を整える、製茶問屋の伝統的な技術を受け継いでいます。その一方で、完成したお茶を消費者が気軽に体験できる場所まで、自ら運営しています。

茶問屋の仕事は、茶葉を仕入れ、仕上げ、卸すだけではありません。
飲んでもらう。
選んでもらう。
新しいお茶と出会ってもらう。
chagamaは、そうした茶問屋の役割の広がりを示す一例といえます。

約50社の茶商と消費者をつなぐ|しずチカ茶店 一茶

茶問屋が消費者との接点を作る動きは、一社ごとの店舗やブランドにとどまりません。JR静岡駅北口地下広場にあるしずチカ茶店 一茶は、静岡茶商工業協同組合が運営する日本茶専門店です。

静岡市内の約50社のお茶屋が仕上げたお茶が集まり、異なる茶商のお茶を一つの場所で選ぶことができます。これらのお茶は、一律500円という特別価格で販売されています。

店頭には、季節に応じて新茶や水出し茶、熟成茶なども並びます。静岡市内のさまざまな茶商のお茶に、気軽に触れられる場所となっています。

一茶の特徴は、茶葉の販売だけではありません。店内では、複数のお茶を飲み比べられる呈茶メニューも用意されています。専門知識を持つスタッフが、お茶に合わせて淹れ方を変えながら提供しており、気に入ったお茶があれば、そのまま物販コーナーで購入することもできます。

一茶の統括責任者である大塚喜美江さんは、一茶を静岡市内のお茶屋を代表する「窓口」として機能させたいと語っています。また、一茶ではスタッフを対象に、お茶の淹れ方に関する研修も定期的に行っています。茶葉が変われば、適した淹れ方も変わります。それぞれの茶商が仕上げたお茶を、できるだけ良い状態で消費者へ届けることを大切にしています。

一社の茶問屋が自社の商品を販売するのではなく、地域の茶商が一つの場所に商品を持ち寄り、それぞれのお茶と消費者をつなぐ。しずチカ茶店 一茶は、茶問屋が長年培ってきた仕上げや商品づくりの技術を、業界全体として消費者へ伝える取り組みの一つといえます。

一杯のお茶を仕上げる、もう一人の作り手

一杯の日本茶について考えるとき、どうしても茶畑や茶農家に目が向きやすくなります。もちろん、お茶の原料となる茶葉を育てる茶農家の仕事は、日本茶の出発点です。しかし、茶農家が作った荒茶、つまり仕上げ前の茶葉が、私たちの知っている「商品としてのお茶」になるまでには、さらに多くの仕事があります。

どの茶葉を仕入れるのか。
その茶葉にどの程度火を入れるのか。
どのように選別し、どの部分を生かすのか。
どの茶葉を合組し、どんな味として消費者へ届けるのか。

同じ産地の茶葉を使った煎茶でも、茶問屋が違えば同じ味になるとは限りません。そこには、それぞれの茶問屋の判断があります。

茶問屋は、単に茶葉を流通させる中間業者ではありません。茶農家から受け取った茶葉の特徴を見極め、技術によって仕上げ、一つの商品として消費者へ届ける役割を担っています。

現在では、自ら店舗やブランド、カフェを展開し、消費者との接点を生み出す茶問屋もあります。
茶産地を知る。
茶農家を知る。
そして、そのお茶を仕上げた茶問屋を知る。

そこまで見ていくと、一杯の日本茶が、どれほど多くの技術と判断によって作られているのかが見えてきます。その判断の積み重ねこそが、現在の茶問屋の姿なのかもしれません。

▲左・和田夏樹さん(和田長治商店)。右・渥美慶祐さん(茶屋すずわ)

 

この記事を書いた人 Norikazu Iwamoto
経歴 「静岡茶の情報を世界に届ける」を目的としたお茶メディアOCHATIMES(お茶タイムズ)を運営。2021~25年に静岡県山間100銘茶審査員を務める。静岡県副県知事と面会。お茶タイムズは世界お茶祭りHP、お茶のまち静岡市HP、静岡県立大学茶学総合研究センターHP、農林水産省HPで紹介されています。地元ラジオやメディアに出演経験あり。

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