鈴木茶苑が個性豊かなお茶を作り届ける理由【静岡県・川根茶】

OCHA TIMES
鈴木茶苑が個性豊かなお茶を作り届ける理由【静岡県・川根茶】

静岡県榛原郡川根本町徳山に家族4人で栽培・製造・販売をしている茶農家「鈴木茶苑」があります。多様な飲み物が安価で手に入る今、高価で手間のかかるリーフ茶は売れなくなっていきました。鈴木茶苑はそんな状況を察して、いち早くお茶の魅力を発信していくことが必要だと感じ、SNSやイベントでブースを出店するなどして人々との交流を深めています。

この記事では鈴木茶苑がお茶にもとめるものや、茶農家としての願いについて、鈴木健二さんのインタビューも交えてお伝えしていきます。

鈴木茶苑とは

鈴木茶苑とは川根本町徳山に家族4人で栽培・製造・販売をしている茶農家です。多くの品種茶を作っています。

鈴木茶苑は川根の茶農家として良いお茶を作っていくだけという待ちの姿勢にはなりません。イベントでブースを出店するなど精力的に動き、お茶好きの方々との交流を深めています。

▲イベントで呈茶をする鈴木茶苑 右:鈴木勝彦 左:鈴木健二

鈴木勝彦さんは静岡県中山間100銘茶協議会の先代会長でもあります。勝彦さんは早くから発酵茶の可能性に目を向けていました。今、お茶好きの間で発酵茶系は少しずつ広まってきておりSNSでは鈴木茶苑の発酵茶が数多く紹介されています。勝彦さんの早くからの行動の積み重ねが実を結んできたといえるでしょう。

鈴木茶苑のお茶の紹介

鈴木茶苑は煎茶、釜炒り茶、紅茶を作っており、そのお茶の名前には、それぞれに由来があります。幾つかお茶をご紹介します。

鈴木茶苑は発信の面からも行動を起こしており、単に生葉を提供するというだけはありません。パッケージの外見からもお茶を判別できるように包装の種類を変更しています。

クラフト紙が釜炒り茶、黒いパッケージが紅茶、白いパッケージが煎茶となります。製品の特色と関連付けて自分たちでお茶の名前を考案し、ロゴマークのデザインもして作成しています。

このお茶には被覆茶のイメージから青獅子というネーミングを採用しました。ロゴマークも鈴木茶苑がデザインしています。

以下に、鈴木茶苑のお茶を幾つかご紹介します。

香り釜茶~白八汐(しろやしお) ~

川根本町の花で、5月の終わりに町内の蕎麦粒山に咲く花の名。
<飲み方の目安>一人分の茶の葉3gに熱湯~90度程の湯150ccを注いで90秒程蒸らす。
荒々しい外観ですが、爽やかで上品な渋みと、優しい華やかな香りが特徴。

香り釜茶~赤八汐(あかやしお)~

4月中旬から下旬にかけて大井川流域の深山に咲く花の名。
<飲み方の目安>一人分の茶の葉3gに熱湯~90度程の湯150ccを注いで90秒程蒸らす。
ほのかな華やかさと爽やかな香りを兼ね備えています。

香り釜茶~山翡翠(やませみ)~

川根本町の町の鳥の名。
<飲み方の目安>一人分の茶の葉3gに熱湯~90度程の湯150ccを注いで90秒程蒸らす。
華やかさとほんのりミルクのような香りがする上品な仕上がりのお茶になりました。香りの高さと、爽やかさを味わってみてください。

静岡型発酵茶~青獅子(あおじし)~

この町に居るカモシカの異名。
<飲み方の目安>一人分の茶の葉3gに熱湯~90度程の湯150ccを注いで90秒程蒸らす。
香りと旨みを併せ持った優しい不思議な魅力のお茶です。

和紅茶~火恋し(ひこいし)~

火香が強いものを欲する寒い季節におすすめの、焙じた紅茶。
<飲み方の目安>一人分の茶の葉3gに沸かしたての熱湯150ccを注いで3分程蒸らす。
スモーキーな香りが、焙じることによって更に強調され、強烈な個性を持った和紅茶ができました。濃いめに淹れて、ミルクを入れても美味しい。

上煎茶~光(てかり)~

川根本町にある日本百名山「光岳」(てかりだけ)から付けた名。
<飲み方の目安>一人分の茶の葉2~3gに70~80度程の湯150ccを注いで1分程蒸らす。
初夏の清々しい風を感じる爽やかな渋みとほろ苦さ、軽やかな甘みが調和したお茶です。

上煎茶~大無間(だいむげん)~

川根本町にある日本二百名山の大無間山から付けた名。
<飲み方の目安>一人分の茶の葉2~3gに70~80度程の湯150ccを注いで1分程蒸らす。
一番摘みの若葉の香りと旨みが整った爽やかなお茶です。川根本町にある日本二百名山の大無間山から名前を付けました。日常のお茶にお勧め。

普段使い煎茶~無双連(むそれ)~

徳山を囲むようにそびえる山の名。
<飲み方の目安>一人分の茶の葉2~3gに80度程の湯150ccを注いで1分程蒸らす。
ひと息つく時、食中・食後、どんな時にも気軽に淹れていただけたら。後味が爽やかなお茶です。

鈴木茶苑のホームページには飲み方も紹介していますが、あくまでも目安として考えて欲しいとのこと。お茶は皆さんが自由な方法で飲んでいただきたいそうです。お茶の名前の多くは鈴木健二さんの奥様が考えています。そういった試みも自園自製農家としての楽しみの1つかもしれません。

インタビュー:鈴木健二さんの思う「ここが変だよ茶業界」

鈴木茶苑の鈴木健二さんにお話を伺いました。

–鈴木茶苑がお茶作りで大切にしていることを教えて下さい。

私は多様な価値観を提供することが現在の茶農家の使命だと思っています。お茶を作る人はそれぞれ個性があります。農家ごとに特色を持って、飲む人にそれぞれのお茶を提供出来るようになって欲しいですね。

–昨今の茶業界でおかしいと思う事があれば教えてください

素晴らしい茶商さんが沢山居ると思います。しかし一方で、お客さんの目線ではなく業界内の基準のみで、お茶を見てしまっている茶商さんも少なくないのかもしれないと思っています。

私はお茶に関しては味と香りを求めている。しかし、最近のお茶に関しては水色の話ばかりが取り上げられる。一体誰の方を向いているのだろう、と疑問に思います。

過剰な水色と形状の追求。茶本来の香りや味の軽視。これらは確実にお茶の魅力を削いでしまったと思います。皆さん、お茶が売れなくなったと言いますが、買う側を見ていないのでは無理もないと思ってしまうのです。

–急須で淹れるお茶と比べてペットボトルのお茶は売れていると聞きますが。

急須のお茶が売れないとして、その理由は1点ではなく複合的な要因によるものだと思います。昔と違って今は飲み物でも選択肢が多いので、それは致し方ない。ペットボトル飲料を悪く言う方もいますが、私は逆に励みになると考えています。

まだお茶を選んでくれる人が沢山いるのだから。

各飲料メーカーからペットボトル茶が出ているのは、まだまだお茶が愛されている、または大きなメーカーさんもお茶に可能性を感じている証拠。今これだけモノが乱立されている中で依然としてお茶が求められるのは心強い。急須が無い以上ペットボトルすらなければお茶を知らないままでいる人もいるでしょう。

ペットボトルのお茶は敵ではありません。

ペットボトルのお茶を飲んだその中から、一割が急須に来てくれる事があれば、と。そこからどれだけお茶を広めていけるかというのがカギになると思います。そういった魅力を持つお茶を提供するのが我々の責務なのではないでしょうか。

–私と鈴木さんは以前にも一度会っていますよね。あの時は私が趣味でお茶屋を巡るブログをやっていました。まだお茶タイムズもありませんでした。

茶農家はあまり繋がりがないのが実情なのです。それがもし横の繋がりがあれば面白いことになりそうだな、と。そういったアイデアは私達も持っていました。しかし、実際に実行に移す人がいるとは思いませんでした。ですからあのブログを見た時、貴方に会ってみたいと思いました。

–今の私は一介の会社員でしかありません。私の知る「会社員にとっての良い仕事」というのは「上司に可愛がられること」を意味するのです。「明日は今日よりも少しでも良くなろう」ということではありません。どんなに努力しても結局、会社員は社内政治からは逃れられないのです。そんな私にとって貴方達の生き方はとても眩しく見え、応援したくなります。そしてお茶には間違いなく可能性があります。今はまだ可能性が燻っているように見えるのです。

社内政治というのはよく分かります。私も前の職場ではそうでしたから。

お茶が大量生産されるようになってから、明らかに嗜好品としては硬直している。私達もバイトしながらでなければ茶業は出来ないのが現状です。しかし、逆に言えば私はこれからのお茶に対して期待しかありません(笑)。

~鈴木茶苑の情報・購入方法~

住所

〒428-0301 静岡県榛原郡川根本町徳山982

ホームページ http://suzukichaen.com/

(↑HPでは商品詳細が確認できます)

https://kawanecha.thebase.in/

(お茶の購入は↑こちらから)

(直接茶農家で購入も出来ますが

4~5月は忙しい時期なので直接訪問は避けましょう)

電話番号 0547-57-2612
電子マネー・カード決済 ネットショップのみあり。

現地購入の場合は現金のみ。

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