静岡茶屋巡り~鈴木茶苑~

OCHA TIMES
静岡茶屋巡り~鈴木茶苑~

茶処の静岡川根で家族で栽培・製造・販売をしている農家「鈴木茶苑」

鈴木茶苑、鈴木健二さんにお話を聞かせて頂きました。


鈴木健二「川根の茶農家は待ちの姿勢なのです。良いモノを作っていればいいと考えている風潮がある。しかし鈴木茶苑では発信の必要性を感じ、単純に生葉を提供するということではなく、製品の特色と関連付けて自分たちで名前を考えたり、ロゴマークのデザイン作りなど、発信の面からも行動を起こすようにしています。」

鈴木健二「例えばこれは被覆茶のイメージから青獅子というネーミングを採用しました。このトレードマークも自分達でデザインしました。鈴木茶苑は多くの品種の茶を作っており、パッケージの外見から判別できるように包装の種類を分けています。

クラフト紙が釜炒り茶
黒いパッケージが紅茶
白いパッケージが煎茶、というようにです。」

鈴木健二「お茶の名前も、それぞれに由来があります。

香り釜茶~白八汐(しろやしお) ~
川根本町の花で、5月の終わりに町内の蕎麦粒山に咲く花の名。

香り釜茶~赤八汐(あかやしお)~
4月中旬から下旬にかけて大井川流域の深山に咲く花の名。

香り釜茶~赤翡翠(あかしょうびん)~
ほうじ香り釜茶、焙じた日のイメージを赤い夏鳥に重ねた。

香り釜茶~山翡翠(やませみ)~
川根本町の町の鳥の名。

静岡型発酵茶~青獅子 (あおじし)~
この町に居るカモシカの異名。

和紅茶~火恋し(ひこいし)~
火香が強いものを欲する寒い季節におすすめの、焙じた紅茶。

上煎茶~光(てかり)~
川根本町にある日本百名山「光岳」(てかりだけ)から付けた名。

上煎茶~大無間(だいむげん)~
川根本町にある日本二百名山の大無間山から付けた名。

普段使い煎茶~無双連(むそれ)~
徳山を囲むようにそびえる山。

三年寝太郎(さんねんねたろう)~熟成番茶~
釜炒りの番茶を製造して三年間寝かせて熟成させた、三年番茶なので三年寝太郎。

徳山郷煎茶(在来種)~かぐら~
毎年10月の第二日曜日に徳山神社で奉納される静岡県指定の無形民俗文化財「徳山神楽」と在来品種の煎茶を昔から、という共通点で繋げて、このお茶は「かぐら」と名付けました。

名前は妻が多くを考えています。そう言った事も自園農家としての楽しみの一つだと思っています。」

鈴木茶苑鈴木健二さんが見る静岡茶業界の現状

鈴木健二「素晴らしい茶商さんが沢山居ると思います。一方でお客さんの目線ではなく、業界内の基準のみでお茶を見てしまっている茶商さんも少なくないのかもしれません。過剰な水色と形状の追求と、茶本来の香りや味の軽視は確実にお茶の魅力を削いでしまったと思います。売れなくなったと言いますが、買う側を見ていないので無理もないと思ってしまうのです。」

鈴木健二「お茶が売れないという理由は、一点ではない、複合的な要因がある。昔と違って今は飲み物でも選択肢が多いのでそれは致し方ない。ペットボトル飲料を悪く言う方もいますが、私は逆に励みになると考えています。まだお茶を選んでくれる人が沢山いるのだから。」

鈴木健二「各飲料メーカーからペットボトル茶が出ているのはまだまだお茶が愛されている、または大きなメーカーさんも茶に可能性を感じている証拠。今これだけモノが乱立されている中で依然としてお茶が求められるのは心強い。急須が無い以上ペットボトルすらなければお茶を知らないまま終わる人もいる。ペットボトルのお茶は敵ではありません。ペットボトルのお茶を飲んだその中から一割が急須に来てくれる事があれば、そこからどれだけ広めていけるかというのもカギになると思います。そういった魅力を持つお茶を提供するのが我々の責務だと思っています。」

いち早く発信の必要性を感じ動き出した父鈴木勝彦さんは静岡県中山間100銘茶協議会の先代会長でもある。

鈴木健二「父は早くから出店を頑張ってお茶好きの方と交流を深めていました。今発酵茶系は広まってきましたが、割と早くから目を向けていました。そういう点が結果に出てきたと思います。」

鈴木健二「多様的な価値観を提供できるかが、現在の茶農家の使命だと思っています。お茶を作る人は、それぞれ個性がありますよね。農家ごとに特色を持って飲む人にそれぞれのお茶を提供出来るようになって欲しいと願っています。私はお茶に関しては味と香りを求めている。しかし最近のお茶に関しては水色の話ばかりが取り上げられるのは疑問に思います。果たして一体誰の方を向いているのか、と。そういった方向性の違いが私が共同工場を辞めて実家に就農した理由としてあります。」

―「私と鈴木さんは前にも一度SNSを通じて実際に会っていますよね。あの時は私が趣味でブログをやっていたころで、まだお茶タイムズもありませんでした。」

鈴木健二「あのブログを見て編集長に会ってみたいと思った。茶農家はあまり繋がりがないのが実情です。それがもし横の繋がりがあれば面白いことになりそうだと。そういったアイデアは私達も持っていました。ただ、実際にあれほど実行に移す人がいるとは思いませんでした。」

—「今の私は一介の会社員でしかありません。私の知る「会社員にとっての良い仕事」というのは「上司に可愛がられること」を意味するのです。「明日は今日よりも少しでも良くなろう」ということではありません。どんなに努力しても結局、会社員は社内政治からは逃れられない。そんな私にとって貴方達の生き方はとても眩しく見え、応援したくなります。そしてお茶には間違いなく可能性がある。今はまだ可能性が燻っているように見えるのです。」

鈴木健二「社内政治というのはよく分かります。私も前の職場ではそうでしたから。お茶が大量生産されるようになってから、明らかに嗜好品としては硬直している。私達も現在はバイトしながらでなければ茶業は出来ないのが現状です。しかし、逆に言えば私はこれからのお茶に対して期待しかありません。(笑)」

編集長が東京に行った際に出会ったお茶好きの中には鈴木茶苑の名前を挙げる人が本当に多かったです。検索してみるとSNSにも多く名前が挙がっています。本当に良いと思うお茶を作り続ける鈴木茶苑。その味のファンは多い。

以上、編集長による鈴木茶苑のレポートでした。

お店の情報~鈴木茶苑~

住所

〒428-0301 静岡県榛原郡川根本町徳山982

ホームページ http://suzukichaen.com/
電話番号 0547-57-2612
電子マネー・カード決済
営業時間 問い合わせ
定休日 問い合わせ
駐車場 あり(少数台)
アクセス 鉄道の場合
東海道線「金谷駅」乗り換え大井川鐵道「駿河徳山駅」(所要時間約1時間)で下車し徒歩20分自動車の場合
東名高速:相良牧之原I.Cから約1時間20分
国道1号:島田市から約1時間

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