玉露の里で日本庭園を愛でながら玉露と抹茶を味わう【静岡県・朝比奈玉露・抹茶】

新東名高速・藤枝岡部ICから車で約10分の距離にある静岡県岡部町・朝比奈地域は、京都・宇治、福岡・八女と並ぶ高品質な玉露と抹茶の産地です。そんな朝比奈地域にある道の駅「玉露の里」では、茶畑と山々が織り成す美しい景観を眺めながら、玉露や抹茶を気軽に楽しむことができます。観光バスの停車場も備えており、連休には多くの観光客で賑わう人気のスポットです。
この記事では、風光明媚な環境の中で本格的な朝比奈玉露や抹茶を楽しめる「玉露の里」の魅力をたっぷりとご紹介します。
目次
玉露の里とは
玉露の里は、朝比奈地域の名産である高級茶「玉露」とともに、自然・文化・伝統・歴史を広めることを理念として、1991年10月にオープンした国土交通省指定の道の駅です。
日本国内で主な玉露の産地として知られるのは、京都・宇治、福岡・八女、そして静岡・朝比奈の3か所です。その希少な玉露の産地である朝比奈地域に位置する玉露の里には、本場の玉露を味わいたいと、県外のみならず海外からも多くの観光客が訪れています。
玉露の里は、朝比奈川を挟んで東西2つのエリアに分かれています。東側エリアには、地元産の特産品を購入できる「物産店」、新鮮なお茶や地元の食材を使った料理を楽しめる「茶の華亭」、そして朝比奈の伝統行事「龍勢」と多種多様な昆虫を紹介する「朝比奈 龍勢・昆虫館」があります。
西側エリアには、茶器や茶葉を取り扱う物産店のほか、美しい日本庭園の中に設えられた茶室「瓢月亭(ひょうげつてい)」があり、風情ある空間で玉露を堪能することができます。
玉露とは
玉露とは、まるでお出汁のような芳醇な旨味と香りが楽しめる高級茶です。
玉露を栽培する茶畑では、摘採前に「被覆(ひふく)」と呼ばれる工程を行い、一定期間茶葉に覆いをかけて日光を遮ります。
茶葉は日光を浴びることで、苦みのもととなるタンニンが増加します。しかし、被覆によって日光を遮ることでタンニンの増加を抑えつつ、旨味成分のもとであるテアニンを豊富に含んだ茶葉へと育てることができます。
こうして丁寧に栽培された茶葉が、芳醇な旨味を持つ高級茶「玉露」へと仕上げられるのです。(玉露の詳しい情報については薮崎園の記事を参照してください)
朝比奈地域のお土産物産館
朝比奈地域のおみやげ物産館では、茶葉や茶器、茶蕎麦、玉露羊羹など、朝比奈産の玉露や抹茶を使ったさまざまな商品を取り揃えています。さらに、地元産の新鮮な食材や地酒も購入できます。
中でもおすすめなのが、玉露ソフトクリーム。芳醇な玉露の香りがしっかりと感じられ、濃厚で贅沢な味わいを楽しめます。また、カップの底までぎっしり詰まっているので、最後のひと口まで大満足!
朝比奈ならではの逸品を、ぜひご堪能ください。
▲カップの底までみっちりとソフトクリームが詰まっていて食べ応えがあります。
お茶の料理が味わえる茶の華亭
玉露の里に佇む茶の華亭では、茶蕎麦や地元の食材をふんだんに使用した和食、そして甘味を楽しむことができます。今回は、こだわりのメニューを少しだけご紹介します。
天ざる蕎麦
海老、イカ、シイタケ、そして香ばしいお茶の葉の天ぷらが添えられた茶蕎麦のセット。サクサクの衣に包まれたお茶の葉の天ぷらは、まるでお菓子のような軽やかな食感。お茶が練り込まれた茶蕎麦は、玉露の里ならではの深い味わいです。
天ぷら蕎麦
地元食材を使った天ぷらの美味しさはもちろん、風味豊かな出汁が絡む茶蕎麦は、つい箸が止まらなくなる逸品。温かいお蕎麦と冷たいお蕎麦のどちらも選べるので、季節や気分に合わせて楽しめます。
玉露のアフォガード
さっぱりとしたお茶のソフトクリームに、濃厚な玉露ソースをかけていただく贅沢なデザート。本場の玉露の生産地だからこそ味わえる、特別な一品です。
玉露のしるこ
上品な甘さのおしるこは、一口食べると玉露の香りがふわっと広がります。口の中に残る優しい甘みと、お茶の相性は抜群です。
茶の華亭では、ここでしか味わえない特別なお茶料理をご用意しています。玉露の里ならではの味わいを、ぜひ一度ご堪能ください。
朝比奈 龍勢・昆虫館
玉露の里の東側最奥には、ログハウスのような佇まいの「朝比奈 龍勢・昆虫館」があります。館内は「龍勢ゾーン」と「昆虫ゾーン」に分かれており、それぞれ異なる魅力を楽しむことができます
「龍勢ゾーン」では、朝比奈の伝統行事で打ち上げられるロケット花火「龍勢」に関する展示が行われています。「龍勢」は、2年に1度、10月に岡部町朝比奈地区で開催される伝統行事で打ち上げられる花火です。白煙を上げながら急上昇する姿が、まるで龍が昇天するように見えることから、この名が付けられました。館内では、動画を交えた解説を通じて、その歴史や仕組みを学ぶことができます。
一方、「昆虫ゾーン」では、カマキリやカブトムシ、クワガタをはじめ、世界各地の蝶など、多種多様な昆虫が展示されています。普段目にすることのない珍しい昆虫にも出会えるかもしれません。未知の生態について、新たな発見があることでしょう。
日本庭園
道の駅から朝比奈川を渡り西側へ進むと、まるで京都の寺院を思わせるような美しい日本庭園が広がっています。
▲玉露の里周辺の朝比奈川は、澄んだ浅瀬が特徴で、夏には子どもたちが水遊びを楽しむ姿が見られ、賑わいを見せます。
庭園内にはさまざまな品種の茶の樹が植えられており、風情ある景観を楽しみながら、朝比奈の豊かな茶文化に触れることができます。
茶室~瓢月亭(ひょうげつてい)~
風情溢れる美しい日本庭園を歩いていくと、瓢箪池(ひょうたんいけ)の中に浮かぶように設えられた茶室「瓢月亭」が見えてきます。
「瓢月亭」とは、美しい日本庭園を愛でながら高級茶玉露や抹茶を味わうことのできる数寄屋造りの茶室です。利用には別途チケットが必要で、あらかじめ西側の物産店でチケットを購入してから「瓢月亭」に入る形になります。
中に入ると、和服を着た女性が迎えてくれますので、案内に従って室内へと進んでいきます。
建物内を歩いていると、瓢箪(ひょうたん)や月をモチーフにした置物や印に気づくでしょう。これらは「瓢月亭」が月と瓢箪をテーマにデザインされた茶室であることを示しています。よく探すと、建物内のいたるところに月と瓢箪が隠れたように配置されています。
扉の取手に細かい瓢箪や月が隠れている様子は、まるでディズニーランドに仕掛けられた隠れミッキーマークのようで、探す楽しみがあります。
瓢月亭でのお茶体験
瓢月亭では、「紅月の間」、「朧月の間」、「昇月の間」といった広間から、腰掛け席まで様々な座席があります。茶の作法を知らない方や、正座が苦手な方でも気軽にお茶を楽しむことができます。
奥には、本格的な茶室「瓢庵」があり、3畳台目に水屋がついています。この茶室の入口は「にじり口」と呼ばれ、とても狭く、頭を下げて身をかがめなければ通れません。これは「茶室に入る以上、どのような身分の者でも平等に振る舞うべき」という意味を持っています。この「にじり口」を取り入れたのは、戦国時代の有名な茶人、千利休だそうです。
都心を離れ、里山に囲まれた美しい日本庭園を愛でながら、芳醇な香りの玉露や抹茶を創作和菓子とともに味わう贅沢なひとときは、心身をリフレッシュさせてくれます。こうした茶室文化は、静岡市内の紅葉山庭園でも体験できます。玉露の里を気に入った方は、紅葉山庭園も訪れてみると良いでしょう。
玉露の里は交通アクセスが整備されており、バスの停車場も完備されています。平日は静かな雰囲気に浸りながら、連休には多くの観光客で賑わっています。静岡の高級茶産地の観光スポットとして、ぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。
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玉露の里の情報・購入方法
住所 | 〒421-1115藤枝市岡部町新舟1214-3 |
ホームページ | http://shizutetsu-retailing.com/gyokuronosato/ |
電話番号 | 054-668-0019 |
電子マネー・カード決済 | 対応 |
営業時間 |
茶室・瓢月亭/9:30~17:00(入館受付は16:30まで)※冬期営業時間変更あり 茶の華亭・物産館/9:00~17:00 ※冬期営業時間変更あり 茶の華亭・食事処/11:00~15:00(ラストオーダー14:30) |
定休日 | 年末年始(12月28日~1月2日) |
駐車場 | あり(10台以上) |
アクセス | 新東名藤枝岡部ICから車で約10分
東名焼津ICから車で約20分 JR静岡駅からしずてつジャストラインバス中部国道線「藤枝市岡部支所前」下車後 |
この記事を書いた人 | Norikazu Iwamoto |
経歴 | 「静岡茶の情報を世界に届ける」を目的としたお茶メディアOCHATIMES(お茶タイムズ)を運営。2021~24年に静岡県山間100銘茶審査員を務める。静岡県副県知事と面会。お茶タイムズが世界お茶祭りHP、お茶のまち静岡市HP、静岡県立大学茶学総合研究センターHP、農林水産省HPで紹介される。地元ラジオやメディアに出演経験あり。 |
英訳担当 | Calfo Joshua |
経歴 | イギリス生まれ育ち、2016年から日本へ移住。静岡県にてアーボリカルチャーを勉強しながら林業や造園を務めています。カルフォフォレストリーを運営。日本の自然を楽しみながら仕事することが毎日の恵み。自然に重点を置く日本の文化に印象を受けて大事にしたいと思ってます。 |