築170年の古民家カフェで味わう、本山茶と手作り甘味。自然と茶畑に包まれて。【静岡県・本山茶】

OCHATIMES編集部
築170年の古民家カフェで味わう、本山茶と手作り甘味。自然と茶畑に包まれて。【静岡県・本山茶】

静岡駅から車で約40分の距離に位置する安倍川・藁科川流域で生産されるお茶は、「静岡本山茶」として知られています。その特徴は、山吹色の水色、上品で繊細な口当たり、そして爽やかな香りです。今回取材させていただいたのは、藁科川の支流である水見色川沿いで本山茶を栽培している茶農家「かつやま製茶」。この農家では、茶栽培から製茶までを一貫して手掛けており、築170年以上の古民家を改築して作り上げた「古民家カフェかつやま」は、水見色の豊かな自然に囲まれながら本山茶を楽しむことができる、癒しのスポットとして親しまれています。

この記事では、「古民家カフェかつやま」のカフェメニューや水見色でのお茶作りについて、かつやま製茶代表の勝山壽夫(かつやまひさお)さんへのインタビューを交えてお伝えします。

古民家カフェかつやまとは

「古民家カフェ かつやま」とは、静岡県水見色にある古民家カフェです。運営しているのは、茶栽培から製茶まで一貫して行っている本山茶農家「かつやま製茶」です。

入口右側にある受付・販売店では、お茶の購入やカフェメニューの注文を受け付けています。店内の棚には、かつやま製茶の希少な手摘み茶やティーバッグ、紅茶など、さまざまな種類のお茶が並んでいます。


カフェに足を踏み入れると、今では見ることが少なくなった古民家ならではの木造の茶の間が広がっています。珍しい天井作りが特徴的な2階の休憩部屋は、まるで田舎に帰ってきたかのような懐かしい気持ちにさせてくれます。

暑い夏には、高山地ならではの冷たく澄んだ風が心地よい避暑地となり、寒い冬には、落ち着いた和室でストーブや火鉢にあたって暖を取ることができます。


大部屋から小部屋まで、各部屋は襖で仕切られており、プライバシーも保たれるため、カップルでの利用にもおすすめです。

ペット好きな方には嬉しいドックランが併設

古民家カフェ「かつやま」では、近隣の耕作放棄地を活用して、ドッグランを併設しました。ドッグランは、整地から資材調達まで全て勝山さんたちの手作りで実現しています。無料で開放しており、ペット好きな方には嬉しいサービスとなっています。


古民家カフェかつやまのお茶・カフェメニューの紹介

「古民家カフェかつやま」では、30年以上にわたり自園自製のお茶作りを行ってきた「かつやま製茶」の本山茶をカフェメニューとして提供しています。

季節ごとの旬の食材を使用したカフェメニューは、時期によって内容が変わることがあります。注文後、イートインスペースである古民家カフェでゆっくりお待ちいただけます。注文したメニューが運ばれてきます。

それでは、カフェメニューの一部をご紹介します。

「極上やぶきた」とぼたもち

芳醇な旨味と爽やかな香りが特徴の山吹色のお茶、「極上やぶきた」。手作りのぼたもち(きな粉とつぶあん)がとてもよく合います。


急須で自分で淹れる「極上やぶきた」は、三煎目までは通常の飲み方で楽しみ、四煎目は添え付けの玄米を加えて玄米茶として楽しむことができます。お茶の淹れ方は、事前に店員が丁寧に説明してくれるので、お茶に詳しくなくても気軽に注文できます。

「大井早生」と干し柿とマーマレード

特徴ある爽やかな香味は大井早生(おおいわせ)ならでは。干し柿とマーマレードの甘酸っぱい味との相性も良い。


山の紅茶(アイス)と干し柿とマーマレード

暑い季節には、キンキンに冷やした「かつやま製茶」の紅茶がぴったり。干し柿や果物の甘酸っぱさが紅茶にとてもよく合います。


深蒸し茶(アイス)と紅茶ゼリーの甘酒シロップかけ

水出しした深蒸し茶は、夏にぴったり。紅茶ゼリーは濃い目に抽出した「かつやま製茶」の紅茶を使用しており、すっきりとした甘味とつるりとした口当たりが人気です。


水見色産の食材を活かしたランチメニュー(要事前予約)

「古民家カフェかつやま」では、「天然酵母パンセット」や「おにぎりセット」など、水見色産の食材を活かしたランチメニューも提供しています。ランチは事前予約が必要です。


インタビュー:本山茶と手作り甘味で心をほどく、築170年の古民家カフェかつやま

かつやま製茶代表の勝山壽夫(ひさお)さんにお話を伺いました。


築170年の古民家で味わう、本山茶と手作りの幸せ

–「古民家カフェかつやま」について教えてください。

「古民家カフェかつやま」は、私が築170年の古民家を改築して作り上げた日本茶カフェです。古民家ならではの趣のある雰囲気と、水見色の豊かな自然に囲まれながら、私たち「かつやま製茶」が丹精込めて仕上げた本山茶をお楽しみいただけます。


▲古民家を再生し、カフェとして蘇らせた勝山さんの手腕は高く評価されています。

–お茶だけでなく、おはぎや干し柿などもとても美味しかったです。こうしたメニューはどのようにして作られているのですか?

「古民家カフェかつやま」で提供しているメニューは、基本的に全て私たちの手作りです。おはぎや干し柿、ヨーグルト、生姜など、全て自家製です。食材も水見色産のものを使用しています。たまに、他所の地方の農家さんから分けていただいた農産物を使うこともありますけどね(笑)。


急斜面で育む、本物の味。30年続く「かつやま製茶」の現場

かつやま製茶では、どのようにしてお茶作りをされているのですか?

かつやま製茶では栽培から製茶まで全て一貫して行っています。私は20歳のころからお茶作りを始めていますので、もう30年以上お茶を作り続けていることになります。同級生には森内茶農園の森内吉男さんがいますよ。


▲かつやま製茶では緑茶だけでなく和紅茶も作っています。

私達の茶園は山間の傾斜地にあり基本的にどこも急斜面です。傾斜の農地で自然相手に仕事をするのは本当に大変です。冬の時期になると山間は特に冷え込みます。

もし茶園に霜が降りたりしたら、お茶の芽が潰れて収穫出来なくなってしまいます。そうならないように、防霜ファン(ぼうそうファン)と呼ばれるプロペラを回して茶畑に温かい空気を送りこんでいます。そうして茶畑に霜がおりるのを防ぐようにしているのです。

–なるほど、よく目にする茶園の中のプロペラはそういった役割があるのですね。

▲霜を防ぐために茶園に設置されている防霜ファン

水見色の自然とともに。土地の水で味わう本当のお茶時間

ありがたいことに、ここに来られた皆さんは、口を揃えて「ここで飲むお茶は美味しい」と言ってくださいます。

–それは私も同感です。水見色の自然に囲まれて飲むお茶は本当に美味しいですね。

古民家カフェ かつやま

もしかすると、お茶を淹れる際に使う水も関係しているのかもしれませんね。私は、もし本当に美味しいお茶を味わいたいのであれば、そのお茶が育まれた地域の水で淹れることをおすすめしています。その土地のお水でこそ、お茶本来の美味しさが一番引き立つと思いますよ。

–そうした点は日本酒にも似ていますね。日本酒も、酒を造った場所の水を「和らぎ水」として、チェイサー代わりに飲むことが勧められているんです。

不思議なことですね(笑)

現代の日本の生活スタイルでは難しいかもしれませんが、私は、休むときは時間をかけてしっかりと休むことが大切だと思っています。中国では、お茶を淹れて、きちんと休む時間をとることが文化として認められているんですよ(笑)

古民家カフェかつやま

私たちの経営理念は「決して自己満足に陥らないこと」です。お客様に楽しんでいただけているか、常に細心の注意を払いながら観察し、確認するよう心がけています。

せっかく水見色までいらしたお客様には、和室、縁側、庭、どこでも好きな場所を選んで、自由に寛いでいただきたいですね。

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古民家カフェかつやまの情報・購入方法

住所 〒421-1313 静岡県静岡市葵区水見色1290
ホームページ https://mizumiiro.p-kit.com/
電話番号 054-279-0024
電子マネー・カード決済 カード対応済み
営業時間 かつやま製茶 9:00 ~ 17:00
(火~日曜日)古民家カフェ 10:00 ~ 16:00
(土・日)
定休日 不定休
駐車場 あり
アクセス  JR静岡駅からは、市内を流れる安倍川に架かる安西橋を渡り、国道362
号線を藁科川沿いに北西方向へ約10㎞、その間、トンネルを2つ通り抜け
数百メートル、2つ目の信号を右折。 (JA中藁支店前の信号)
水見色川沿いに上ること4㎞。水見色小学校を目指してください。
小学校を通り過ぎ、直進500mほどで十字路があります。
バスの終点、水見色です。この十字路を左折、180m上る。

 

この記事を書いた人 Norikazu Iwamoto
経歴 「静岡茶の情報を世界に届ける」を目的としたお茶メディアOCHATIMES(お茶タイムズ)を運営。2021~24年に静岡県山間100銘茶審査員を務める。静岡県副県知事と面会。お茶タイムズは世界お茶祭りHP、お茶のまち静岡市HP、静岡県立大学茶学総合研究センターHP、農林水産省HPで紹介されています。地元ラジオやメディアに出演経験あり。

 

英訳担当 Calfo Joshua
経歴 イギリス生まれ育ち、2016年から日本へ移住。静岡県にてアーボリカルチャーを勉強しながら林業や造園を務めています。カルフォフォレストリーを運営。日本の自然を楽しみながら仕事することが毎日の恵み。自然に重点を置く日本の文化に印象を受けて大事にしたいと思ってます。

 

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