お抹茶こんどうの食堂で堪能する静岡らしいひととき【静岡県・静岡市】

OCHATIMES編集部
お抹茶こんどうの食堂で堪能する静岡らしいひととき【静岡県・静岡市】

静岡駅から徒歩約15分。静岡市役所の目の前、青葉シンボルロード沿いに佇む和食料理店「お抹茶こんどうの食堂」。ここでは、心温まる和食と日本酒のペアリングに加え、茶釜や石臼を使って丁寧に淹れる、本格的な静岡茶や抹茶も堪能できます。和食料理店でありながら、静岡ならではの日本茶文化を五感で味わえる場所として、地元はもちろん、県外からも多くの人々が足を運ぶ注目の一軒です。

本記事では、「お抹茶こんどうの食堂」の魅力あふれるメニューや、“静岡らしさ”を大切にした店づくりについて、店主・近藤雄介さんへのインタビューを交えてご紹介します。

お抹茶こんどうの食堂とは

静岡市・青葉シンボルロード沿いにある、静岡茶とお酒、そして本格和食を楽しめる料理店です。店主の近藤雄介さんは、日本茶インストラクターの資格を持ち、確かな知識と情熱でお茶の魅力を伝えています。

もともとは、静岡市駿河区津島町で「お抹茶こんどう」として営業していた同店。2019年6月28日に現在の葵区・青葉シンボルロード沿いに移転し、「お抹茶こんどうの食堂」として新たなスタートを切りました。

カウンターに設置された茶釜と石臼が象徴するように、店名にも表れている通り、お茶への深いこだわりと愛情が随所に感じられます。

店内は、カウンター7席に加え、奥には可動式テーブル席が5卓。グループでの利用にも対応しており、10名〜12名の宴会にも対応可能です。


お抹茶こんどうの食堂のメニュー紹介

「お抹茶こんどうの食堂」では、静岡茶とお酒、そして和食を一緒に楽しめる多彩なメニューがそろっています。定食、単品、コース料理など、提供スタイルもさまざま。ここでは、そんな魅力あふれる人気メニューの一部をご紹介します。

温かいお茶~飲み物~

提供されるお茶はすべて、店主・近藤さんが「心に響いた」と感じた静岡茶ばかり。浅蒸し茶、深蒸し茶、和紅茶、釜炒り茶、烏龍茶、ほうじ茶からお好きな一杯を選べます。

一煎目、二煎目と、時間とともに変化する味わいは、まさに静岡茶の奥深さそのもの。季節によってラインナップが変わるため、訪れるたびに新しいお茶との出会いが楽しめます。

お抹茶ショット~飲み物~

「挽きたての抹茶をそのまま味わってほしい」との想いから生まれた、お抹茶ショット。ビールの上に抹茶を注げば、三層に分かれたグラデーションが現れ、その美しさに思わず飲むのが惜しくなるほど。

ひと口含むと、抹茶の豊かな香りと風味が広がり、後からビールのほろ苦さが追いかけてきます。抹茶好きにも、お酒好きにも満足いただけるであろう1杯です。

日本茶インストラクター大将おすすめの静岡茶割り~飲み物~

丁寧に急須で淹れた静岡茶と焼酎を別々に提供するスタイル。まずはお茶だけ、次に焼酎だけ、最後に茶割りとして楽しむ。1杯で3度美味しい、大人の嗜みです。

店内には、焼酎や日本酒など、その他のお酒も充実しています。

鶏モモの網焼き柚子胡椒~選べる主菜~

鶏モモ肉を網焼きすることで、余分な脂や臭みが落ち、香ばしさと弾力ある食感が際立ちます。ピリッと効いた柚子胡椒が絶妙なアクセント

和風ハンバーグ~選べる主菜~

合い挽き肉に豆腐を加えてふんわり仕上げた和風ハンバーグ。特製オニオンソースで味付けされ、ご飯や郷土料理のとろろ汁との相性も抜群です。

本山自然薯とろろ汁~一品料理~

店主・近藤さんの祖父が丸子地区出身という縁もあり、郷土料理のとろろ汁には地元愛とこだわりが詰まっています。粘り気の強い白い自然薯を、あえて形を残すようにすりおろしており、シャキシャキとした歯ごたえが楽しめます。ご飯にかけて味わえば、さらに美味しさが広がります。

一汁三菜~定食~

十数種類の主菜から1品、小鉢2種、漬物、味噌汁、ご飯が付いた定食スタイル。栄養バランスが取れた、満足感のある内容です。

蒟蒻田楽~おばんざい~

アツアツでもちもちの蒟蒻に、「お抹茶こんどうの食堂」特製ブレンド味噌をかけていただきます。ベースに使用しているお味噌は大正9年創業の末永園のもの。末永園は今では麹専門店となっていますが、もとは製茶と麹では知る人ぞ知る名店です。

末永園との付き合いは、近藤さんが製茶やお味噌の事を学びたい、と単身飛び込みで末永園を訪ねていったことから始まりました。その時からの縁が今も続いており、店頭では特製ブレンドのお味噌が販売されています。

その他、季節に応じて様々なメニューが日替わりで提供されています。

お抹茶ソフト~デザート~

近藤さん独自の比率で、静岡本山抹茶と福岡八女抹茶をブレンドした特製抹茶がたっぷりと使われたソフトクリームです。贅沢な仕上げとして、自家製のお抹茶ソースと石臼で挽き立てた抹茶がトッピングされ、濃厚で香り高い抹茶の風味が楽しめます。(※デザートのみの店内飲食はご遠慮いただいているそうです)

オーダー毎に目の前で焙じるほうじ茶

ほうじ茶は、近藤さんが焙烙(ほうろく)を使い、オーダーごとに店内で焙煎。目の前で茶葉の色や香りを見極めながら焙煎する姿に、思わず見入ってしまうお客様も多数。

香ばしい香りが店内に立ち込めると、「飲んでみたい!」と、店全体がわくわくした空気に包まれます。

煎茶の旨味もわずかに感じられる、贅沢な味わいのほうじ茶。店主である近藤さん自らが手掛ける為に、お店の混雑具合ではできないこともあるそうです。

▲焙煎は「浅炒り」「深煎り」から選ぶことができます。。

インタビュー:「お抹茶こんどうの食堂」で静岡らしさを堪能してほしい

お抹茶こんどうの食堂の店主、近藤雄介さんにお話を伺いました。


–お抹茶こんどうの食堂について教えてください。

「お抹茶こんどうの食堂」は、静岡茶や炉端焼き、とろろ汁、定食を中心に、お酒も楽しめる和食料理店です。素朴でほっとする料理を、単品やコースでじっくり味わうこともできますし、軽く一杯の“はしご酒”としても気軽にご利用いただけます。

静岡には、カフェ感覚でお茶を楽しめるイートインのお茶屋さんは多くありますが、「料理とお茶の両方を楽しめるお店」となると、なかなか見つかりません。そんな中で、静岡らしさを存分に感じられる、素朴で温かな空間をつくりたいと思い、このお店を始めました。

–カウンターに置かれた茶釜と石臼がとても印象的ですね。

やはり、静岡らしさを表現するうえで“お茶”は欠かせない存在です。だからこそ、茶釜は絶対に置きたかったし、挽きたての抹茶を提供するために、石臼も導入しました。

メニューはお茶を中心に展開しようと決めていたので、店名も思い切って「お抹茶こんどうの食堂」にしました。少し強気なネーミングかもしれませんが、それくらいお茶には力を入れています(笑)。

元フレンチシェフが「お茶の道」へ──異色の経歴を持つ店主・近藤さんの歩み

–「お抹茶こんどうの食堂」を開く前は、お茶屋さんをされていたのでしょうか?

いえ、私はもともとフレンチ専門の料理人で、お茶とは特別なつながりがあったわけではありません。実は、お茶の勉強を始めたのも、この店をオープンしてからなんです。

ホテルのレストランで9年ほどシェフとして勤めた後、日本酒やワインバルなど18店舗ほどの飲食店の立ち上げや運営にも関わりました。その過程で、日本酒やワインの知識も身につけましたし、ハンドドリップのコーヒー店も経営していたので、エスプレッソやデザインカプチーノの技術指導も行っていたことがあります。

–さまざまな嗜好品を扱ったご経験が、お茶に通じているのですね。日本茶インストラクターの資格もお持ちだとか。

そうですね。料理人として、生産者を訪ねて学ぶことには慣れていましたし、お茶も他の作物と共通する部分が多かったので、学びやすかったと思います。

いろいろな方からお話を聞くなかで、「お茶をより深く理解したい」と思うようになり、日本茶インストラクターの資格取得を目指すことにしました。

なんとか1度の試験で合格できましたが、当時は店の営業を終えてから、深夜にかけての勉強だったので、本当に大変でしたね。

–富な飲食経験をお持ちの近藤さんから見て、お茶はどのように映りましたか?

お茶は、とても面白いと感じました。たとえば、私はワインを見るときには産地や“テロワール(風土)”を意識するのですが、その見方をお茶に当てはめると、共通点がいくつも見えてきたんです。

たとえば、ワインでいう「アッサンブラージュ(ブレンド)」は、お茶の世界では「合組(ごうぐみ)」に通ずるところがありますし、地域ごとに特徴が異なるワインのように、お茶にも品種ごとの個性があります。テロワール的な視点をもつことで、「標高の高い山地で育ったお茶はこうなんだ」といった見え方も変わってきました。

そうやって、これまでの嗜好品ドリンクの経験が、お茶の理解にも役立っていると感じています。……とはいえ、やっぱり最後は「聞いて、飲んで」、その積み重ねしかないんですけどね(笑)。

試行錯誤の末に辿り着いたお抹茶こんどうの食堂の形

現在の「お抹茶こんどうの食堂」は、幾度もの試行錯誤を経て築き上げられたものです。お茶やお酒、食材はもちろん、食器に至るまで、ひとつひとつに選んだ理由があります。

▲揃えてある急須は全て常滑焼のもの

私は、旨味の強いお茶を淹れる際、一煎目は水出し、二煎目以降はお湯出しへと切り替えるスタイルを取っています。こうした提供時には、ボダム製の耐熱グラスを使用しています。アイスでもホットでも使える利便性に加え、透明な器を通してお茶の美しい水色を視覚的にも楽しんでいただけるのが魅力です。

また、お茶の香りをしっかり感じていただきたいときは、飲み口が広く開いた器を選び、香りがより引き立つよう工夫しています。

静岡茶割りに使用している焼酎は、長崎県・壱岐の蔵酒造が手がける「村正」。これも、数ある焼酎を実際に試し、お茶との相性を考えたうえで選び抜いたものです。

現状に満足することなく、これからも「お抹茶こんどうの食堂」は、さらにお客様の期待に応えられるよう、常にブラッシュアップを重ねていきます。

お抹茶こんどうの食堂は、幼い頃の夢が形になり始めた場所

「お抹茶こんどうの食堂」は、もともと津島町で5年間営業しており、現在の静岡市葵区へ移転してからは5年が経ちました。今年で創業10年を迎えます。

厨房入口に掛けられている暖簾は、津島町時代から使い続けているもの。本当は店の入り口に掛けたかったのですが、扉が外開き仕様のため断念し、今では厨房入口に大切に飾っています。

簾に描かれた店のロゴや、名刺のデザインは、幼なじみであるデザイナーの友人が手がけてくれたもの。彼は幼い頃から「デザイナーになりたい」、私は「料理人になりたい」という夢を持っていて、今まさに、ふたりそれぞれがその夢を叶えている最中です(笑)。

▲ロゴ入りの色紙につけられた赤い手形は、実はそのデザイナーの手形だそうです。

日本茶業界は、決して楽な産業とは言えないかもしれません。それでも、確かな需要があり、私自身もお茶の学びを通して日々成長を感じています。そして、「お抹茶こんどうの食堂」で過ごすひとときが、お客様にとって何かしらの“教養の糧”になれたなら、こんなに嬉しいことはありません。

ぜひ、静岡らしさを感じていただける場所として、県外からのお客様のおもてなしや、接待の場としてもご利用いただければ幸いです。

お抹茶こんどうの食堂

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お抹茶こんどうの食堂の情報

住所 〒420-0034 静岡県静岡市葵区常磐町2-4-5 静岡常磐町エンブルコート 常盤1F
ホームページ https://omaccha-kondo.amebaownd.com/
電話番号 090-8130-1274
電子マネー・カード決済 対応済み
営業時間 ランチ 11:30〜13:30(LO13:15)
ディナー18:00〜22:00(LO21:00)
定休日 毎週木曜と第三水曜
駐車場 なし
アクセス 静岡駅より徒歩15分

 

この記事を書いた人 Norikazu Iwamoto
経歴 「静岡茶の情報を世界に届ける」を目的としたお茶メディアOCHATIMES(お茶タイムズ)を運営。2021~24年に静岡県山間100銘茶審査員を務める。静岡県副県知事と面会。お茶タイムズが世界お茶祭りHP、お茶のまち静岡市HP、静岡県立大学茶学総合研究センターHP、農林水産省HPで紹介される。地元ラジオやメディアに出演経験あり。

 

英訳担当 Calfo Joshua
経歴 イギリス生まれ育ち、2016年から日本へ移住。静岡県にてアーボリカルチャーを勉強しながら林業や造園を務めています。カルフォフォレストリーを運営。日本の自然を楽しみながら仕事することが毎日の恵み。自然に重点を置く日本の文化に印象を受けて大事にしたいと思ってます。

 

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