クロスバイクで巡る茶処・静岡!訪日外国人も虜にするツアーの魅力【ローカルトラベルパートナーズ】

日本列島の中部に位置する静岡県は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、娯楽施設や温泉など多彩な魅力を備えた地域です。今回取材したのは、そんな静岡の魅力を満喫できるツアーを企画・提案する旅行会社「ローカルトラベルパートナーズ」。代表の石垣裕包さんは、静岡を知り尽くしたスペシャリストとして旅行プランを手がけており、森内茶農園と連携して開発した「静岡茶体験サイクリングツアー」は、訪日外国人を中心に高い人気を集めています。
この記事では、ローカルトラベルパートナーズの強みや、森内茶農園とともに創り上げた静岡茶体験ツアーの魅力についてなど、石垣代表へのインタビューや静岡大学生による体験レポートを交えてお伝えしていきます。
目次
ローカルトラベルパートナーズとは
ローカルトラベルパートナーズは、静岡市駿河区小黒に拠点を置く旅行会社です。代表を務めるのは、石垣裕包(いしかき ひろかね)さん。県外からの観光客、とりわけ訪日外国人向けに、静岡ならではの体験ができるツアーを企画・提案しています。
これまで石垣さんは、ツアーガイドとして20カ国以上の外国人旅行者を静岡に案内してきました。毎年450人以上が、静岡の魅力を満喫できるオーダーメイドツアーに参加しています。
▲写真右端:代表の石垣裕包さん
ローカルトラベルパートナーズの強み
ローカルトラベルパートナーズの最大の強みは、静岡の地域ネットワークを活かしたオーダーメイドの旅行プランを提供できる点です。団体旅行はもちろん、家族旅行やカップルでの小規模な旅行にも柔軟に対応し、ホームページ掲載のプランも希望に応じて自由にアレンジ可能です。
こうした取り組みが評価され、2021年には静岡県庁より「ユニバーサルデザインに取り組む企業」として紹介されました。
▲車椅子の利用者にも対応した専用車両の手配を含む旅行企画も可能です。
石垣さんは、地元・静岡での信頼も厚く、静岡大学では講師として教壇に立つこともあります。
▲会社内には、静岡大学の学生が手作りした宣伝ボードが飾られています。
インタビュー:訪日外国人も虜に!静岡の茶畑サイクリングツアーが人気の理由
ローカルトラベルパートナーズ代表の石垣裕包さんにお話を伺いました。
静岡駅から自転車で茶畑へ。静岡クロスバイクツアーの魅力とは
–今回のクロスバイクツアーを企画した経緯について教えていただけますか?
ローカルトラベルパートナーズでは、主に訪日外国人を対象に静岡旅行の企画・提案を行っています。その中で、「茶畑を見てみたい」「茶摘みを体験したい」「お茶の飲み比べをしてみたい」といった声が多くのお客様から寄せられていました。
そんな折、森内茶農園が農場ツアーや農家カフェを通じて静岡茶の魅力を積極的に発信していることを知りました。しかも、森内茶農園は静岡駅からのアクセスも良く、訪日外国人の受け入れにも前向きでした。ぜひ森内さんと一緒に旅行プランを作ってみたいと思い、私の方から連絡を取ったのが始まりです。
一般的には、貸し切りタクシーなどで森内茶農園へ向かうところですが、それをサイクリングに変えることで、道中そのものを体験として楽しめるのではないかと考え、「サイクリングツアー」として企画しました。
このツアーは大変好評で、特に訪日外国人のお客様を中心に、多くのお申し込みをいただいています。
初心者も安心。クロスバイクだからできる気軽な旅
サイクリングにはクロスバイクを使用しています。私が所有しているのは、カナダの自転車メーカー「ルイガノ」と、台湾のメーカー「メリダ」のクロスバイクです。以前から「静岡県内を自由に巡るサイクリングツアー」を構想していたため、旅行業の登録を済ませる前に、良質なクロスバイクを揃えて準備を進めていました。
–クロスバイクですか。ロードバイクではないのですね。
ロードバイクはタイヤが細く、長距離を高速で走りたいサイクリストに向いていますが、初心者にはやや敷居が高い乗り物です。その点、ガイド付きで寄り道を楽しむスタイルのツアーには、クロスバイクのほうが適していると判断しました。
▲クロスバイクは、身長190cmを超える方にも対応可能なサイズを用意しています。
ローカルトラベルパートナーズでは、クロスバイクのレンタルも行っています。以前は訪日外国人の方の利用が中心でしたが、最近では日本人の利用も増えてきました。
たとえば、東京からの出張で静岡を訪れた方、週末の仕事終わりにリフレッシュしたい方、自転車購入前の試乗として利用する方など、さまざまなニーズにお応えしています。
茶処・静岡で走って学ぶ、味わって癒やされるサイクリング体験
森内茶農園へのサイクリングルートは、安全面を考慮し、車通りの少ない安倍川沿いの土手道を選んでいます。スピードは控えめに、「ポタリング」と呼ばれるのんびりとした走法で進みます。道中では、安倍川地域の歴史や地形について学べるほか、河川敷で少年野球の試合を眺めることもでき、参加者からは大変好評です。
森内茶農園の茶畑では、参加者の皆さんがお茶の製法について熱心に質問しており、特に被覆栽培された茶畑を興味深そうに観察していました。
また、お茶の飲み比べ体験も大変喜ばれます。築150年を超える古民家の土間で日本茶を味わうという体験は、特に訪日旅行客にとって心に残る特別なひとときとなります。
帰路は往路とは異なるルートを通り、浅間神社や浅間通り商店街など、静岡の風情を感じられるスポットの散策をおすすめしています。
観光じゃない「体験」の旅。そんなひとときを
旅先でさまざまな人と出会い、未知の文化や暮らしに触れることで、人生はより楽しく、豊かに彩られていく。私はそう信じています。
旅行とは、日常を離れ、非日常の世界へと足を踏み入れる特別な体験です。
あなたの理想の旅を実現するお手伝いを、ぜひローカルトラベルパートナーズにお任せください。
外国人に人気の茶処・静岡サイクリングツアー。学生が体験してみたら?
訪日外国人に人気の高い「静岡茶体験サイクリングツアー」を、今回は静岡大学の学生にも体験していただきました。ここからは、静岡大学生の視点で感じたツアーの魅力をご紹介します。
ご協力いただいたのは、静岡大学お茶サークル「一煎」の代表・星野さん。以下では、星野さんによる体験レポートをお届けします。
茶畑とマンホールと急坂。クロスバイク初心者の静岡サイクリング体験記
参加したのは6月27日の午後。この日は梅雨とは思えない快晴で、まさにサイクリング日和!……とはいえ、気温は高く、かなりの暑さでした。
出発地点は、旅行会社「ローカルトラベルパートナーズ」。まずは、ツアーを案内してくれる石垣さんから、自転車の乗り方やハンドサインの使い方をレクチャーしてもらいました。実はクロスバイクは初体験。しかも見た目が高そうで、ちょっと事故らないか不安……。
そんな不安を抱えつつも、準備を終えて、いざ森内茶農園へ出発!
走り出してすぐのこと。街中で、突然石垣さんが自転車を降りました。「え、もう休憩?」と思いきや、違いました。
石垣さん:「普段は外国人観光客の方をガイドしているんですが、いつも最初にここを案内するんです」そう言って指さしたのは、静岡ゆかりの地や縁起物が描かれたカラフルなマンホール。
石垣さん:「日本人にとっては当たり前でも、観光客にとってはとても珍しいらしいんです。これは徳川家に由来するマンホールで、それを説明すると、みんな必ず写真を撮るんですよ」とのこと。せっかくなので私も、観光客っぽく足を添えて一枚パシャリ!
マンホールの写真撮影を終え、再び森内茶農園を目指して走り出します。道中では、静岡の安倍川周辺の土地事情や、観光客が驚くような静岡ならではの光景についても教えてもらいました。
さっきのマンホールの話に通じますが、文化圏が異なると「珍しさ」も全く違うのだと改めて実感。
ペダルを漕ぐこと約1時間。いよいよ森内茶農園の目前、最後の難関である急な登り坂が立ちはだかります。ここはもう気合いと若さ(?)で乗り切り、ついに到着!
▲急坂を登りきった星野さんたちの姿がまぶしい。ちなみに、訪日観光客の多くはこの坂の途中で力尽きてしまうそうです。▼
静岡・森内茶農園で深呼吸。見事に作りこまれた茶園の散歩を楽しむ
現地に到着してまず案内していただいたのは、森内茶農園が「映えスポット」としておすすめする茶園。葉の色合いのグラデーションと、整った形状が美しい茶畑が広がり、思わずカメラを構えたくなる風景です。その景色を眺めながら、森内さんから茶園のこだわりについてお話を伺いました。
続いて案内されたのは、香駿(こうしゅん)や摩利支(まりし)といった品種茶を育てている区画。森内茶農園では多様な品種茶が栽培されており、これらのお茶は後に訪れるカフェで味わうことができます。お茶好きにとっては、産地で育てられた茶葉をその場で味わえるというのはたまらない体験です。
茶畑の中を進んでいくと、一部の区画では被覆資材が取り除かれたばかりのエリアがありました。玉露の栽培かと思いきや、実は品評会用の高級茶葉を育てているとのこと。被覆には、茶葉の色をより濃い緑色にし、渋み成分であるカテキンの生成を抑える効果があるそうです。
最後に、茶畑の中で写真撮影を行い、茶園見学は終了。緑に囲まれながら深い茶の香りを感じ、心がほぐれるようなひとときを過ごすことができました。
選ぶ・香る・味わう。4種の緑茶飲み比べで知った、お茶の奥深さ
茶園見学を終えた後は、森内さんが運営するカフェへと移動。隠れ家のような静けさと落ち着いた雰囲気が印象的な、素敵な空間が広がっていました。
中に入ると、外の暑さを忘れさせてくれるようなひんやりとした空気が心地よく迎えてくれました。玄関付近には香炉があり、焚かれていた茶の香りがふんわりと漂い、訪れる人の疲れを優しく癒やしてくれるようでした。
席に着いてひと息つくと、まず最初にいただいたのは冷茶。お茶とミントを合わせたソーダ割りで、炭酸も強すぎず、乾いた体に心地よく沁みわたる一杯でした。淹れたての冷茶は格別。
続いて提供されたのは、品評会で受賞歴のある茶葉を使った一品。これを氷出しでじっくりと味わいます。一本一本の茶葉が整った美しい形をしており、茶葉から抽出されたお茶は澄んでいました。口に含むと、じわりと濃厚な旨味が広がり、深い味わいが長く余韻として残ります。
そして、いよいよ本日のメインイベント——お茶の飲み比べ体験。今回用意されていたのは、以下の3コースです。
1.玄米茶やほうじ茶といった日本茶の飲み比べコース
2. 緑茶、烏龍茶、紅茶といった発酵度の異なるお茶の飲み比べコース
3. 緑茶の品種茶飲み比べコース
どれも魅力的で迷いましたが、今回は3番目の品種茶飲み比べコースを選びました。しかも、4種類まで自分の好みで選べるということで、何を飲もうかさらに悩みました。というのも、森内さんの茶園では非常に多くの品種を栽培しているため、選択肢が豊富なのです。
悩んだ末に選んだのは、これまで飲んだことのなかった「いなぐち」「ゆめするが」、人気の高い「香駿(こうしゅん)」、そして森内さんオリジナルの「HARU-SORA」の4種です。
▲4種類を並べてみると、それぞれ色合いがまったく異なり、見た目からも個性が伝わってきます。
実際に飲み比べてみると、味わいの違いに驚かされました。
「いなぐち」はしっかりとした渋みがあり、“ザ・緑茶”という印象。甘いお菓子と相性が良さそうです。「ゆめするが」は反対に渋みが少なく、ほんのりと甘みが感じられ、いかにも最近のお茶、若者向けのお茶という感じ。
「香駿」はエキゾチックな強い香りが特徴的で、友人いわく「芝生のような香りが鼻を抜ける感じ」で、実に面白いお茶でした。「HARU-SORA」は緑茶というより発酵茶に近い味わいで、ふんわりと優しく飲みやすい。羊羹などのお茶菓子との相性も抜群でした。
お茶もそろそろ飲み終える頃、体験の締めくくりとして「シメの一品」が登場。先ほどいただいたお茶の茶殻に、茶の実オイルと駿河湾産の塩をかけて味わいます。お茶本来の旨味に塩味が組み合わさって美味しかった。
こうして約2時間にわたる充実した体験も終了。森内さんにもお礼の言葉を伝え、名残惜しくもカフェをあとにしました。
4時間のサイクル旅。神社と街が残した静岡の記憶
帰り道は日中の暑さが少し和らぎ、サイクリングにはちょうど良い気候となっていた。涼しい風を感じながら自転車を走らせること約40分、目的地である静岡浅間神社に到着。
帰路では「ななや」か「浅間神社」のどちらかに立ち寄る予定でしたが、僕たちはまだ浅間神社を訪れたことがなかったため、今回はこちらを選びました。
浅間神社は、七つの社(やしろ)からなる複合神社で、地元でも有名なパワースポット。石垣さんの説明を聞きながら、境内を巡っていく。
せっかくなら七社すべてを回りたかったが、長い階段の先にある社は体力的に断念。撮影スポットとして紹介されていた場所から写真を撮影。ここなら、誰でも納得の一枚が撮れそうだ。
神社内の散策を終えて再び出発。途中、浅間通りにある石垣さんおすすめのお店に立ち寄り、ちょっとしたおみやげを購入。そこから駿府城公園を抜け、静岡の街中を通り抜けて、ついに終着地に到着!トータルで約4時間にわたるサイクリングツアーがここで終了した。
静岡クロスバイクツアーの感想は
サイクリングツアーに参加するのは初めてだったため、少し不安もあった。でも、石垣さんが丁寧に説明をしてくれたり、僕たちのペースに合わせて走ってくれたおかげで、終始快適に楽しむことができた。
お茶に詳しい人も、そうでない人も楽しめるよう工夫されており、「静岡でお茶を体感したい」という人には、心からおすすめしたい魅力的なツアーだった。
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ローカルトラベルパートナーズの情報
住所 | 〒422-8072 静岡市駿河区小黒2-1-10-3F |
ホームページ | https://www.localtravelpartners.com/ |
電話番号 | 054-260-4890 |
FAX | 054-260-4891 |
電子マネー・カード決済 | 対応済み |
営業時間 | 営業時間 9:00 – 18:00 (日曜・祝日除く) |
定休日 | 日曜日、祝日 |
駐車場 | あり |
アクセス | JR静岡駅から車で約5分 |
この記事を書いた人 | Norikazu Iwamoto |
経歴 | 「静岡茶の情報を世界に届ける」を目的としたお茶メディアOCHATIMES(お茶タイムズ)を運営。2021~24年に静岡県山間100銘茶審査員を務める。静岡県副県知事と面会。お茶タイムズが世界お茶祭りHP、お茶のまち静岡市HP、静岡県立大学茶学総合研究センターHP、農林水産省HPで紹介される。地元ラジオやメディアに出演経験あり。 |
英訳担当 | Calfo Joshua |
経歴 | イギリス生まれ育ち、2016年から日本へ移住。静岡県にてアーボリカルチャーを勉強しながら林業や造園を務めています。カルフォフォレストリーを運営。日本の自然を楽しみながら仕事することが毎日の恵み。自然に重点を置く日本の文化に印象を受けて大事にしたいと思ってます。 |