花鳥風月の世界へ誘う。NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)が奏でるラグジュアリーな日本茶ペアリング【静岡県・静岡市】

一皿の料理に最も相性の良いドリンクを添えて、一緒に楽しむ食事スタイルを「ペアリング」といいます。もともとは食事とワインの組み合わせで親しまれていましたが、近年では日本茶と料理を組み合わせる新しいスタイルとしても広がりつつあります。アルコールが飲めない人にも楽しめる、新たな食事の楽しみ方として注目されています。今回取材したのは、日本茶、カクテル、フードのペアリングを提供するBAR「NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)」。オーナーバーテンダーの井谷匡伯さんは、カクテルコンペティションでグランプリを受賞し、数々のカクテル専門書にも紹介されている実力者です。
彼が生み出す魅力的なティーカクテルやペアリングを求め、国内外から多くの人々が訪れています。この記事では、「NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)」の魅力と、井谷さんがティーカクテルやペアリングに込める想いについて、インタビューを通じて詳しくご紹介します。
目次
NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)とは
NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)は、2021年5月に静岡市葵区鷹匠でオープンしたBARです。オーナーバーテンダーを務めるのは、20年以上のキャリアを誇る井谷匡伯さん。
オリジナリティ溢れるカクテルに加えて、静岡産のお茶を使用したティーカクテルと、創作料理・スイーツのペアリングを楽しむことができます。
▲夕暮れ時、閑静な住宅街の一角に静かに佇む「NO’AGE concentré」の扉は、薄明かりの中で淡い光を放ち、まるで別世界への入口を示しているかのようです。
▲井谷さん自身がデザインした店名の文字「NO‘AGE concentré」(ノンエイジコンセントレ)」には、「濃縮・集中」という意味の「concentré」が添えられ、新たな門出への想いが込められています。
店内は、鉄板と茶窯に面したカウンター席が6席のみ。和モダンでラグジュアリーな空間は、静岡にいながらもまるで東京や京都の一等地にいるかのような非日常を演出します。
心地よい音楽が流れる中、「一期一会のひとときを過ごす特別な空間を提供したい」という井谷さんのこだわりが随所に感じられます。
▲カウンターの奥には、井谷さんが長年の経験をもとに厳選したお酒が美しく並び、訪れる人を迎え入れます。
NO’AGE concentréノンエイジコンセントレのメニュー紹介
バーテンダーの井谷さんが手がけるカクテルは、歴史あるスタンダードな王道から、旬のフルーツが香る季節限定のものまで、幅広いバリエーションが揃っています。
さらに、そこに「お茶」のエッセンスが加わることで、茶の世界ならではの親しみやすさと奥深さを持つティーカクテルを、さまざまなフードとのペアリングで楽しめます。
ここでは、「NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)」でしか味わえない、井谷さんオリジナルのティーカクテルやフードメニューをご紹介します。基本的には、お茶をベースにしたカクテルがおすすめですが、お客様の好みに合わせて柔軟にカスタマイズも可能です。
なお、季節ごとに提供するメニューが異なるため、掲載されたメニューがない場合もございますので、あらかじめご了承ください。
玉露マティーニ
井谷さんが厳選した静岡産の玉露を使用した、贅沢なティーカクテルです。まずは一煎目、低温で丁寧に抽出された純粋な玉露を楽しみます。最高級の煎茶玉露ならではの芳醇な香りと深い旨味が広がり、そのままでも特別なひとときを味わえます。
続いて二煎目は、「玉露マティーニ」として登場。玉露の芳醇な味わいとお酒が見事に調和し、奥深い味わいを堪能できます。単なるカクテルではなく、お茶の持つ複雑な風味を存分に引き出した一杯です。
また、井谷さんはお酒だけでなく、お茶の品質にも強いこだわりを持っています。取り扱う玉露は日によって異なり、その日の味わいの違いも楽しめるのが特徴です。さらに、追加料金で日本酒で抽出した玉露も味わうことができ、より一層の奥行きと特別感を体験できます。
つきしろマティーニ
白葉茶は、一般のお茶と比べて3倍ものアミノ酸成分を含み、濃厚な旨味と爽やかな甘味を楽しめる希少な日本茶です。その製造工程は手間がかかり、収穫量も限られているため、希少なお茶として知られています。
一煎目では、低温でじっくりと抽出した白葉茶本来の豊かな味わいを堪能できます。そして、二煎目はウォッカで抽出し、日本酒とミックスしたティーカクテルとして提供されます。さらに、追加料金で日本酒で抽出した白葉茶も楽しむことが可能です。
▲遠州三山のひとつ、法多山の麓に広がる茶畑から見上げる「白い月」をイメージして生み出された「つきしろマティーニ」。その名にふさわしい優雅な一杯です。
ティーカクテルに使用している白葉茶は、静岡県西部の袋井にある安間製茶が丹精込めて作り上げた「つきしろ」です。袋井はオーナーバーテンダーである井谷さんの出身地であり、安間製茶の安間さんは井谷さんの後輩にあたります。そうした縁から、特別に「つきしろ」を提供してもらっているそうです。
▲白葉茶の名の通り、茶葉の色は白みがかった黄白色をしており、水色は透き通るような美しい黄金色が特徴です。
ほうじ茶とネクタリンとココナッツ
ほうじ茶の香ばしさとフルーティーな風味が絶妙に調和したティーカクテルです。ネクタリンとココナッツのアクセントが加わることで、その個性がさらに引き立っています。
井谷さんは、ネクタリンにバニラとグラニュー糖を加え、オーブンで丁寧に焼き上げたものを使用しているそうです。そのままジェラートマシンにかければ、アイスクリームとしても楽しめるほど、濃厚で芳醇な味わいに仕上がっているとのこと。実際に口に含むと、まるで「飲むデザート」のような新感覚が広がります。
煎茶ジンとバジルと洋梨
使用している煎茶は、静岡県両河内にある茶農家「豊好園」が栽培する品種茶「はるな29」です。「はるな29」はバランスの取れた旨味と渋みが特徴で、井谷さんはこの煎茶がバジルとの相性が抜群だと感じたそうです。
そこで、ジンと洋梨も加え、素材同士が互いに引き立て合い、調和するようなティーカクテルを生み出しました。爽やかさと深みを同時に楽しめる一杯は、口に含むたびに新しい発見があります。
▲このティーカクテルは、霧の立ち込める両河内の茶畑が、月光に照らされて光り輝く様子をイメージして作られたとのこと。幻想的な風景がそのまま一杯のグラスに閉じ込められています。
茗荷とライチとジャスミン茶
ジャスミン茶には、特有のライチ香と呼ばれる豊かな香り成分が含まれています。このライチ香は、ライチや茗荷との相性が良いとされ、独特の爽やかさを引き立てます。そこで、井谷さんはこのティーカクテルにジャスミン茶と茗荷を組み合わせ、それぞれの魅力を最大限に引き出す調和を追求しました。
茗荷のハーバルな香りがアクセントとなり、初夏にふさわしい爽やかな味わいを演出しています。このカクテルは、初夏を感じる定番の一杯として、多くの人々に親しまれています。
ジャスミン茶のカンパリソーダ
井谷さん特製のブレンドカンパリに漬け込んだ、ジャスミン茶のスパークリングティーカクテルです。カンパリはビターオレンジやさまざまな薬草を原料として作られ、地域によっては健胃効果のある薬草としても使用されてきました。一方、ジャスミン茶は中国茶の一種であり、漢方茶としても広く知られています。
カンパリとジャスミン茶の組み合わせにより、単に美味しいだけでなく、食前酒としても効果を発揮します。古くから定番のカクテルメニューとして親しまれてきた一杯です。
ほうじ茶のダークラム・マンハッタン
「カクテルの女王」として知られるマンハッタン。その伝統的なレシピに井谷さんは独自のアレンジを加え、ほうじ茶の香ばしさとベリーの風味を引き立てた特別なティーカクテルを生み出しました。
井谷さんによると、ほうじ茶には甘味だけでなく、ベリーのような酸味を思わせる要素も含まれているとのこと。ほうじ茶の持つ香ばしさと、ベリーの酸味が見事に重なり合うこのティーカクテルは、余韻まで楽しめる一杯です。
燻製紅茶と芋焼酎 ネグローニ仕立て
島田カネロク松本園の燻製紅茶を芋焼酎に漬け込み、スモーキーな味わいを引き出したティーカクテルです。開発のインスピレーションは、メキシコ産の蒸留酒メスカル。
味わいの広がりをさらに引き立てるため、ベースにはイタリア生まれのカクテル「ネグローニ」を採用。ネグローニは、ジンの爽やかなキレ、カンパリのほろ苦さ、ベルモットの深い甘味が特徴のカクテルです。
この新感覚のティーカクテルは、燻製紅茶、芋焼酎、ネグローニが絶妙に組み合わさり、一度味わえば、その奥深さに魅了され何杯でも飲みたくなる魅力を持っています。
ほうじ茶のアルマニャック
富士山まる茂茶園のほうじ茶「丸火」の香ばしい風味に、ベリーのニュアンスが調和し、さらにクロブドウを思わせる熟成感のあるアルマニャック(フランス・アルマニャック地方で作られるブランデー)を組み合わせたティーカクテルです。
このカクテルは、「シンプルにお茶の香りを楽しんでほしい」という井谷さんの想いから生まれました。樽熟成によるウッディな香りやスパイシーなアクセントも感じられ、一口飲むごとに奥深い味わいが広がります。
また、ディナーやフードメニュー、季節のスイーツ、カクテルやモクテル、そして21時以降のBARTIMEなど、多彩なプランが用意されています。詳細については、NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)の公式ホームページをご覧ください。
インタビュー:「BAR」を超えた「茶寮」へ—静岡の食材とティーカクテルが紡ぐNO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)の世界
NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)オーナーバーテンダーの井谷匡伯さんにお話を伺いました。
NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)の名に込めた想い—BARの枠を超えた茶寮スタイルの魅力とは
–NO‘AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)について教えてください。
NO‘AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)というBARの名前は、ウイスキーの用語「NO’AGE」に由来しています。これは「さまざまな熟成年数のウイスキー原酒を卓越したブレンド技術で調和させ、個性と魅力あふれるウイスキーに仕上げること」を意味します。
このコンセプトと同様に、「さまざまな世代のお客様に愛される場所でありたい」という思いを込めてNO‘AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)を開いています。
また、店名「NO‘AGE concentré」(ノンエイジコンセントレ)にはあえて「BAR」という言葉を使用していません。これは、単なるBARの枠にとらわれず、お酒や料理に加えて「お茶」とのペアリングも楽しめる「茶寮」としての側面も持ちたいという想いからです。
実はこのBARは、これまでに3度の移転を経験しています。最初は静岡県袋井市でオープンし、約6年間営業しました。その後、理想のBARを実現するため、より都心に近い場所への移転を考えるようになりました。東京か静岡かで迷った末、静岡市の七間町へと移店。その後、鷹匠へと移転を重ねて現在に至ります。
現在の店舗へ移転した際には、新たに鉄板焼きの設備も導入しました。鉄板焼き料理とティーカクテルのペアリングは、長年目指していたスタイルであり、移転を機にその夢を実現することができました。
▲移転オープン時に導入された鉄板焼き設備。これにより、より柔軟にお客様の要望に応えられるようになったそうです。
「料理」「カクテル」「お茶」の融合——井谷匡伯の一挙手一投足が紡ぐ唯一無二の体験
(井谷さんは2016年にYokohama International Cocktail Competitionのクリエイティブ部門でグランプリを受賞しています。その卓越したバーテンダー技術は高く評価され、数々のカクテル専門書やペアリング専門書にも掲載されています。
井谷さんのシェイカーを手にしたときのバーテンダーとしての「動」、茶器に持ち替えたときの茶人としての「静」、そして時にはコテを手にして炎を操るシェフとしての「魅」。これらを自在に使い分ける一挙手一投足には、多くの人が魅了されます。)
▲注文したカクテルを飲みながら、カウンター越しに臨場感あふれる調理シーンが楽しめるのも、彼の店ならではの体験です。
–料理、カクテル、お茶、そしてお店のコンセプトの成立まで全てやってみせるというのは驚きです。コンサルタントを入れているのですか?
入れていませんよ(笑)。でも確かに、美味しい料理を作れても、それを独自の世界観で発信できる人は少ないかもしれませんね。私にとって、バーテンダーとは会話や時間、空間をコーディネートする仕事でもあります。だからこそ、全てを自分で手掛けています
–空間のコーディネートも含まれるのですね。バーテンダーという仕事は繊細な感性が求められるのですね。
バーテンダーは調酒師とも言います。語源は薬剤師から来ています。昔は酒も薬として扱われていました。調合した酒や薬の魅力や効力を最大限に引き出し、料理と合わせて提供するのが仕事です。
当店では原則としてお茶をベースとしたカクテルをお薦めしていますが、お客様のお好みを伺いながら、ノンアルコールを含めて柔軟に対応していますよ。
▲「コウジュとマスカット」。マスカット系の香りと風味を持つ品種茶「コウジュ」と、フルーティーな味わいが特徴のお酒が調和し、双方の魅力を引き立てる華やかなティーカクテルです。
–今までに味わったことのない香りと味ですね。きっと茶業界の方々も驚かれたのでは?
そうですね、いろいろな反応があります。お茶は江戸時代よりも前から存在していますが、伝統ある分野で新しい試みを行うことは、必ずしも歓迎されるわけではありません。お客様の中には「ティーカクテルではなく、普通にお茶でいいのではないか」とおっしゃる方もいます。
▲(ペアリングメニュー)~鮎のパテ きゅうりとミント × スイカとウーロン ~
一方で、海外から来られたお客様には「これは新しい!」と喜ばれることも多いですね。私は、提供の仕方が一つに限られる必要はないと考えています。もし現代に千利休が生きていたら、きっと多様な形でおもてなしをしていたでしょうし、お酒でお茶を抽出するようなことも試していたかもしれません。
–なるほど、古い文献の中にそのような記述が残っているかもしれませんね。
あまり保守的にならず、もっと自由なお茶の形があっても良いと思います。実は、お茶に限らず、ウイスキーの世界にも同じような保守的な風潮があるんですよ
–ウイスキーの世界にもあるんですか?
ありますよ。私はもともとお茶ではなくウイスキーの世界のプロですからね。
–そういえば、井谷さんはもとはその世界のプロとして活躍なさっていた方ですよね。
▲デザートカクテル『抹茶とコーヒーとクリームチーズの関係』。
ウイスキーからお茶へ、次のステージへ。業界を越えた挑戦の理由とは?
はい。私は以前、ウイスキーの世界でプロとして仕事をしていました。ウイスキー業界は、多くの仲間やファンの皆さまの支えによって大いに盛り上がってきました。この勢いのまま、さらに広がっていくことでしょう。私はもうバーテンダーとしての役割を十分に果たしたと感じています。
私は2〜3年前までウイスキーの世界でプロとして仕事をしていました。ウイスキーの世界は多くの仲間やファンの皆さまのおかげで大変盛り上がってきました。きっとこのままの流れで広まっていくでしょう。私はもうバーテンダーとしての役割を十分に果たしたと感じました。
一方で、お茶の世界は非常に厳しい状況にあります。今こそ勝負の時ではないかと思うのです。誰かが手を差し伸べなければ、変わらないまま衰退してしまうかもしれません。
–次はお茶の世界に挑戦しよう、と決めたのですね。
これまで培ってきた技術と経験を活かし、自分ならではのアプローチでお茶の魅力を引き出し、多くの人に提供していきたいと考えています。目指しているのは、もっと多くの人々にお茶を楽しんでもらうことです。
今、その取り組みに大きなやりがいを感じています。微力ではあるかもしれませんが、少しでも茶業界の力になっていければと願っています。
–なるほど。茶寮の側面も持つBARでありたいというのは、そうした理由もあるのですね。では、井谷さんが考える理想のBARとはどのようなものなのでしょうか?
▲(ペアリングメニュー)鱧とプラムのサラダ仕立て × 桃と香り緑茶 山椒 すだち
心静かに、上質な時間を—静岡のBARで味わう非日常のラグジュアリー
私の理想のBARは、静岡でも京都や東京の一等地に負けない「価値あるラグジュアリーな空間」です。お客様が訪れたときに、特別な雰囲気を感じていただけるような場所を作りたいと考えています。
–確かに、このお店にいると静岡にいるという感覚が薄れます。とても静かで落ち着いた雰囲気ですね。
私は「静かにしてください」とお願いしたことは一度もありませんけれどね(笑)。ただ、BARというのは本来、大声で話すような場ではなく、心穏やかに過ごせる場所だと思っています。
大人のたしなみとして、他人を気遣い、自分のことだけでなく、周りの人にも配慮できる。そんな方々が自然と集う場、それがBARのあるべき姿だと考えています。
▲ほうじ茶のアルマニャック × 季節のスイーツ
敷居が高いと言われることもありますし、お客様が来なくて苦しい時期もありました。それでも、自分の理想を目指す以上、覚悟しなければならないこともあります。ここまでやってこれたのは、多くのBARのマスターたちの応援や支えのおかげでもあると感じています。
ここまでやってこれたのは、多くのBARのマスター達の応援や支えのおかげでもあると思っています。
–ここまでお店を作り上げる中で、さまざまな苦労があったと思いますが、その中で大切にしてきたことはありますか?
私がバーテンダーとしてやってきた中で大切だと感じるのは、「アーティストとしての感性とデザイナーとしての視点をバランスよく持つこと」です。
▲(ペアリングメニュー)コチとウニの黒米のリゾット かぼちゃのピュレ ミモレット × マンゴー マンゴーヴィネガー オレンジピール 3年番茶
アーティストの感性とデザイナーの視点の融合がもたらしたカクテルの進化
アーティストの感性は、クリエイティブな独自性を持つために欠かせません。しかし、依頼に対してアーティストとしての立場だけで答えてしまうと、独りよがりになりがちです。
デザインとは、クライアントのために作るもの。デザイナーは使い手やクライアント、お客様の立場に立って仕事をする必要があります。
重要なのは、両方を併せ持つこと。つまり「アーティストでありながら、デザイナーでもあること」です。これが私が大切にしていることです。
▲(ペアリングメニュー)スズキのパイ包み サフランのクリームソース × 白茶 パッションフルーツ レモンバーベナ
過去の自分を振り返ると、自分のバーテンダー人生は、アーティストとしての側面が強すぎたのかもしれないと気づくことがあります。どこか独りよがりな部分があったのかもしれません。
「もっとデザイナーとしての視点が必要なのではないか」と考えるようになってから、カクテルの発想やアプローチの仕方が大きく変わりました。そして、自分のカクテルの味も劇的に進化していったのです。ちょうど、お茶を学び始めた時期と重なります。
現在は、クリエイティブな部分を残しつつも、お客様が飲んで「美味しい」と感じてもらえるカクテルを作ることを大切にしています。
–自分の作りたいと思うものを大事にしつつも、お客様としっかり向き合うことを大事されているのですね。
静岡の旬を味わう贅沢なひととき。NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)が織りなす花鳥風月の世界
静岡は広範囲に広がり、東西南北で異なる土地の特徴があります。それぞれの地域には独自のテロワールがあり、お茶の味わいや食材にもその土地の個性がしっかりと表れています。それぞれの魅力を活かした組み合わせを考えることは、とても楽しいですね。(笑)
こちらは「桜海老とカンパリ ネグローニ仕立て」です。素干し桜海老をカンパリに漬け込み、日本酒やグランジを使って作ったカクテルです。単品での提供もしていますが、本来はペアリング料理のコースに合わせて開発されたものです。
▲桜海老を思わせ得る美しい色彩のカクテル。桜海老の風味とカンパリの苦みが作り出す立体的な味わいがクセになりそうです。
「桜海老とカンパリ ネグローニ仕立て」と「金目鯛の鱗付きポアレ」のペアリング、通称「駿河湾ペアリング」は、大変好評をいただいています。ただし、このペアリングは年中提供しているわけではありません。桜海老の漁が行われる時期のみの期間限定メニューです。
–桜海老に旬があるのは分かりますが、金目鯛は1年中手に入りますよね。なぜ期間限定にされるのですか?
私はその方が良いと思っているので(笑)。 静岡ならではの旬や季節感を大切に扱いたいんです。食材の旬や季節を技術で活かしていくことは、私が袋井で営業していた頃から大切にしてきたことです。
▲(ペアリングメニュー)牛ランプのロティ バター醤油山椒風 × 三年晩茶 ほうじ茶 焦がし昆布
その土地にあるもの同士の魅力を引き出し、互いに調和させることで、旬の風景が浮かび上がるような表現を作り上げていきたい。カクテルも料理と同様に、季節感や旬の要素を大切にしています。これは茶道やお茶の世界とも共通する考え方だと思います。
–まるで「花鳥風月をテーマにしたペアリング」ですね。
「花鳥風月」は私の好きな言葉です。 カクテル、料理、お茶の提供を通して、人と人との情緒溢れる語らいのひとときを作り上げていきたい。そこから、誰か一人でも「お茶が楽しい」「美味しい」と思ってもらえたら嬉しいですね。
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NO’AGE concentré(ノンエイジコンセントレ)の営業情報・予約フォーム
住所 | 〒420-0839静岡県静岡市葵区鷹匠2-5-12 1F |
ホームページ
WEB予約フォーム |
https://www.barnoage.com/ |
SNS | |
電話番号 | 054-253-6615 |
電子マネー・カード決済 | 対応済み |
営業時間 | 時期によって変わります。 2023年時点ではランチ・ディナーは完全予約制。BAR TIMEは毎週金・土曜日 21:00〜24:00 BAR TIMEは予約なしでも入れます。詳細はSNSやHPで告知しています。 |
定休日 | 月曜・第3日曜 |
駐車場 | なし(近隣に有料駐車場あり) |
アクセス | 静岡駅より徒歩15分 |
この記事を書いた人 | Norikazu Iwamoto |
経歴 | 「静岡茶の情報を世界に届ける」を目的としたお茶メディアOCHATIMES(お茶タイムズ)を運営。2021~24年に静岡県山間100銘茶審査員を務める。静岡県副県知事と面会。お茶タイムズが世界お茶祭りHP、お茶のまち静岡市HP、静岡県立大学茶学総合研究センターHP、農林水産省HPで紹介される。地元ラジオやメディアに出演経験あり。 |
英訳担当 | Calfo Joshua |
経歴 | イギリス生まれ育ち、2016年から日本へ移住。静岡県にてアーボリカルチャーを勉強しながら林業や造園を務めています。カルフォフォレストリーを運営。日本の自然を楽しみながら仕事することが毎日の恵み。自然に重点を置く日本の文化に印象を受けて大事にしたいと思ってます。 |